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『木のお酒』『Wood spirits』プロジェクトの進捗

【2022年7月現在】

『木のお酒』『Wood spirits』プロジェクトが
着々と進んでいる。現在の進捗をお伝えします。

前回書いた記事はこちら↓
『木のお酒』ができるとこのような嗜好品の選択肢があるというお話↓

https://note.com/benfiddich/n/n31fa6278ac8d

『木のお酒』の造り方について詳しく書いてるのはこちら↓

https://note.com/benfiddich/n/ned0a6d0bf9b1

本日は『木のお酒』『Wood spirits』の
プロジェクトチームと製造工程を確立した
国立森林総合研究所へ赴き打ち合わせ。
鹿山は3度目の訪問となる。

木本原料から飲用目的のアルコールを作るに当たり前例がないので実際に蒸留所を作った時に想定されるレギュレーションを擦り合わせる。

【木のアルコール生成の工程】
①木

②粗粉砕

③微粉砕

④加水(木と水1対9の割合)

⑤ビーズミルでナノレベルでさらに粉砕し
ゲル化状(ここがポイント)
木の持つ成分リグニンを破損させ
セルロースを糖に変換

⑥発酵(酵母と酵素を投入)ドブロクが作れる。

これは杉のドブロク↓

30度五日間の発酵期間を要する。
アルコール度数は2%までにしかならない。

アルコール度数が2%までにしかならないのは
仕込みの段階で
木が1に対して水が9の割合だからだ。
日本酒の仕込みより圧倒的に水が多い。
その理由は
ビーズミルによるナノレベルでの破砕した時に生じるゲル化状によりこれ以上の比率変更が難しい為だ。粘土力が高過ぎると機械に負担がかかる。

木の大きさによるアルコール回収量は
杉2kgでアルコール度数35度
ウィスキーボトル1本分が可能。
思いの外、回収率が高い。

然しながら醸した段階でアルコール度数2度
木と水の比率が1対9だとカサが大きくなる故
大きなタンクと蒸留に長い時間を要する。
時間をコストと考えるならば取捨選択
捉え方によってはアルコール強化の為に補糖もありえる。糖にも色々な種類がある。

機材等含め様々な課題を一つずつクリアしてゆく


【②木の調達先の進捗】

次に木材調達先は今回のプロジェクトの
言い出しっぺの僕の独断で僕の生まれ故郷
埼玉県比企郡ときがわ町の材木を使う。

ときがわ町の謳い文句は『木の村』
慈光寺建立1300年の歴史がありそこに当時
全国から工匠が集められ後に定住。
脈々と木工の技術が継承され
江戸時代にも荒川の源流であることから
木がお江戸まで運ばれ活用され木の歴史があるのが僕の故郷ときがわ町

自分の生まれ故郷が『木の村』とは知ってはいるが高校卒業して田舎を離れているので繋がっている人をほとんど知らない僕は様々な手を尽くして
キーマンとなってくれる人に協力を仰ぐ。

地域企業支援を行う
ときがわカンパニーの関根さん
地域コンサルコーディネーターときがわ社中の
栗原さん、風間さん
林業家の山口さん

木材を調達するにあたりときがわ町の現状を
ヒアリング。

【ときがわ町の森林現状】

町の面積の7割が森林
森林のうちの7割が人工林
その内の人工林の5割が50年生となり
伐期を迎える。

木材価格の低迷、林業従事者の減少。
(現在のウッドショックによる価格高騰には従事者の減少により即応が難しい)
そのような事情からときがわ町の山は
高齢高木化が進む。

杉、檜の人工林の割合が多いが調達可能な広葉樹はナラ、クヌギ、カシ、ケヤキ。
これらは支障木として伐採されるケースがある。
(屋敷林、社寺、墓地、自宅への倒木の支障)
ミズナラは標高の高い森林に点在。
黒文字は小木として点在。

杉檜は高齢高木が多くひしめきあっているので
山の保全の為に皆伐、間伐が必須の為、継続的な安定供給は可能。

ときがわ町の山頂からの眺め↓
多くは人工林の杉、檜がひしめき合っている。


黒文字はそもそも小木なのでそれなりの本数が
必要。スポットでは作れるが
安定的継続は山と自然の為にならない。

広葉樹系も何かの理由がないと切るべきではないのでスポットでのリリースが良いと思う。

又、ときがわの山々は霧が多く木材の成長に時間がかかる為その分年輪が細かく香り高い木へ成長する。
都心にも近く運搬のし易さに利点がある。
(木のお酒の蒸留所の予定地が千葉市)



最後にこれは【町との協力が必要不可欠】

いま日本が抱える森林問題をわかりやすく抱えているのが僕の故郷ときがわ町。
町の面積の7割が森林
森林のうちの7割が人工林
その内の人工林の5割が50年生となり
伐期を迎えている。

ただ、闇雲に使いたいだけの木を切るのではなく
ときがわ町の林業問題と共に寄り添っていけるような木材活用をできたらと思う。

それは製材の際に生じ廃棄される端材の
新たな活用方法であったり、
支障木として切られる木であったり
それらが新たな活用方法となる。

『木のお酒』が誕生すればこんな事が可能だ。

飲み手が飲むほど
山の保全の後押しの一翼を担う。


新しい循環経済圏の誕生となるのだろう。


『木のお酒』には大きな可能性がある。


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