トヨタVS日産 サスティナブルなのはどっち?
企業のサスティナビリティを語る上で知っておくべき用語の1つにSDGsがあります。SDGsとはSustainable development goalsの略で、日本語では持続可能な開発目標と訳されます。これは、2015年の国連サミットで制定された国際社会共通の目標で、17個の目標と169のターゲットから構成されています。
17の目標から、「13 気候変動に具体的な対策を」をピックアップしトヨタ自動車と日産自動車の取り組み内容の紹介、どちらがよりサスティナブルか評価します。
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?
気候変動及びその影響を軽減するための対策を講じることが目標であり、以下のターゲットがあります。
トヨタ自動車の取り組み
トヨタは「トヨタ環境チャレンジ2050」を2015年に公表し、車の環境不可をゼロに近づけるチャレンジに乗り出しました。
出典:トヨタ自動車公式ホームページより
2050年までに二酸化炭素の排出をゼロを目指し、6つのチャレンジを設定しています。
■Challenge1 新車CO2ゼロチャレンジ
【内容】
車1台あたりの平均CO2排出量を「2050年までに2010年比で90%削減」
【具体的取り組み】
ハイブリット車(HV)、プラグインハイブリット車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)の技術進化と普及促進
■Challenge2 ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ
【内容】
自動車製造過程、廃棄・リサイクルの各過程でCO2排出量ゼロ
【具体的取り組み】
材料や部品をCO2排出量が少ない材料へ置き換える。廃棄・リサイクル時に車の解体を容易にする設計にする。
■Challenge3 工場CO2ゼロチャレンジ
【内容】
製造時におけるCO2排出量ゼロを目指す
【具体的取り組み】
革新技術の導入と日常改善→製造工程のSimple化、スリム化による工数削減
再生可能エネルギーの導入と水素の利用
日産自動車の取り組み
ニッサン・グリーンプログラム 2022(NGP2022)と呼ばれる中期環境行動計画に基づいて、バリューチェーンでのCO2削減量削減への取り組みを進めている。
気候変動に対する長期ビジョンの中で目標13 「気候変動に具体的な対策を」に関連するのは以下2つです。
製品:2050年までに新車からのCO2排出量を2000年比で90%削減
企業活動:2050年までに企業活動からのCO2排出量を2005年比で80%削減
出典:日産自動車公式HPより(「ニッサン・グリーンプログラム 2022(NGP2022)」取り組み一覧 抜粋)
サステイナビリティ観点でのトヨタと日産の比較
■新車のCO2排出量削減量
トヨタ: 新車平均走行時CO2排出量を2050年までに2010年比で90%削減
日産:2050年までに新車からのCO2排出量を2000年比で90%削減
どちらの企業も2050年までに90%削減する目標は同じですが、比較年に10年の差があることがわかります。2000年当時はEVやハイブリット車の台数はほぼ市場になかったため新車平均のCO2排出量は2010年と比べると多かったはずです。ですので、トヨタの方がチャレンジングな目標だと考えられます。
■企業活動全体のCO2排出量削減
トヨタ:2050年までにライフライクル全体でのCO2排出ゼロを目指す
日産:2050年までに企業活動全体からのCO2排出量80%削減(2005年比)
トヨタはCO2排出量をゼロ、日産は80%削減ですのでこちらもトヨタの方がチャレンジングな目標だと考えられます。
■サステイナビリティ露出度
両社とも公式ホームページ上にサステナビリティ情報を掲載していますが、トヨタの方がSDGsのどの目標に対する活動なのか分かりやすくまとめられていたと思います。また、実際の取り組み事例も写真を多用しアピールしていた点は良かったです。一方、日産に関しては定量的な表現(グラフ・表)が多く分析はされている印象でした。
まとめ
トヨタ・日産ともに2050年に向けCO2削減ゼロに近づける方針は同じであることが分かりました。目標に関してはトヨタの方がチャレンジングであると感じましたが、いかに目標達成に向け年々実績を上げていくことが重要だと思いますので今度はサステナビリティレポートを分析して各社の進捗状況を比較してみます。
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