見出し画像

マスターコーチの営業力

先日書いた前職でのマスターコーチである役員の話。
彼は一流のコーチだと思う。キャリアも人間力もとても高い。コミカルで親しみやすい、気取らないおじさん(70)だ。

そんな彼との9年間の日々で感じたことをもう一つ。
彼はときおり、コーチや研修講師としてではなく、いち会社役員としてお客様に営業することがある。商材はその時々で違うが、研修プログラムであったり、何か教材であったり、書籍であったり、それ以外にも頼まれた何か、色々あった。

僕は新卒のころから営業をずっとやってきて自信がある。相応の記録や実績も残してきた。さらには当時、営業研修の講師としても登壇していて新卒3~5年目の若手向けに研修も行っていた。
だからなおさら、彼の営業には興味があった。
「プロのコーチは一体どんな営業するんだろう」と様子を見ていた。

彼のスタイルは基本的に変わらない。
電話でセールスするときも、対面で話すときも、大勢の前でプレゼンするときも
「すっごい、いいのがあるの」
「あなたにピッタリだと思う」
「成功者は即断即決です」
と、とにかく感情を込めて身振りを交えながら話す。

正直言って、営業としてはレベルは低い。
相手のペインも掘り下げず、フックするような決め台詞もなく、何より一切の論理性がない。
この時僕は
「コーチングとセールスは別物と。」と心に刻んだ。
良く考えればそりゃそうだ。
クライアントの目的地まで、クライアント本人の意思で連れてくサポートをするコーチと、どんな道筋であれ「自社の提供する商品こそが素晴らしい」ことを伝える営業とでは、本質的なスタンスが違う。

あとは、toC,toBなど色々と違いがあると思うが、使う筋肉が違うんだな。と学んだ。

しかし実は、前出の非論理的なトークでもある程度商品が売れることも目の当たりにしている。その背景には、素晴らしいコーチとして、尊敬できる先生としての人間関係があり、「あなたに薦められるなら買います」という状態ができあがる。これが究極のセールスではあるが、一朝一夕に真似することは難しい。

フリーランスになれば、必ず営業がついて回る。逆に言えば営業できない人は独立してはいけないと思う。日々自分の人間関係、専門スキルを磨きこまねば。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?