宇宙人のともだち
こんにちは。id_butterです。
最近、宇宙人がおともだちをうちに連れてくる。
最初はいやだな、と思っていた。
だってうちはものすごく散らかっていて、どうしようもないまま片付かないからだ。
がんばってもがんばっても追いつかない。
子どもとはいえ、その子に見られるのは気が引けて、断り続けていた。
けれど、その子はどうしてもうちに来たい、というかうちに居たいらしかった。
最初は、つんつくしながら、トイレを借りたいというところから始まった。
それは何回かを経て、玄関で待っているだけでいいから、に変わった。
そこに止まらなかった。
次は娘の部屋だけ、と徐々に範囲を広げていき、今はリビングに座っている。
誤解されそうだが、その子はとっても礼儀正しく、真面目な子だ。
むしろ、普通より優秀で明るくて積極的、非の打ち所がないように見える。
わたしとしてもリビングにいても、不快なわけではないのだ。
会議中だから静かにして、と言えばしてくれるので困らない。
他人だから、とそんなに気を使う感じでもない。
なので、冗談を交えつつ「お母さんにうちが汚いことは内緒にしといてね」と言いながら口止め料だよとおやつを出したりしてしまう。
何をするわけでもない、軽口を叩いたりしながら、なんなら無言で本を読み、その子と宇宙人は楽しそうに過ごして、1時間もするとお家に帰っていく。
なんとなく不思議に思ったので、その子に聞いてみた。
「このうち散らかってるし、別に何するわけでもないのに、どうしてここで遊びたいの?」と。
びっくりした。
いや、なんとなく、気づいてはいたのだ。
宇宙人はおともだちが多いのだけれど、優秀な子たちが多いのだ。
うちの宇宙人はのんびりしているから癒されるのかな、となんとなく思ってはいた。
けれど、小学生であるご本人もそう自覚していて、さらに言語化できることを知って、あらためて驚く。
その子は、いつも宇宙人のことを「コスモちゃんは可愛いから、いいの」と言ってくれる。
宇宙人が失敗しようが、忘れ物をしようが、いつもそう笑う。
わたしはそれを聞いて、宇宙人はいいかげんだな、と思う気持ちに少し水をかけて消火し、宇宙人はひとを幸せにする力があるんだな、という気持ちを奥から引っ張り出してあたためる。
その子は塾と英語と習い事をやっている。
学校のお勉強もきちんとやっている。運動会もがんばっていた。
そして、礼儀正しく、いつも明るく優しい。
わたしは、宇宙人のともだちとしてではなく、その子本人を好きになってしまった。
おそらく、しんどいのだ。
けれど、お母さんや誰かの悪口を言わないようにわたしに説明してくれた。
その健気さが愛おしかった。
小学生は、大変だし、すごい。
そんな尊敬の意を込めて、これからも汚ないけれども楽しい我が家を彼女に提供しよう、とだめな大人であるところのわたしは思った。
そして、やっぱり我が家をがんばって片付けようとあらためて決意した。
サポート嬉しいです!新しい記事執筆のためシュタイナーの本購入に使わせていただきます。