9月20日朝8時少し前
朝の電車で寝てる人は数多いけど
その人の周りだけ
ブラームスの子守り歌が聞こえてくる
というか
彼女の周りに天使がいて
彼女だけに囁いているような
そんな気がした
横断歩道で信号が変わるのを待つ。
するとふわふわひらひらと
シジミチョウが私の横を通り抜け
地面スレスレを舞っている。
あぁかわいいなぁとみていたら
信号が変わって右折車が曲がってきた。
勢いよく進む車のフロントバンパーの下に
一瞬吸い込まれたかのようにみえたが
フロントグリルにぶつかるまでもなく
巻き上げられ
走り去った車の後
地面に落ちそれきり動かなかった。
シジミチョウがそこにいたことを
車の位置から見えるわけもないし
見えたとしてもあの儚さは
埃とか待っている種子くらいにしかみえない
運転中にそんなの見えるわけもない
15秒から30秒、いいやもっと短い。
短い間に命は消えてしまうのだ。
地面の色と同化して
シジミチョウがそこに横たわっているなんて
多分誰も気づかない。
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