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海外で活躍する日本人音楽家の言葉から思う事♪

■音楽家や音楽学生の海外留学

 私が大学生の頃は、大学を休学してヨーロッパ留学する者や、
大学や大学院を卒業して留学したり、プロとなって文化庁をはじめと
するさまざまな奨学金制度を利用して留学するという感じであった。
このコロナ禍で、コロナ前から奨学金など決まっていて、この状況下で
留学先に行く者もいたり、行けなくなったりとさまざな様に思う。

 私は、裕福な家庭の音楽学生や音楽家には、すねを齧り倒してでも
この国を出て学ぶ事を勧めたり(笑)、経済的に大変な場合は、
さまざまな奨学金や貯金したりして留学したり、または、何日でも
何週間でもこの日本の国という外を見た方が良いと勧めてきた。
それは、私が2010年~2012年立教大学兼任講師として、芸術的人間学を
一般学生に教えていた時にも同じ様に講義をした。

 私が何度も話をする様に、日本の島国文化と、
欧米などの大陸文化を知り、中から見る外の視点、
外から見る中の視点と大切であるし、島国文化、大陸文化という
視点を持ってはじめて、日本では国際化やグローバルという
事が理解できる事が多い様に思うからだ。
これらは、音楽の事だけに限らず、今の時代を生きるに
あたって必要な感覚に思う。

こういう問題にせよ、
法を作る官僚達が、難民、移民、世界情勢を
言葉や知識で学んでいて、大陸で肌で実情を感じた経験が
ある人達が日本は少ないでしょうし、擁護側も、
グロバールスタンダード的な視点で、
島国の村社会ベースで話している人達と議論しても、
平行線で溝や対立構造だけを生んでいる気がしている。
やはり、自分がどいう立ち位置や視点で話しているか、
話している側も理解しないと、私達のクラシック音楽も
ヨーロッパではこうだとか、欧米ではこうだと話しても
それは何もこの日本で浸透しないのと同じ様に思う。

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(写真は、とあるウィーンの風景)

■留学の在り方

 多くの留学生が留学経験者が、留学してどうやって学んだとか、
また、欧米で活躍する音楽家が日本のクラシック界の違いを語っている。
そこでの学び方や学んだ事、日本のクラシック界との違いの指摘は、
ごもっともだと思って読んだり、動画を見たりするのだが、
1つ欠けているのが、実質の留学資金の話である。それは、正式な数字を
聞きたいという話では無くて、正論だけを語ってるいる人の多くは、
その欧米での仕事のチャンスを掴むまでの資金、長期留学の費用、
それは、裕福な家庭だからできた事で、誰しもが経済的にゆとりがある人
だけが表現や音楽に携わっている訳ではない!

 今回のコロナ禍で、そのことが物凄く露呈されていると思うが、
これだけ音楽業界の仕事の数がコロナ前に比べて激減していても、
平然としてられる環境の音楽家の人達や音楽学生が、この日本には
圧倒的に多い様に思う。
世界中の大都市で学ぶと、生活費、学費、レッスン代、何か国際コンクールに挑戦すれば、参加費、旅費、宿泊費とかかる。1つの奨学金をもらったぐらいでは賄えない。

 私は、20代の頃にとある音楽機関紙に連載していた時も、
ハングリー精神のある国々の人達の事に触れていて、
家族や国を背負って音楽と向き合っているので、その迫力が違うという
事を。私が大学を卒業したのは1999年3月だが、あの頃は、
ほとんど欧米の情報が日本では調べられなくて、現地に行かないと
資料や情報がまだまだ無かった。今は、インターネットで調べられるので
当時と比べれば、自分のアンテナのはり方で、色々な情報を仕入れる
事ができる。

 ただ、公に宣伝しなくても受講者が集まる素晴らしい
マスタークラスとかは、そういう情報をくれる人達との
付き合いが無いと入って来なかったりする。

 留学の話に戻すが、同じ留学や欧米で生活するといっても
特に日本人は、まちまちで、裕福な環境の人達が正論で語る
留学の仕方が単に留学では無いので、色々な人達の声を
聞くと、海外で学びたい人達の道は開けると私は思う。

そういう意味で欧米を知っている音楽家の対談や
発信にはヒントがある様に思う。

私がインタビュアーで番組をしているTokyo borderless TVの
音楽人野獣の音楽の扉~今あなたに届けたい~という番組で、
初回のゲストのソプラノ歌手の森朱美さんが、
東京藝術大学大学院、東京学芸大学で非常勤講師される中で、
オンライン授業や海外留学がコロナ禍で容易にできない分、
モチベーションの保ち方に苦労している話をしていた。

 海外に興味がある場合、とにかく語学力を上げる事が第1だと思う。
欧米は、コミュニケーション能力が大切になってくるし、
意思の疎通ができれば、どこでどういうチャンスが舞い込んでくるかなんて
分からない。特に歌の人は、言葉を学べば、歌もレベルアップするのは
間違いない。私も2年前に、ウィーンにいる師匠に、日本語と同じ
言葉の色を出せないと、音をなぞった歌になって、そんなのは歌でも
音楽でも無いと。でも、超一流の人達はそれができている。
私にとっても大きな課題だが、日本人の歌は、声が良いとか、
日本的に言う大きな声とか、音程があっているとか、
全体的に歌い方も硬いし、歌詞と表情が一致していなかったり、
そこに、本当の意味の語学力や言葉というものが問われているのだと思う。

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