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ここ20年のクライミングの変化


2021年にスポーツクライミングとして、大きく世間に知られる『イベント』として取り上げられたクライミング。
良くも悪くも、世間に認知される事となりました。皆さんは、『クライミング』と聞いて何を思い浮かばれるでしょうか。
ロープを使用したクライミング、ロープを使用しないクライミング、早く登るクライミング。
基本的には全て『クライミング』であって、『ボルダリング』は、あくまでもその中の一つの競技です。
今回は、その『ボルダリング』にスポットを当ててお話しして行きたいと思います。

今から20年前の2000年頃のクライミングは、基本的にはリードクライミングが主流となっていました。
20年前は、大きな動きも少なく、基本的には岩をベースとして、課題が考えられていた為、ホールドも小さく、カチをベースとして課題を作成することが多く、マッチ(両手で持つ)できるサイズのホールドはあまりありませんでした。
ホールドもウレタンや、樹脂製のものでは無く、エステルの非常に硬い素材で作られたホールドのため、掛けてしまうことも、今より多っかった様に感じます。
現在で言うところの『クラシック』課題と言われる内容が構築された時代に当たるのが、2000年から2010年くらいではないでしょうか。

2010年前後からは、大きいホールドが目を引くようになって行きます。
カチ系のクラシックな課題から、ピンチや、スローパーなどの大きめのホールドが目を引くような課題になっていきました。
ここで大きく変化してきたのは、エステルのホールドは非常に少なくなり、ウレタンや、樹脂などの軽量化が進み出していたと同時に、ハリボテなどの形状も、増えつつありました。
この時期あたりからクライミングに『スポーツ』としての要素が、より多く取り入れられるようになったように感じています。
また、それと同時に『岩場』と『インドア』のクライミングの違いが少しづつ出てきたようにも、感じました。
あくまでも岩場の事を考えて登ってきたクライミングと、スポーツとして考えるクライミングの差がこの違いを生み出して居るようにも感じます。
両側面ともに、良い面も、悪い面も、もちろん存在すると思います。
ですが、この両側面の行き来して楽しむのも、クライマーであり、楽しみだと、個人的には考えております。

そして、時は流れて2015年ごろからはあからさまにホールドは巨大化し、ハンドホールドのサイズはドンドンと大きくなって行きました。
2000年頃のクライミングとは、全くベースが変わり、スポーツを前面に押し出すクライミングへと変化して行きました。
メディアでの試合中継が増え出したのも、この辺りが境だったように感じます。
おそらく2013年に決定した東京オリンピック2020の種目候補として、『スポーツクライミング』が選出されてから、メディアに注目され始めたと言う事でしょう。
その頃から、クライミングジムが乱立し始め各地域に、どこの都道府県にもある施設となって行きました。

2000年に始まった私の知っているクライミングと、今のクライミングでは全く印象も違えばスポーツとしての捉え方も全く違います。
もちろん、周囲には自分の歳の半分にも満たない子供たちが居る事もあれば倍以上、年上の方が居る事も普通にあります。
今では、小学生の試合ができるほどに、競技人口も増え、20〜30代の方も多く登るようになりました。
2000年当初は、中学生の私が最年少で、あとは皆さん、30代以上の方が多かったのがクライミングでした。
今では、大きく変わり年齢層も幅広く多くの方に、様々な形で、知られるようになり、経験できるようになりました。

ここで、個人的な主観になるのですが。
クライミングの印象を言うのであれば、以下のようになるかと思います。
2000年以前から、2010年までが『岩場メイン』
2010年前後から、2015年までは、『スポーツ』
2015前後から、現代は『エンターテインメント』

特に、インスタグラムの投稿が、増えてきた2016年前後辺りからは、『エンターテインメント』感が強くなって来たように感じています。

皆の周りにいらっしゃるクライマーは、どこに近いクライマーの方が多いのでしょうか。
人それぞれ様々なクライマーが、居ます。
ですが、今も昔も変わらないのが『クライミング』は、元来自然を相手にするスポーツであり、自己責任をベースとするスポーツです。
エンターテインメントは、『楽しむ』事をメイトにしているので、元来の形とは少し離れつつあると感じています。
もちろん、『楽しむ』事は大切ですが、それ以前に大切な事は沢山あると考えています。

一般的な『マナー』や、『ルール』があってこそ、『楽しむ』権利が発生し、安全を守る事ができる。
それを差し置いて、『楽しむ』が先に来てしまった段階で、『スポーツ』としての形も、クライミングとしての楽しみも無いと思います。

現代において、『誰でも発信』できるのは、非常に素晴らしいことです。
ですが、その前に本来のクライミングと、今貴方がしているクライミングは、『危険では無いのか』と、言う事を今一度確認してみてはいかがでしょうか。
もちろん、楽しみ方は、人それぞれです。
前述したように、様々なクライミングの歴史があり、様々なスタイルがあります。
そのスタイルを保つために必要なマナー、ルールを1度考えて見直してみましょう。
ジムにも、岩場にも、必ず必要なマナーや、ルールはあるはずです。

『アナタのクライミングは大丈夫ですか?』

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