見出し画像

若年コロナサバイバーの過酷な予後

友だちとか知り合いとか同僚とかその家族とかで、コロナに罹った、という具体例を殆ど聞かなかったので、自国でありながら対岸の火事感がかなりあるなあ、というぼんやりとした印象を持っていた。

出口政策が進んで行くにつれ、「お掃除の人の旦那さんが医療関係者で2回も罹患した、んだけど、自分を含む家族は(見做し感染者扱いで)未だにPCR検査を受けさせてもらえない」だの「大家さんがコロナで死んじゃったので引っ越ししなくちゃいけなくなって」だのという、ニュースが拾わない個別具体的ニュースの現場、みたいな話を見聞することが少しずつ増えている。

ニュースの方も、リスクグループ外のはずの若年層罹患者が、なかなか完治せずに苦闘していることを報道し始めた

エリアス・ロンニオーは23歳、建築学専攻の学生。極めて健康でスポーティブで、ウィンドサーファーでもあった。3月28日に最初の症状が出て、妹と一緒に酷い風邪に罹った、と思っていた。肺に出る症状がみるみるうちに悪化し、呼吸困難に陥った。5月に入って病院に行くとコロナ病棟に運ばれ、その頃から耐え難い頭痛も伴うようになった。ふと息をつける程度に緩む日があっても、翌日にはまた悪化する。筋力も劇的に衰え、症状が少し改善したら、とにかく歩く訓練から始めなければならなかった。こんなの、22歳の青年がやるようなことじゃない、と思うような訓練だ。でも歩くのは酷く疲れるし難しい。頭痛は常に去らない。

スクリーンショット 2020-06-27 19.39.27

ゲント大学の学生だから、学生たちがカフェに出かけてビールを飲んで騒いで、というのをニュースで観て、そういうのは自分もやったしやりたい気持ちも分かるけど、今この時点でマスクもせずに、十分な距離も取らずにいるのを見るのは複雑だ。止めて欲しい。

「結局、コロナって老人が罹って死ぬっていうだけのもんじゃん?」ということにして、他人事にしてしまいたいのも理解できる。
けど実際はそうじゃない。実際、このウイルスの正体はまだ誰も掴めていないし、今の状態が本当に終わるのかどうかさえ分からないんだ。

スクリーンショット 2020-06-27 21.49.54

ニナ・ボラートは土木技師の専門課程を終えたばかりの23歳。卒業して自立した直後の3月下旬に罹患、胃の具合が悪くて食べられない状態が続き、体重が10%減少してしまった。恐らくそれはほとんどが筋肉だったため、身体を動かすことさえも大儀になってしまった。もともとボルダリングや登山を趣味としていて、7月の終わりにはボーイフレンドと登山旅行に行く計画をしていたが、リュックサックを背負うことすら出来ないぐらいの筋力なので、諦めざるを得なかった。
今、同世代の人たちに伝えたいのは、とにかく第2波は小さいものであってほしいし、二度とロックダウンなんかしたくないから、みんなであつまってパーティ、というのは必要最小限度にして、本当に、気心の知れた仲間だけで交流する方が良いよ、ということ。

スクリーンショット 2020-06-27 21.54.36

トム・リーセンスは26歳。マラソン選手だったが、3月にコロナに罹患した後も予後が悪く、一人暮らししていたゲントから両親の住むベベレンで療養生活を続けている。今でも胸に痛みがあり、心臓が弱っていると言われた。すぐに疲れてしまう。筋力をつけることも含めて、自転車に乗る訓練を始めたが、本当に恐る恐るやっている感じ。ちょっと走ってみたが、まだそのレベルには回復していないのが分かった。

友だちと、病気について話すことはほとんどない。話すことそれ自体で疲れることもあるが、コロナに罹患するというのが分かってもらえていないのを感じるからでもある。

同世代の人たちに伝えたいのは、コロナは、健康な若者にとっては恐れるに足りない、という、根拠のない自信のようなイメージを持ってしまっているだろうが、結構そうでもないよ、ということ。マラソン選手だって罹るし、罹ったら回復にえらく時間がかかってしまうものでもある。

ロックダウンで鬱屈してて、ガーッとパーティやりたい気持ちも分かる。
でも、コロナに罹患する危険を冒してまで、パーティはしなくて良い。罹患しないに越したことはないんだから。

…引用以上。

フラジェイ広場での自然発生的大グルーヴパーティから、ちょうど1週間経った。

報道で知った我々ももちろんだが、何となく巻き込まれるように参加した格好になってしまったであろう内のかなりの数(であって欲しい)の人らも、

罹患してしまって今も苦しみながら、リハビリを頑張っている彼らの言葉をしっかりと受け留めて、浮つかず、せめてマスクは原則装着というスタンスで行かんといかんと、改めて思われた次第。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?