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超えるべきは最大の壁。 2022.09.03 湘南ベルマーレvs川崎フロンターレ マッチプレビュー

■メンバー情報

予想スタメンと立ち位置
各ポジションの嚙み合わせ。互いのDFラインに浮く選手が出る。

・湘南
米本が累積警告で出場停止。
新加入選手ミケル・アグの登録完了したものの、出場はまだ先の見込み。
・川崎
レアンドロ・ダミアンが怪我のため欠場の見込み。

 湘南は先週末試合なしのため約2週間ぶりの公式戦。川崎戦を皮切りに横浜FM、清水と3連戦の1試合目。川崎は先週末から続いた3連戦の3試合目。試合会場は等々力⇒等々力⇒平塚なので移動面での負担は少ないか。次節は来週末に広島とホームで対戦。
 怪我や出場停止以外の理由で欠場する選手が1名いるため、湘南のスタメン予想は若干難しい。米本の代役は茨田、右IHには池田を予想。個人的に鹿島戦で”アンカー”は取りやめたという解釈のため、茨田が引き続き右IH、米本の位置に池田が入っても不思議ではないと思っている。川崎は鳥栖戦をベースに、左SBは保持で違いを見せられる登里を予想。ターンオーバーも十分に考えられるが、次の試合までの間隔・連戦中の移動面での負担・残りの対戦相手と勝ち点計算、そして今シーズン1回目の対戦(等々力での0-4)といった要素からフルメンバーで来ると考えた。

■非保持のねらい

・左サイドの戦い

 試合の大部分は川崎が保持する展開になるだろう。ボールを持たない湘南は、ピッチのどこでどのようにボールを奪うかが重要になる。鹿島戦同様に相手は4バックのチームのため、浮きがちなサイドバックにはIHが出てプレス、2CBとアンカーには2トップで対応する形をとる。チームとして左サイドに強みがあるので、ボールも左サイドへ追い込むように規制をかけるのが狙い。対する川崎の右サイドもJ屈指の破壊力を持っており、規制をものともせず突破することが可能。前節の鳥栖戦では、右サイドの彼らはボールを持たずに試合展開を変えてしまったため、湘南としては試合から消すよりもボールを持たせて監視下に置く方向で対処したい。鳥栖戦に関しては以下の記事を参照。

 こちらのサイドではプレッシングとともにDFラインを押し上げ、ミドルサードで前向きにボールを奪うのが湘南の理想、プレスを持ち前の技術とパスワークでかわし、浅いラインの裏を突くのが川崎の理想とお互いの長所をぶつけ合うような見ごたえのある戦いを期待したい。

・右サイドの戦い

 サッカーの楽しみが詰まった戦いになるであろう左サイドに対し、右サイドは互いのリスクとバランスを考慮した駆け引きの戦いになると予想する。そもそも湘南としては右サイドに展開されている時点でチームの狙いが失敗しており、ボール奪取よりも撤退を優先せざるを得ない状況にある。橘田と登里には瀬川、または池田がチェックをかけて全体がスライドする時間を稼いでもらう。ここが間に合わないと簡単に前進を許してしまうため、彼らには根性で頑張ってもらうしかない。鳥栖戦での山根のようにマークの浮いた登里が中央に入ってきてくれる方が湘南としては助かるのだが、彼に幅と深さを取られると厳しくなってくる。
 左WGマルシーニョにはチーム1・2の対人能力を持つ舘と石原で対応。川崎の中ではコンビネーションよりも単騎突破を試みるタイプなので、アイソレーション気味にボールを渡す傾向がある。舘がマルシーニョ、石原が登里に対峙して数的同数のリスク込みで攻撃的な守備を取るのか、マルシーニョに対して1vs2のセオリー通りの守備でボール保持を許すのか。リスクとバランスを取りながら右サイドを封鎖できれば、狙いである左サイドの攻防に持ち込める可能性が上がるだろう。

・中央の戦い

  開始時の立ち位置では中盤3枚同士だが湘南の左IHが1列上がるため、アンカーを2トップの1枚が見る形になる。おそらく瀬川が谷口と登里を監視、町野がジェジエウに寄りつつ背中でシミッチへのコースを切って左サイドに誘導する。このときのプレッシングはボールではなく相手から時間と選択肢を奪うことが目的であり、DFライン近くまで下りてくる中盤の選手にボールが渡っても問題はない。タリクや瀬川の帰りが間に合う位置なのでオープンな状況でボールを持たれることは少なく、また低い位置であればボールが動いているうちに全体がスライドする時間が稼げるからだ。SB経由で中央に当てられても大きな問題にはならない。前進と逆サイドへのターンを許さないだけの強度を持ったプレッシングを発動できるため、ボールを下げさせたり網を張った左サイドに追い込むことができるだろう。

 反対に最も避けなければならない(のに起きる可能性がとても高い)状況は、高めの位置を取ったIHに直接CBがパス、斜め後ろにワンタッチで落としたボールをアンカーから右サイドに展開される形である。もともと右サイドは選手の頑張りによって成立しているところ、スプリントよりも速くボールが到達すれば数的不利な状況をつくられ、一気にPA近くまで侵入を許してしまう。また家長が上図の脇坂の位置に入り込んでくることも予想され、これを防ぐのは容易ではない。湘南としては左IHの立ち位置がカギを握る。川崎のIHへのコースを切りつつSBにボールが出たらすぐに寄せられる位置を交代選手含めて90分取り続けなければならない。非常に厳しいミッションである。
 このエリアでは、お互いにどのようなルートで中央にボールを送れるかがポイント。サイドを経由して中央ルートであれば湘南、中央⇒中央の最短ルートでつなげれば川崎が有利な状況を作り出せる。川崎のポゼッション能力は疑いようもないので、いかに湘南が強度と連携をもったプレッシングを続けられるかが勝負の分かれ目になる。

■保持のねらい

・唯一突けそうな川崎の隙
 試合全体の中では短い時間にはなるだろうが、湘南がボールを保持した場合はどう前進するか。この場合でも狙うのは左サイドだ。川崎のプレスはFWがサイドを限定し、WGが外へのパスコースを切ってIHが回収する形だが、脇坂は幾分か前に突っ込みすぎるきらいがある。IHの裏(シミッチの脇)はSBが前に出てカバーする約束のようで、それが上手くいったのが鳥栖戦の1点目だ。あのシーンは山根を褒めるべきところだが、鳥栖の中野が受けようとしたところは川崎にとって非常に嫌な位置だったはず。湘南も同じ位置でボールを受け、山根やシミッチ、ジェジエウのポジションを動かせれば1つ目の目標達成。ビルドアップのスタート地点となる杉岡とワイドに開いた畑、中央に位置する茨田でパス交換し、脇坂と家長の門を開く布石を打って川崎の守備陣を迷わせるようなボールの持ち方をしたいところ。しかし狙ったスペースを取ってもジェジエウが潰しに来るはずで、この最大の壁を超えられなければ得点は不可能。1試合に1回起きるかどうかの決定機をしっかりと決めきれるか、あるいは目の覚めるようなスーパーゴールが決まることを祈るしかない。

■ベンチワーク

 湘南にとって不安な点は茨田の交代選手だ。出場停止の米本、永木と田中聡の移籍で経験のあるボランチがいなくなってしまった。出場ポジションがIHでありチームの中でもトップクラスに負荷の大きい役割であるのも考慮しても、60分ごろから目に見えて運動量と強度が落ちるので交代は必須。3バックの誰かを1列あげて岡本を入れるのか、経験の浅い新人を抜擢するのか(あるいは新加入ミケル・アグを起用するのか)、山口監督の頭は痛いはずだ。
 川崎のベンチはポジティブな印象がある。前節途中出場した宮城のガツガツとしたプレーでチームに活気を与え、大島の今シーズン初ゴールも生まれた。ここのところ決定機を逃しているようだが、途中から入ってくる小林は湘南にとって恐怖でしかないし、経験とユーティリティ性のある山村は1点を守りきるためにも起用可能。順位の差はそのまま選手層に表れている。
 最後に触れておきたいのは湘南の背番号10。今シーズンは試合に絡めない時期が続いているが、これまで残留を決めたシーズンは彼の活躍が欠かせなかった。練習では元気な姿を見せているようなので、そろそろピッチでも躍動する姿を見たいところ。奇しくも川崎の背番号10も復調し始めており、ラスト20分の共演に期待したい。

■湘南のキープレイヤー

・杉岡大暉
 保持、非保持どちらの局面においても中心選手。非保持では家長・脇坂・山根と対峙、保持ではビルドアップのスタート地点として重要な役割を担う。とくに保持局面でのスキル(身体の向きや技術、判断速度)の質がチームの浮沈を握る。


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ぺん
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