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雨の籠城戦。 2023.02.24 湘南ベルマーレvs横浜FC マッチレビュー

開始時の立ち位置と嚙み合わせはこちら。

開始時の立ち位置
各ポジションの嚙み合わせ

■狙われた左サイド

 2月の夜、雨降りしきる平塚でキックオフ。試合開始直後に横浜FCは準備していた奇襲作戦で湘南に襲い掛かる。DFラインから右WGの近藤に向かってロングボール、処理が中途半端になったセカンドボールをすぐさま拾って井上と小川がPA内に侵入してフィニッシュ。開始15秒で横浜FCが先制した。プレビューで触れたとおり、横浜FCは丁寧にボールを繋いでくるサッカーを志向しているが、それを逆手にとって中盤を省略した展開で一気にゴールを奪うことに成功。湘南としては出鼻をくじかれる格好になった。試合を通じて畑は近藤へのロングボールに悩まされ続けて前に出るシーンも少なく、左サイドをほとんど制圧されてしまっていた。

先制点も含め、繰り返し見られたシーン。
中盤を省略して畑を狙い撃ちした。

■湘南の攻撃ルート

 開始早々に失点したものの、そこまでショックは見られない湘南。プレスはそこまでハマらなかったがボールを繋いで前進を図る。17分には横浜FCのプレスをかわして小野瀬から大橋へ浮き球を送り、パスを受けた町野がゴール。鳥栖戦に引き続き、この試合でもサイドからFWに浮き球を送るパターンから相手陣内に侵入を繰り返していた。しかしながらンドカ、ガブリエウの両CBはフィジカルに優れており、前節よりも跳ね返されるシーンも見受けられた。

■取り返せない陣地、捕まった中盤

 ラッキーな形で前半のうちに逆転できたが、後半途中から横浜FCの修正に対応できず押し込まれる展開が続く。ボールサイドのSBが前に出てWBをケア、前線で数的同数を作り出してパスコースを遮断する。湘南は変わらずFWに当ててからの前進を試みるが、読まれ切ったパスはCBに跳ね返され横浜FCがペースを握っていく。自陣に押し込まれ走らされる時間が続いていくうちに消耗が募ってポジショニングがずれて球際の強度が低下、ボールを奪えず繋げないと悪循環が続いてしまう。

修正後の横浜FCのプレス。
昨シーズンのマリノス戦(アウェイ)と同じ盤面にされた。

 前に出ているSBのスペースを突きたいところだったが、ユーリ ララのケアでカウンターもままならない。中盤で捕まっているIHがスペースに抜け出す動きが見られればFWへのパスも通ったかもしれないが、後半は足下で受けようとするところが目立ち、連動した動きというのは見られなかった。打開の一手が見つからないまま押し込まれ続け、83分にCKから失点。小川はこのシーン以外にもクロスからポストをたたくヘディングシュートなどボックス内で際立つプレーを見せていた。
 VARによるPK判定取り消しなどがあった結果、2-2の同点で試合終了。セットプレーからの失点やシュートミスなどはさておき、押し込まれた展開から陣地回復の手段が見せられなかった点が残念だった。昨シーズン終盤に見られたIHの裏抜けやWBの一列上げなど方法はいくつか備えているはずなので、以降の試合に期待したい。

試合結果
J1リーグ第2節
湘南ベルマーレ 2-2 横浜FC

得点者
湘南:町野(17')、オウンゴール(23')
鳥栖:小川(1',83')


主審
清水 勇人

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