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中国定番アプリの通信簿。バイトダンスの新たな音楽アプリに期待

2022年ももう半分が過ぎましたが、ここまでの中国の各アプリの利用状況など通信簿的な情報がまとまっていた投稿と議論が面白かったのでシェアしたいと思います。

■ITジャイアントたちのアプリ利用状況

中国のITジャイアント4社、テンセント系/アリババ系/バイドゥ系/バイトダンス系アプリのユーザー普及率はそれぞれ98.6%/94.7%/90.7%/86.4%に達しているとのデータが出ています。

互联网App运营跟踪:短视频活跃度提升,降本增效等结构性变化

バイトダンスのニュースアプリ「头条」が若干下落傾向にありますが、それでもニュースで86%以上が使っているというのは凄い。また、WeChatの2022年1-3月期の月平均DAUがそれぞれ6億8700万/6億9500万/7億600万ということで、改めて恐ろしい数字。

しかも1日の平均利用時間は3か月それぞれで72.1/72.6/79.9分、1日の平均起動時間は20.0/19.8/21.6回。 WeChatは生活必需レベルのコミュニケーション・ソーシャルアプリですでに利用率は高いのですが、最近では動画の影響力も増していてさらに接触時間が伸びています。WeChat Videoがユーザーとのエンゲージメント向上に大きく貢献している件は以前書いたnoteでも紹介しました↓

■ECアプリさんたちの通信簿

中国のECアプリたち(淘宝、拼多多、JD)も堅調に使われています。Q1の平均DAUがそれぞれ3.26億/2.38億/0.83億で、MAU規模が7.71億/5.83億/4.4億です。

ご存知のように、中国のいくつかの都市では今年になってからコロナ対策でロックダウンが行われていた影響もありネットショッピングの需要は大きかったです。また、eコマース企業はコロナ感染でロックダウンで大変だった上海を助けるために人員と資材を投入。企業の社会的責任を果たしたことはユーザーのイメージ向上にもつながったと分析されています。 

ただ、ゼロコロナ対策で需要が増えてる一方、全国のあちこちで散発的な感染が見つかるたびに団地規模から都市規模のロックダウンになることはECビジネスにとってはマイナスでもあります。それは配達の効率が悪くなったりできなくなったりすることがたくさん発生するから。この辺りは別途noteで紹介しようと思います。

■ショート動画アプリさんたちの通信簿

ショート動画の2強だった抖音(中国版tiktok)と快手(中国版Kwai)のMAUはそれぞれ約6億と約2.4億と差はついてますが、2.4億もすごい数字。またユーザーの利用時間はそれぞれ150分、130分と恐ろしい長さでした。

上記のnoteのリンクでも記載したように、最近快手の苦戦が報じられていて、人員やマーケティングコストの削減も話題になってたんですが、今年のデータを見ると利用ユーザーは増加している。ポイントとなったのは旧正月と冬季オリンピック。旧正月期間中に22億元の紅包キャンペーンと新ゲームの「财神到」をリリースしたところ、大晦日には紅包がやり取りされた総数が115億に達したとのこと。

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↑アプリを逆さに引っくり返すとこのゲームの画面に。ゲームをプレイすると紅包のチャンスが発生するというしかけ。

また、北京冬季オリンピック期間中にはオリンピック関連ビデオの再生回数が1545億回というとんでもない数だったそうです。 この好調さもあり22Q1 の広告/GMVは前年比30%強/40%強の成長を達成する見込み。ショート動画業界に対しては、3月に政府からの未成年者保護とライブゲームへの規制があったのですが、今のところ大きな影響はないのではないかと分析されています。

■動画プラットフォームたちの通信簿

中国の動画プラットフォームの1-3月の成績もかなり好調でした。「テンセント動画」「爱奇艺」「优酷」「B站」「Mango TV」のMAUはそれぞれ約4.1億、約4億弱、約2.3億、約1.7億、約0.6億で安定している。ショート動画の台頭で長尺動画プラットフォームに陰りがと煽る人を日本のメディアで見ましたが、中国では今のところきちんと棲み分けが行われ好調です。

また最近話題なのは会員価格。爱奇艺(Aiqiyi)が2020年11月と2021年12月にAndroid会員向けに値上げ、Mango TVは2021年12月に1~20元の値上げ、テンセント動画が2022年4月に5~20元のVIP価格の引き上げを発表。産業全体で価格面での悪質な競争から脱却し、コンテンツ制作費を合理的に縮小してプラットフォームのマネタイズ効率が向上することが期待されています。

■音楽アプリ界に新たなライバルが出現

音楽、音声アプリの代表的なものは「QQ音乐」「酷狗」「酷我」「网易云音乐」「喜马拉雅」であり、どれらもMAUが約1-2億人で安定しています。

ここにByteDanceの新しい音楽アプリ「汽水音乐」が入ってきたことが話題なトピックで業界全体が活性化することが期待されています。

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βではなくなったものの、まだテスト段階の位置づけとの報道もあります。アプリはシンプルで、下部のナビゲーションバーには「音楽を聞く」「発見する」「マイページ」だけ。 "音楽ページ "には、再生する機能と、パーソナライズされたラジオ局のようにオススメされる機能の2つがあります。そして当然抖音と連動しています。抖音と汽水音乐は同期することができ、 ショート動画視聴で耳にした音楽は汽水音乐で聞くことができるし、その逆も可能。

今の時点ではtiktokのようにショートの音楽をどんどん聞くようなサービスではないですが、今後新しい音楽体験を作ってくれることに期待です。

(参考資料)


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