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利用規約を舐めちゃいけない。サービスの運命を左右するかもしれません

先日のnoteで中国の21のアプリで個人情報などの扱いが不適切であるという話を紹介しました。

実は先日、中国のネット小説大手の「閲文グループ」(テンセント系)が、利用規約に関する規則変更を巡って作家さんたちとの間で喧嘩に。大炎上しました。

これは日本ではあり得ないような内容で面白いので紹介しましょう。

まずは閲文グループについて簡単に説明します。

公開されてる情報によると、「閲文」は中国の最も大きいネット文学プラットフォームで、2019年の時点で810万の作家と1220万タイトルの小説があり、そのうち1150万タイトルがオリジナル作品となります。

プラットフォームの主なビジネスモデルは、有料コンテンツと作品の映像化ですね。

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↑2019年の売上高が83.5億元(約1285億円)で版権収入が44.2億元、MAUが2.2億。

そして事件が起きました。

まず4月末に「閲文グループ」の管理層が大きく変わ、その後にネット小説作家さんとの契約内容が変更になりました。

変更され炎上となった主な規則は以下となります。

・作者の創作した作品の著作権は作者が死んでから50年後まですべて閲文が所有する。
・作者と閲文において、すべての創作は閲文によるものとみなし、著作権は閲文に属する。
・作者の作品が権利侵害に遭った場合、訴訟を起こす際は作者が自費で行う。
・契約を締結した作者には、閲文が作者の次の新作の優先権を持つ。他のプラットフォームで発表する場合は閲文を通すこと、契約の意向がない場合のみ他のプラットフォームで発表することが可能となる。
・契約締結後、作者が得る収入は読者が払った費用から運営費用を差し引いた後の「純利益」が対象となる。
・閲文に作者のSNSアカウントの支配権がある。
・閲文が作品に不満がある場合、他人が原作を書き換えることができる。

あり得ませんね…

一方的で不当な契約条項ということですぐに炎上、5月5日には作家たちによる大規模な更新中止抗議が行われました。

その結果、「閲文」が規則を見直したことになりましたが、作家にも、読者にも大きな悪影響となりました。

日本でもそうだと思いますが、こういうことがあると危機感を生んでしまい、ユーザーが離れてしまう。新たなプラットフォームを探す動きが活発化しました。

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↑様々なアプリを試してレポする人たち

正直、noteが今進出したらすごくチャンスだと思っちゃいました(もちろん壁も高いですが)。

実は中国ではプラットフォーム側から理不尽な強要はしょっちゅうあります。

例えば、Weiboが2017年9月に更新した利用規約では「ユーザーがWeiboに書き込んだものやアップロードした内容をWeibo以外のところで使用したい場合、Weiboの許可が必要となる」というもの。

これも当時にすごく議論されました。結果として「ユーザーがWeiboに書き込んだものやアップロードした内容のすべてはWeiboに使用権がある」に変更されました。

というかそもそも利用規約なんて読む人いないですよね。しかも長すぎる、どれだけ長いかというと...

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↑デザイナーの「Dima Yarovinsky」さんがプリントアウトしたWhatsApp、Google、Tinder、Twitter、Facebook、SnapchatとInstagramの利用規約。最も長いのはInstagramで17161単語で全部読むには86分間かかるそうです。

一年以上noteを書き続けましたが、実は利用規約を読んだことないですよ(^^;;

今回の件での中国のネットユーザーの反応を見て、プラットフォームの代わりはいくらでもあるって感覚を持ちました。競争が激しい中国では本当に気をつけないといけないなと思います。

「閲文グループ」はその後の改正によって株価が上がりましたが、この一連の騒動でたくさんの作家と読者を失ったことは間違いないでしょう。

(参考資料)


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