♯28 耳管開放症という障害。

高校生

正直通うつもりもなかった高校に入学した。
もちろん普通の高校は無理だったから少し特別な高校に。

チューブは今までと違って問題なく差さったまま長い時間が過ぎていたけれど、この長期留置型チューブを鼓膜に差し込んだままの状態を維持するための薬が一番辛かった。

これは今でも変わらず一番しんどい薬だ。
どんな薬の副作用も大きさも苦さも耐えられるが、点耳薬だけは耐えられなかった。

もう一つが異常な耳の痒み。

一日二回、簡単に説明すると目薬の耳バージョン。
耳に液を垂らして10分から出来れば20分横になって耳浴をする。

これをする目的はチューブ周りに溜まってしまう耳垢、私は耳に水が溜まりやすかったからこそ、換気目的のチューブをしているのにも関わらず滲み出てきて固まってしまう。

放置をするとチューブは浮き上がり外れてしまう。
あれだけ辛い思いを、耳抜きをし続ける日々を送るくらいならば我慢するしかない。

耳に薬を垂らす、薬を垂らした方の耳を上にしてただ時を待つ。
プールに入った時に耳に水が入ってしまった違和感と不快感は大体の人がわかる感覚だろう。

これを20分。

時間が来たら今度は反対の耳を上にして中に入っている薬を抜く。
簡単にこれで抜ければいい。

でもほとんどが上手く抜けきれずに耳に水が入ったままの状態になってしまっていた。

そうするとどうだろう、そんなことは想像に容易いわけで。

今まで味わってきたよりも更にもっとひどい状態の水の中にいる感覚。
耳に水が入ったまま過ごすのは人の声も、周りの音も、生活音も全てがうまく聞き取れない。

もちろん自分の声も聞こえない。
いや、正確に言うと聞こえてはいる、聞こえているのは水越しの音だけ。

チューブ周りの耳垢が無くなったらしばらく点耳薬はお休み。

またすぐに溜まる、また再開。

同時進行でアレルギーを抑えるための、鼻に噴霧する治療薬のステロイド。
鼻の通りをよくする薬に、炎症や出血止めの薬などを毎日。

毎日薬を飲むことが当たり前だからこそ、これに関しては一つの苦もなかった、これは今でも変わらない。

バイトも始めた、病院代はいくら保険が効いててもチリツモで大きくなっていく。

耳鼻科、眼科、皮膚科、整形外科に休みは大体病院巡り。
正直今も休みは病院に通っている生活だ、もうここまで来たら友達と会うより多い回数の医者の方が仲良い気もしてくる始末だ。

このチューブが外れてしまったのは高校二年に上がる頃だった。

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