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♯10 耳管開放症という障害。

一般的な耳抜きと私たちの耳抜きについて

飛行機に乗った時に音が詰まる不快感、痛みで鼻を押さえたり、唾を飲み込んだりして耳抜きをする人は少なくないだろう。
あるいはダイビングの講習で耳抜きのやり方を教わったり。

耳の奥、簡単に言うと鼓膜の中にある耳管と外耳の圧に差が生じてしまい起きてしまうのがこの不快感と痛みの原因だ。

声がくぐもって聞こえる。
耳に感じたことのない痛みが走る。
耳の中を押さえつけられているような違和感。

そもそも耳管というのは通常閉じていて密閉されている空間だ。

密閉されている空間に外部から圧がかかるとどうなるかなんて想像に容易いだろう。
そのために耳抜きをして一時的に耳管を開き圧を調節し一定にする。
これによって耳の感覚が通常に戻り楽になる。

子供のうちは耳抜きという動作自体を知らずのうちに習慣化してしまう。
それが鼻すすりだ。

普段から鼻が出ていないのにも関わらず無意識のうちにすすっていませんか?
または鼻をよく触り鼻をすい続けている子供はいませんか?

アレルギーにより鼻水が長期的に出ている状態も非常に危険です。

一時的に楽にするための手段が癖になる事が多い病気がずっと話し続けている中耳炎の症状の一つでもあります。
癒着性中耳炎、滲出性中耳炎などを長期的に患っている場合、聞こえない事が正常だと頭が認識します。
心身にストレスをかけないために頭が体を守ります。

以前お話しした鼻から耳管へ空気を通すなどの治療により一時的に聴覚過敏の反応が出て元々の聞こえない状態に体が戻そうと鼻すすりをします。
これを我慢しなくては一向に良くなりません。

けれども一時的とは言え、自分の呼吸音でさえうるさく耳を閉じてしまう子達が、鼻を軽く一回すすれば楽になることを覚えてしまっている子達が、我慢できるわけもありません。

もちろん全員がとは言いません。
そして子供だけとも言えないのです。
大人になっても鼻すすりを辞められずに耳に負担がかかり鼓膜や内耳にダメージを負ってしまう方も多いのが現状です。

私自身もそうでした。
もうこの五歳の頃には耳抜きなしでは息をするのも辛かった。

今でこそ分かった事ですが私は耳管が全く閉じず、尚且つそれがだいぶ広い。
耳抜きをし、強制的に耳管を閉じようと、正常に膨らんだ鼓膜を引っ込める動作をしないと自我が保てないほどのストレス。

それも長くて数分、ひどい時は数秒単位で繰り返す。
鼻を指で塞ぎ口を閉じ、鼻から息を吸って耳抜きをする。
一呼吸したら嫌な音が耳からまた聞こえる、世界が自分がうるさい。
またすぐに繰り返す。

耳抜きをし続けないと話す事も聞く事も、ご飯を食べる事も飲み物さえ飲めません。
飲んだら、食べたら、一口ごとに耳抜きをしないとうるさすぎる周りの音たちと自分の音に精神が保てませんでした。
うるさいだけじゃない、耳に響く軽い音のボコボコと言う感覚と音。
グシュグシュと聞こえる水の音、自分の呼吸で聞こえない母の声。

呼吸は浅く、あくびなんかしたくない。
飲み物はできる限り飲みたくない。
ほっぺは膨らませられない。
話したくないし話しかけられたくない。
外に行きたくないおうち遊びがいい。

幸い私の母は家の中だけで遊ぶことに抵抗もなく私が話さずとも笑いながら一人で、まるで舞台でもしているかのように話して遊んでくれた。
一緒にいた男の人もそうだった。
大体が、うん、私の記憶では多分そう。

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