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短歌32「喪服を眺める」

桜咲きチューリップ咲き梅も咲く今札幌の春の始まり

縁を切る胸に抱えて闇を行く月から梯子降りてこないか

2時を待つアイス食べたい風強い 喪服を干してしばし眺める

クレープの底垂れる雫夜に落ち波紋をおでこに感じた日

時が来て棺を囲む童女らが花を敷きたり少しほほえみ

花粉症涙止まらず大泣きをしたかのようで海に溺れる

どうしても欲しい銃のレプリカが スコープの向こうだけ雨の降る

春の嵐 住宅街に熊出でて誰かの庭で子熊は眠る

足跡が付かない深さで愛してた露草からのつつがなき夢

赤くないトマトはじかれ拗ねているすぐ有頂天ぼくを許して

恥かいて垂らして生きるでもなおも火星のモノリスは頭上にあり

食べられる人形食べられないで犬歯を隠すやさしくはない

じゃがいもの頭抱えてうーうーとふとん転がり波を避ける

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