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詩17「ケチャップ」

引き金を間違って引いたそれはケチャップ
尊厳とかは瞬時に失せる
残響もいずれ消える
映画的スローモーションにもならないで
容赦なく瞬間的に彼女は失われた

父の骨眠るみずうみまで4時間の旅行
列車からは鹿の群れが見える
彼女の服を散らかしてきてしまったな
用途のわからない服がたくさんあった
カルデラのみずうみ死ぬならそこと決めてあった
地球が丸かろうと平らだろうと山は山
肺が木槌で何度も殴られる感じ
灰皿のタバコの山を思う
最後の一本はまだ半分しか吸っていなかった

星が降りそうだ夜空が回る
補正下着の君の固いおなか
才能はなかったけど歌と踊りが好きだった
そんなふうにして消えるなんて思ってなかったけど
今更手が震えるんだけど

会いにきたよ父さん
僕の弾丸は柔らかな頭をぶち抜いて
生命に必要な何かを全部破壊する
それはこの瞬間の救済
彼女のように
ケチャップ

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