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フューチャーファンクとユーミンマインド

先日、大好きなユーミンこと松任谷由実さんが発売されたアルバム
「ユーミン乾杯‼︎〜松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム〜」
について語らせて欲しい、というか勝手に泣かせて欲しい。


2022年にも「ユーミン万歳」というベストアルバムを発売している彼女の最近の第2弾ベストアルバムになるわけだが、今回はなんといってもコラボアルバム。
内容は
一曲一曲異なるアーティストとコラボし、
一例を挙げるとくるり,YONCE,YOASOBIさらには世界的DJのKravizなど。
彼らと共にユーミンの名曲たちを再構築した10曲が収録されている。

かくいう僕はこのアルバムと出会ったのは
年明けてから桑田佳祐の
「Kissin' Christmas(クリスマスだからじゃない」
にどハマりし気がついたらアルバムの中にどっぷり浸かり抜け出せなくなっていた。抜け出す気もさらさらない。あけましておめでとう。
そこから各々の曲を聴いていくわけだが
改めてユーミンの凄さに気付かされ
気がついたらこんな大人になりたい!!!とまで考えている。本当にすごいと思うから是非聴いて欲しい。

僕が一番思うことは何より
「69歳という年齢になっても
自分の音楽を他人を通してレタッチしてそこに
自分も加わるという営みを今も尚行っていて、また同時に新しいものへの受け入れもしており楽しそうな様子が曲を通して伝わってくる」ということだ。

元々年齢であーだこーだ区切ったりするのはあんまり好きではないのだが
仕事上ここ半年は西成で60代以上の方と接する機会がほぼ毎日あることもあり、
非常に強く刺さったポイントになった。
勿論、ユーミンが元々アーティストであり今も新曲を出し続けていることを顧みると
少なくとも自分が仕事をし続けてきた中で感じる環境の変化(レコーディング機材や環境、テクノやDJなどの電子的サウンドなど)を受け入れざるを得なかったことは考えられる。
にしても、自身や夫松任谷正隆と作り上げた歴代の名曲を今再構築しているのは些か恐縮してしまう。

多くの人間は一度富を築いたりいい経験をするとそれを守ろうとしたり、その事を回想して楽しむといった行動を取りがちだと個人的に思っているわけだが、
反対にさらに超えていこうとする人もおり、また全く振り返られない人もいる。
結論から言うとユーミンはこの要素両方をリミックスした人ではなかろうかと推察している。
なんにせよ凄すぎる。

話は少し外れるが
日本の70s〜90sのCitypopを
海外DJによって現代版にRemixした
"Future Funk"という音楽のジャンルがある。
そして日本におけるFuture Funkの流れというのは
「本人以外による発掘→編曲→発売」
といったようなフロウを辿っていることが多いように見える。
ここには本人がほとんど介在することはない。

今回のコラボアルバムは私が思うにFuture Funkに分類されると考えているのだが
ここで重要なポイントが
曲を作った本人が主体的に行っており
ここ数年のFuture Funkの中では極めて稀な
フロウで作成されていることである。
勿論、Future Funkとして編曲されているアーティストの中には亡くなっていたりもしくは解散していたりして本人達の復活が難しい場合もあるため一概には言えないが、それを踏まえても凄い。ほんとに。

最後に僕と結びつけて話を進めると
他の人から「フッ軽」「新しいもの好き」
「なんでも好奇心がある」と言って頂くことがある。
一方今も人生の指針にしている大学の先生から
「タバタさんフットワークが軽そうに見えるんですけど、いつも同じところにいるんですよ」
と言われたことがあり、こんなに僕を見抜いてる人がいたのかと驚愕して今も忘れられない。
というわけで、新しいものも好きではあるが
やはり一回好きになったものとか昔から好きなものとか、自分の安心するやり方に最終的に帰着していく傾向があると思っている。
今回のアルバムはそんな僕を肯定しながら、
69歳のユーミンが大きくて温かい
背中を見せてくれているような
本で言うところのバイブル的な存在だ。
「素敵な経験があったら大事なものがあったら
また人と一緒にしたらいいじゃない。」
というユーミンからのラブレターと受け取って
これからもいっぱい聴きます。乾杯。

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