見出し画像

泳げこいのぼり被災地の空に     重富と3.11 ⑯

ビールスタンド重富マスターの重富です。
ビールを注ぎながらビールを継ぐ「麦酒伝道師」を目指しています。
これから少しの間「重富と3.11」について振り返ってみようと思います。「地震・津波」についての内容や映像が出てきます。

3日目の石巻へ

朝日を浴びながら石巻へとトラックを走らせます・・・・・
朝のラッシュのない下道を海岸線にむかって走ります。

市街地の様子は、倒れた建物もなく通常の町並みなのですが・・・
海岸線に近づくにつれて・・ 少しづつ 様子が変わってきます

海から流れてきたであろう、様々な物や浸水の被害にあった建物など。
石巻ほどではありませんでしたが・・・
生活や仕事が、できないであろう。
そんな建物が増えてきます。

画像2

これまで、高速道路を使用していたので見ることのなかった光景です。
市街地から、ほんのわずかの距離でも・・・ 

本当に今回の大震災の物凄さが伝わってきます。
これをリアルで体験された方々の心境は・・・ 
胸がつまります。

専修大学内のボランティアセンター

この2日間で、いつくかの場所にこいのぼりを掲げて
お配りして、お渡しして・・・

でも、100匹のこいのぼりがトラックの荷台に残ったままです。
昨日、事務局さんの

『広島の皆さんのお気持ちを配りましょう』 
配りきれなかった こいのぼりを 届けてください。

有難いお言葉です  (感謝)
昨日訪ねた事務局にご挨拶して・・・
倉庫担当のボランティアさんに繋いで頂きました。

大きな倉庫には救援物資が所狭しと・・・
これを整理されているボランティアさんの苦労が伺えます

救援物資を「よかれ」と思い私達は送ってきましたけれど・・・
現地(現場)で、このように整理され、必要な箇所に必要な物を届ける・・・このボランティアさんのおかげで 被災者の方々に 物資が届いているんだなぁ・・

その現場をみることができました。

緊急性を有しない「こいのぼり」を、ボランティアの皆さんは笑顔で受け入れてくださいました。

こいのぼりを整理している時に「これ、あの子に持って行ってあげよう」 とか、これは、あの避難所に持っていったら子ども達喜ぶよね・・・

終始「笑顔」で整理を手伝ってくださったボランティアの皆さんに本当に感謝です。

でも・・・こいのぼりでよかったのか??
非日常物資をこの時に・・・
という 自問自答。疑問は絶えず頭の中にうごめいていました

ボランティアのリーダーの方に・・・
「広島から持ってきたお酒です。みなさんで夜にでも楽しんでください。と
広島の酒蔵さんから協賛してもらった「カップ酒」を お渡ししました・・・

この時の「笑顔」は忘れられません・・・
「お酒」の大切さを 改めて感じました

空になったトラックで専修大学のボランティアセンターを後にしました。
しかし、私の心の中はますます重たくなっていきます。

そのまま、渡波中学校へと向かいました。
子ども達は、それぞれ別の学校に通っているので、子ども達の姿はみえませんでした・・・

車を駐車場に停めて・・・
しばらく「こいのぼり」を眺めていました

先生もお忙しいだろうと思い声をかけませんでした・・・

こいのぼりを届けたいと決めて数日後。
この中学校から電話があり…
このプロジェクトは始動しました。

そして「今」広島の皆さんの「想い」が石巻の空に泳いでいます・・・・

画像1

30分位 時間が経過したでしょうか?

避難生活をされている方だと思われる、女性が近づいてこられました

女性「あなたが、こいのぼりを掲げてくださった方ですか?」
重富「はい。私です広島から届けました」
女性「ありがとうございます」
重富「どういたしまして・・・」

「こいのぼり」を持ってきてよかったのか?
「こいのぼり」でよかったのか?

そんな事を考えている時でしたけど
ちょっとだけ嬉しい「一言」でした


女性はことばを続けました…


本当に ありがとうね・・・
こいのぼりをみて・・・・
止まっていた時計が 動き始めました!
これまで、今日の事、自分の事で精一杯でしたけど・・・
この こいのぼり を見て・・・思い出しました。
子ども達の為に頑張らないといけませんね! 


重富「ありがとうございます」
 (たぶん 言葉になっていなかったと思います)

涙があふれて あふれて 止まりませんでした・・・・

  こいのぼりで 良かったんだ!


ホッとした瞬間でした・・・・
この2日間のもやもやが、一気に晴れて行きました・・・

そして、その時に見たこいのぼりは・・・
さきほどとかわらず元気に泳いでいます!

この1人の女性の為だけにでも、広島から持ってきて良かったんだ
そう、心が軽くなる感じでした・・・・

こいのぼりが、空になったトラックでしたが・・・
下ろし忘れたものが沢山ある感じがしていました

この女性の「一言」で、本当にトラックの荷台も
私の心も 軽くなりました。

本当に こちらが 感謝です

広島の「こいのぼり」を届けてくださった
多くの皆さんの 「想い」を 

やっと 届けることができた・・・

そんな 気持ちで 一杯でした。

こいのぼり達に 見送られながら・・・・
湊小学校へと 向かいます

こいのぼりは 子どもたちの為にあるのではなく
子ども達のことを「思い出す」ために
大人の為にあったのです

その⑰につづく…