脳卒中=生活習慣の乱れではない

[生活習慣病とは?]
生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中は、生活習慣病に含まれます。

(厚生労働省 e-ヘルスネットHP
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-001.html から引用)

厚労省がこう書いている如く、がん、心臓病、脳卒中は「生活習慣病」と呼ばれる。もちろんこれらのリスク要因である高血圧・高脂血症や糖尿病も生活習慣病に含まれる。
要するに食生活の乱れや飲酒・喫煙・運動不足等が原因となるから、そういう生活を改めて病気になりにくい体を作りましょうね、ということである。
昔は「成人病」と言われていた。名前が変更された理由は上記HPにも触れられているが、成人病だと大人になったら皆かかってしまうイメージだし、加齢以外にリスク要因が明らかになってきた結果名前が変わったのだろうとは推測できる。
ただ、いずれにしても、成人病→生活習慣病と名前が変わった結果、生活習慣病にかかった人=生活習慣が乱れているという偏見が生まれる結果となった。

もちろん暴飲暴食、喫煙、アルコール過多等々が上記疾患群のリスク因子であることは自明なのだが、だからといって、一方で飲酒なし、喫煙なし、肥満なし、運動しっかり、という人であろうとも当然生活習慣病にかかってしまう人はもちろん沢山居る。
脳卒中に絞った話でいうと、
脳卒中=脳梗塞・脳出血・くも膜下出血となるが、
脳梗塞はやはり加齢・動脈硬化、一部の心臓病が原因となりやすい。
脳出血は高血圧がリスク。あとは一部の血管奇形。例外的に脳腫瘍。
そして、くも膜下出血は脳動脈瘤や脳動静脈奇形(AVM)など、外傷を除くと血管病変が原因となりやすいのだけれども、実は動脈瘤もAVMも生活習慣とは基本的に関係が無い
そういう意味ではくも膜下出血は脳卒中の中でもやや成因的に異質と言えるのだが、当然世の中ではそんなことは認知されては居ない。

もちろん生活習慣の改善が病気の予防となるケースは沢山あるので、生活習慣病という表現を改めろとか言うつもりはないけれども、例えば脳卒中を起こしたからと言って生活習慣が悪かったと解釈するのは、ものすごく短絡的な考え方であるということを分かって欲しい。

実際に、くも膜下出血となってしまった妻が、罹患後に他人からそういう目線で生活習慣について指摘を受けた話を聞いて、どうにもいたたまれなくなり、今回勢いで書いた次第。

生活習慣で言えば、自分の名前の如く、ビール漬けの毎日を送っている自分のほうがよっぽどリスクなんだよなあ(←自爆)
気をつけます。ハイ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?