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古代祐三が訊く! めがてんサウンドの秘密【第2回】後編 細江慎治インタビュー(聞き手・古代祐三/文・鶴見六百)

古代祐三さんの「自分が読者だったらこんな記事が読みたい!」という想いから生まれた本企画。古代さん自らが、影響を受けたレジェンドコンポーザー達に話を訊いていくインタビューです。
今回は細江慎治さんの最終回となります。「メガドライブミニ2」に収録された、細江さんのあの曲の裏話や、長年ゲームミュージックに関わっている人間だからこそ語れる話、そして古代さんがどうしても知りたい、細江さん最大の「謎」の話などなど。どうぞ最後までお楽しみください。(2022年9月21日・古代氏のスタジオにて収録)

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Beep21なので、セガの話も

※画像をクリックすると動画が再生されます。

──さてここで、セガの話題を投げたいんですが……メガドライブミニ2の『スーパーロコモーティブ』のBGMとして、細江さんが作ったO.M.Y.の楽曲『RYZEEN』が採用されたじゃないですか。それ自体は話題になってましたけど、今回の発売にあたって、堀井さんも奥成も何も語ってないみたいで。その辺りを細江さんから訊けませんかね? 「古代祐三が訊く」なので、古代さんが良ければ、ですが。
 
古代 Beep21だし、全然いいんじゃないですか(笑)
細江さん、あれってどういう流れだったんですか?

細江 あれはエムツーの堀井くんと、偶然ゲームショウかなにかで会ったときかな。何年か前の話。そこで堀井くんが急にフラッシュアイデアを思いついて、「『RYZEEN』を入れよう」みたいなことを言い始めたのが最初だった。

©SEGA  ※画像をクリックすると動画が再生されます。

 ──YMOの『RYDEEN』は色々と難しいけど、YMOをオマージュしたOMYだったらイケるじゃないか、ということなんですかね。

O.M.Y.のCDは、2022年時点ですべて廃盤となっている。『RYZEEN』が収録されているアルバム『Oriental Magnetic Yellow』も、「すぐに取り出せる場所にはない」とのことで、代わりにこのデビューアルバムの写真をいただいた。インディーズでは1994年に発売され、1997年にメジャーで再発された。(所蔵・撮影:細江氏)

細江 そこで突然、堀井くんが奥成くんに電話をかけて、あれよあれよと言う間に(笑)

古代 あれ、データはどうやって載せたんですか?
 
細江 実機のコンバーターを作ったらしい。データもテキストで、当時の書式で書けるように
 
古代 当時の書式で書けるように!?(驚)
つまり、『スーパーロコモーティブ』の基板に載ってるサウンドドライバーで、そのまま鳴るような『RYZEEN』のデータを作ったということですよね。
 
細江 そうそう。ROMに焼けば、そのまま基板で鳴る(笑)
 時間があれば全部自分でやりたかったんだけど、「じゃあやってください」と実際にゴーが出たのがギリギリで時間が取れなくて。しょうがないから、原曲のデータのパート数を落としたものだけをシーケンサーで作って、エムツーさんに渡して中の人に入れてもらった。
 
古代 はあ……。かなり変態ですよね、その技術。本物に「入り込んで」やっている。
 
細江 ドライバ(プログラム)を書いた人の愛がものすごく詰まっているというか、入れるためのテキストがすごいの。もうあまりにもよくできてて、時間があれば触りたかった
 
古代 自分も触りたい!

──当時は石井洋児さんがサウンド周りをやっていたはずなんで、尋ねたら詳しく教えてくれるかもしれません(笑)。
 
古代 石井さんの直下でやってたイメージですよね。SN76489とか。……ああ、いじりたい!
 
細江 めちゃめちゃ汎用性はんようせいないよ(笑)。
 
古代 あの音がネイティブで鳴らせるってのは、最高じゃないですか。ゲーム関係なく、その基板から音を出して収録ができる。そのシステム欲しい(笑)。
 
──堀井さん、この記事読んでませんかね? 基板とかシステム一式を貸してくれたりしませんかね?

古代 貸してくれたら、デモを作る。それはやりたい。
 
※鶴見注:石井洋児さんに伺ったところ、『スーパーロコモーティブ』はまさに石井さんがサウンドプログラムを担当されたそうです。ただし譜面データを書いたのは別の方だとか。ちなみに本作はゲームアイデアコンテストの入賞作だったというのは有名な話ですが、ゲーム化の際の企画担当は石井さんではなく、スペースハリアーやファンタジーゾーンの「IDA」でおなじみの、井田さんだということです。

古代 じゃあセガの話を続けて訊きたいんですけど、セガって言ってしまえばライバルだったわけじゃないですか。セガとかコナミとか、気にされてたりしました?
 
細江 意識はしますよね。自分がゲーム好きなんで、ゲームをやってていい曲に当たると「ああ、いいな」という気持ちは持つので。普通に聴いてます。
 
古代 あらかじめ細江さんに挙げていただいた、好きなセガの音楽は、『SDI』『カルテット』『戦場のヴァルキュリア』……まあ当時というなら、『SDI』と『カルテット』ですか。
 
細江 『パワードリフト』とかも。
 
古代 でも、ファンキー色、強くないですか? ファンキーさん、私も大好きなんですけど。
 
──ファンキーK・Hこと林克洋さんですね。

細江 たまんないよね。

古代 あの人は独自の世界がありますよね。ベースが常に動いているから、コードの一部として機能していて。それでアレンジ技術もいいんだけど、やっぱり音の作り方やFM音源の使い方もすごく良くて
 
細江 あんまり細かいことは考えてなのかなー、という気もするけど。本人のキャラ的に。
 
古代 え、お会いしたことあるんですか?
 
細江 ああ、あります。
 
古代 私、お会いしたことがないんですよね。伝説の人。
 
──たしか私(鶴見)と入れ違いの、昭和63年ぐらいにセガを辞められてフリーになったはずです。
 
古代 フリーになられてから、音楽作家というイメージが全然なかった。
 
細江 サイトロン経由で、ファンキーさんが作った曲のアレンジを何回もやったことがある。
 
古代 じゃあ、システム16以外でも、ああいう感じなんですか?
 
細江 セガ時代と色は変わらず、制作スタイルは変わらない感じかな。PCエンジンで出ていた『ファイナルラップツイン』ってゲームが、たぶんそうなんですよ。聴いてて「これはファンキーさんだ!」と思ったけど、当時はまだ調べる術がなくて。何十年かしてネットで調べたら、「やっぱりそうだった!」と。
 
古代 やっぱり分かるんだ。
 
──ぱちんこメーカーにもいらっしゃいましたよね。
 
古代 知らなかった。
 
──いつか、ファンキーさんにも「古代祐三が訊く!」に行きましょう、ぜひ。

細江慎治が考える「音楽ってなんだろう?」

古代 アリカ、スーパースィープ以降のことも訊かせてください。細江さんは私の中では、すごくしっかり会社をやられているというか、社長さんのイメージの方がすでに強くて

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