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軽く薄く、更新されていく感触

2021.3.30(火曜日)Cherry blossoms are falling

当たり。

いつも見ている朝の番組「おはよう朝日です」の中の気象予報士のMさんはいつもテレビ局の玄関前から天気予報をする。そのテレビ局は私が住んでるマンションとは目と鼻の先くらいの場所にあり、ベランダから爪先立ちをして覗けばその中継が見えるくらいの距離にある。近くにいるMさんの服装をテレビで見て「今日は寒いのだな」とか「今日は暑いのだな」という想像を私は部屋の中でしていた。
でも私とMさんの肌感覚には少しズレがあることに数年間見続けてやっとわかってきた。Mさんは私より寒がりなのだ(あくまでも想像だが)ダウンジャケットを着て「今日はものすごく寒くなります。厚手のコートかダウンジャケットなどを羽織ってお出かけください」などと予報している時にそれを守ってダウンジャケットを着て出かけたら暑いのなんの。「騙された」と思うのだ。
先日は「今日はコート類はいらないと思います。シャツにカーディガンくらいで丁度いいでしょう」と言っていたから、私はそれを守って出かけたら、暑くてカーディガンをバックに放り込んでいた。また「騙された」と思ったが、Mさんと同じ肌感覚の人は「やっぱりMさんの言う通りにしてよかったわ」ときっと思っているに違いない。だから私が一概に騙されたと言うのは失礼かなと思い、今は心に中だけに留めておくようにした。

今朝のMさんの服装は長袖のシャツ姿だった。

「長袖のシャツくらいが丁度いい気候です」と言っている。もう騙されないぞと思い私は半袖シャツで出かけた。そしたら、ちょっと寒い。腕がすぅ~すぅ〜する。長袖にすればよかったと思う。

今日はMさんと肌感覚が初めて一致した記念すべき日だ。

今日もビルの谷間の街を歩く。
散歩のようなウォーキングにはまだ飽きていない。
ビルの谷間に咲く桜並木を見上げると半分が散っていた。地面に落ちた花びらは多くの人に踏まれて茶色く変色している。毎年こういうのを見るたびに、「春桜 ジャパネスク」という映画に出てくる言葉を思い出す。

人は桜を見てるつもりでも、本当は桜が人を見ているんです。特に愛とかいう生ぬるい代物を嫌って大笑いして花を散らすんです。

あれだけ「桜、桜、」と咲く前から大騒ぎしたくせに、散ってしまったものをゴミのように踏みつけ見ないふりをするんだなぁ。誤解を承知で言うと私は桜にはあまり興味がない。でも咲けば見上げて見るし、散れば散ったなと地面を眺める。それほど興味がなくても、踏みつけられて茶色になってどこにも行き場のない花びらはやっぱり不憫だなと思う。

人の心は更新されるのが早い。そして忘れ去るのはもっと早い。





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