見出し画像

生活は野暮なくらいがちょうど良い

2021.2.6(土曜日) mild day in spring

ひときわ大きな声でカラスが鳴いた。

カラスに起こされるなんて情緒があるのかないのか、時計を見たら6時29分だった。カラスの鳴き声以外はとても静かな朝で、土曜日ということもあり外を行き交う車の量も少ないようだ。起きたら夫がいなかった。早朝、ガチャッという音を聞いたような気がしたが、それは夫が鍵を閉める音だったのだと理解した。夫の部屋を見るとゴルフバックがない。ゴルフか...と思う。

前回、ゴルフに行くときに「コロナ禍なのに大丈夫なの?」と嫌味を込めて言ったら、「ゴルフ場は屋外だし、密にもならないし、いいんだよ」と言っていた。でも私にまた何か言われるのじゃないかと思って黙って行ったのだろう。ひとりで朝ごはんを食べている時にLINEがきた。

「びっくりした?ゴルフ場にいます」

びっくりなんて1ミリもしていない。


ひとりで朝ごはんをゆっくり食べた後、つくねんとしばらく過ごす。気がつくとキラキラとした太陽の光が私の右側に当たっていて、右側だけまるで夏のよう。額にじんわり汗も出てきてやっとパジャマを脱ぐ。半袖のTシャツに着替えて着ていたパジャマを洗濯機に放り投げ洗濯などを始める。猫も暖かい(暑い?)のが嬉しいのかベランダに出て走ったり佇んだりと忙しそうに遊んでいる。長閑とはこのことかと思う。

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし(在原業平)

ちょっと毒気のあるこの歌が好きだ。春先になるといつも思い出してはふふっとほくそ笑む。ほんとに、桜のない長閑さというのは気持ちいいものだと思う。夫がゴルフから帰ったら彼は真っ先に私に言うだろう「いい天気で暖かくて気持ちよかったよ」と。そして多くの人がブログやTwitterに同じようなことを書くのだろう。今日はそれほど万人受けする「いい天気」だ。

昼寝日和でもある。午後30分ほど昼寝した。でもそれは寝ようと思って寝たわけではなく、ソファで横になって本を読んでいたらそのまま寝てしまっただけのこと。読みかけの本は中途半端に閉じられて床に落ち、しおりが挟んであるページがさも重要なページのように感じられたが、読み返してみるとそれほどでもなかった。

長閑で野暮な生活だ。






読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。