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したたかさの因数分解

2024.4.15(月) factorization


スッキリしない朝である。
モヤっとした空気と、モヤっとした気温と、モヤっとした私の体調。
モヤっと3連発に加えて、朝9時から来るはずだった消防点検の点検員が大幅に遅れて9時50分にやってきた。
これでモヤっとがひとつ増えてモヤっと4連発だ。
「遅れてすいません」の一言もない。
「あまりに遅いから、私が時間間違えているのかと思いました」と、
私はモヤって気持ちを抑えに抑えてサラッと言った。
相手は素知らぬ顔をして作業を始めた。
「すいません」などと言うと、持ってるお金が減るとか、寿命が少し短くなるとでも思っているかの如く「すいません」は断固として言わない。死んでも言わないと通しているようである。
謝るとこっちの負けという感じの人だった。
アメリカ人じゃあるまいしと思う。

そんなことがあって、朝から入っていた打ち合わせに間に合わなくなり、
日付を変更してもらった。
「すいません、急用ができまして...」と、私は謝りながら電話をする。
なぜ消防点検の人が遅れたのに最終的に私が謝っているのだろうか…
これが、不条理というやつだ。

そんな時、ちょうど今読んでいる本の栞が挟んであるところを開けてみると、そこにはサブタイトルで『過度な期待をやめる』と書いてあった。
そこには、
『人間は、本能的に期待してしまう生き物で、自分のしたことにはそれ相当の見返りを期待する。過度な期待を手放せば、相手にどんな態度を取られても動じないでいられる』と書いてあった。
私は遅刻した点検員に過度な期待をしていたのだろうか、最初から点検員は遅刻するものと思っていれば腹も立たなかったのだろうか。
それとも時間の約束をする前に「あの〜あなた何分くらい遅れる可能性ありますか?」と聞けばよかったのだろうか。
それもまた不条理な話だな。
これで何かおもしろそうな物語ができそうだなと思う。
あとでちょっと書いてみよう。

と...私はかなりしつこくこのことを忘れられないでいる。

劇団の稽古場でそのことを話すと「それはその会社に注意した方がいいですよ。舐められてますよ、完全に。優しすぎます。もっとしたたかになってもいいですよ」とみんなが言う。
それは正当な対処の方法だと思うが、それじゃ、面白い物語はできないんだよな…と心の中で思った。

夕方になっても空気がモヤっとしたままだ。
明日は雨になるそうな。
モヤっしてジトっとするのであろう。

やるせないというか、やりきれないというか、
よるべないというか、たよりないというか、
うつうつたるというか…

したたかさの中にはいろいろ入っているなと思った。

ご機嫌いかが?

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読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。