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noteは小説より奇なり

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時々、思いついたら書いている小説集です。 連続短編小説「短い時間の長い瞬間」「Stairway to Heaven」「不幸中にしか幸せはないのか...」など
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#短編小説

短編小説 「八月の呻吟」3

3−3 最終話 高東綾乃は1週間前の昼下がり、娘の美佳を市民プールに連れて行く途中で、橋…

イトカズ
1年前
68

短編小説 「八月の呻吟」2

3−2  妙子は上がり框にスーパーのビニール袋を置き、サンダルのストラップのホックを外し…

イトカズ
1年前
63

短編小説 「八月の呻吟」 1

3-1 八月十二日 薄い黄色のワンピースを着て左手に白いレースの日傘をさし、右手にスーパー…

イトカズ
1年前
62

再会の合図は不確かな事情により

短い時間の長い瞬間 15話[再会の合図は不確かな事情により] 菜津が勤める会社の休憩室では…

イトカズ
2年前
39

あふれんばかりの奇妙でわがままな願望

短い時間の長い瞬間 14話[あふれんばかりの奇妙でわがままな願望] 綾乃は3時の休憩時間に剣…

イトカズ
2年前
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忍従せざるを得ない不機嫌な人生

短い時間の長い瞬間 13話[忍従せざるを得ない不機嫌な人生] 菜津は会社を2時半で早退して…

イトカズ
2年前
35

失われた世界について止まらない悲しみ

短い時間の長い瞬間 12話[失われた世界について止まらない悲しみ] 剣志は2日間の有給を取って、飛行機で福岡に向かっていた。 あれから美涼の両親に今の状況を説明するために電話をしたら、電話先で泣き崩れているようで話にならなかった。娘の美佳のこともあるので一度そちらに伺いますと提案したら、昼間だと近所の目につきやすいから夜間に来て欲しいという要望があった。 剣志はこんな事態になっても近所の目を気にするのかと半分呆れ果てたが、以前、綾乃が言っていた「田舎ってね、怖いよ。噂が人を

頭の中を占拠する悪たちの夜のはじまり

短い時間の長い瞬間 11話[頭の中を占拠する悪たちの夜のはじまり] 剣志は綾乃から、「美涼…

イトカズ
2年前
39

それは恐るべき時間の始まりにほかならぬ

短い時間の長い瞬間 10話 [それは恐るべき時間の始まりにほかならぬ] 菜津は検査着に着替…

イトカズ
2年前
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確信に基づくささやかな堕落

短い時間の長い瞬間 9話 [確信に基づくささやかな堕落] 小春日和っていうのだろうか、空は晴…

イトカズ
2年前
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わずかな絶望に、わずかな狂気を

短い時間の長い瞬間 8[わずかな絶望に、わずかな狂気を ] 「おまえさぁ〜、子持ちでもまだま…

イトカズ
2年前
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またひとつ別の時空が動き始める

短い時間の長い瞬間 7[またひとつ別の時空が動き始める] 菜津は総合病院の消化器内科の診察…

イトカズ
2年前
35

男は過去にこだわり、女は今にこだわる

短い時間の長い瞬間 5[ 男は過去にこだわり、女は今にこだわる ] 「剣志〜、ごめ〜ん」 叫び…

イトカズ
2年前
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見知らぬ人々の見知らぬ時間の中にて

短い時間の長い瞬間 3[見知らぬ人々の見知らぬ時間の中にて] 行き慣れないカフェはどうも居心地が悪い。どの席が落ち着くのか、どの席の視界がいいのかわからないまま菜津は奥まった席にとりあえず座った。 友人に結婚祝いを送ったお返しがこのカフェのネットクーポンだった。今どきの事情といえばそれまでだが、感染予防で式も披露宴もできない状況でお返しもネットで済ませるというのは今どきとしか言いようがない。 店内のクリスマスの飾り付けもどことなく派手で、菜津はどうもそういう派手さがダサいと