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noteは小説より奇なり

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時々、思いついたら書いている小説集です。 連続短編小説「短い時間の長い瞬間」「Stairway to Heaven」「不幸中にしか幸せはないのか...」など
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#掌編小説

【掌編小説】忘れた世界からの余寒見舞い

水道の水のぬるさに、春の後ろ姿が見えそうなくらいまで季節が進んだことを感じる。 春爛漫と…

イトカズ
10日前
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[ショート・ショート] ある日のマシーン日記

「何とか言えよ」 地方のサラリーマンだろうか、少し薄くなった後頭部に何かを塗りつけて、か…

イトカズ
1年前
71

東京駅の光の当たらぬ深い沼

短い時間の長い瞬間 7[東京駅の光の当たらぬ深い沼] 剣志はしばらく言葉が出なかった。 人間…

イトカズ
2年前
30

(掌編小説) 余寒見舞

茶碗を洗う水道の水のぬるさに春の後ろ姿が見えそうなくらいまで季節が進んだことを感じる。春…

イトカズ
2年前
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18のオレ、青春だけど愛もない[掌編小説]

学校に行く前、オレはばあちゃんのおむつ交換をしていた。今朝は大きな便をしてる。一気に部屋…

イトカズ
3年前
35

不幸中にしか幸せはないのか、静江の場合[掌編小説]

朝8時、下村静江はいつも通りに出社した。商品部には徹夜組数人が作業をしている姿が見えるが…

イトカズ
3年前
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[掌編小説] 義姉の茶わん

悪いことが起こる時は急に起こるのではなく、目に見えない、説明もつかない細かな出来事がゆっくりと進行している。そうなる理由はずっと前から存在しているのだ。 晩ごはんの後片付けをしている時に、茶わんがひとつ割れた。それは結婚祝いに義姉からもらった夫婦茶碗だ。特別雑に扱ったわけでもなくスポンジで洗っている時に自然に私の手の中でガリッという音をたてて半分に割れた。年寄りはこういう時にすぐに「縁起が悪い、何か悪いことが起きなきゃいいけど...」とか言いがちだが、私は茶わんが割れるくら

不幸中にしか幸せはないのか、敏子の場合[掌編小説]

敏子は今日53歳の誕生日を迎えた。もうこの歳になると誕生日だからと特別に何かあるわけじゃな…

イトカズ
3年前
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不幸中にしか幸せはないのか、依子の場合[掌編小説]

もう何年になるだろうか、依子は結婚もせずに正社員として働きながら年々年老いていく母の面倒…

イトカズ
3年前
19

不幸中にしか幸せはないのか、久子の場合[掌編小説]

久子は、今日10月22日に86歳の誕生日を無事に迎えた。そのことを手帳に書きながら、無事になん…

イトカズ
3年前
14

Stairway to Heaven 7

to discuss 今年の連休は天気についていえば、公平だなと外を見ながら思う。前半が雨で後半が…

イトカズ
3年前
4

Stairway to Heaven 6

settle 目の前に立っている女の顔はびっくりするほど地味だった。何度も見かけているはずの顔…

イトカズ
3年前
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