[掌編小説] 義姉の茶わん
悪いことが起こる時は急に起こるのではなく、目に見えない、説明もつかない細かな出来事がゆっくりと進行している。そうなる理由はずっと前から存在しているのだ。
晩ごはんの後片付けをしている時に、茶わんがひとつ割れた。それは結婚祝いに義姉からもらった夫婦茶碗だ。特別雑に扱ったわけでもなくスポンジで洗っている時に自然に私の手の中でガリッという音をたてて半分に割れた。年寄りはこういう時にすぐに「縁起が悪い、何か悪いことが起きなきゃいいけど...」とか言いがちだが、私は茶わんが割れるくら