ファンタビから感じるJKローリングのハリポタ原作読め圧

決して読まなければ面白くないと言っているわけではない。

ハリーポッターの映画と原作を見比べたことがある人なら、この話はすんなり入ってくると思うが、ハリポタはめちゃくちゃ、もうむちゃくちゃ、ぐちゃぐちゃにカットして原作を映画にしている。
再構成といえば聞こえがいいのだが、ハリポタに関してはどうもそういう意図もなく、メイキングを見たらわかる通り「一通り作っていいとこ以外切っていく」という作業をしていたようだ。一回完全版出してくれよマジで。

言ってしまうとハリポタ映画自体が原作を読んでいる前提で作られている。
なので前のシーンと繋がらないとか、伏線が消えて突然現れてるとかはしょっちゅうで、特にひどくなるのが後半。前後編で原作が分かれだしたあたりだ。正直「これ原作読んでない人わかるのかな」レベルなので、次に見る機会があればノリで見ずに本当に辻褄があってるのかな?とぜひノーカットで見てほしい。絶対繋がってない。

そしてファンタスティック・ビースト。これは原作というものは無く、作者が脚本を手掛けているので「もちろんハリポタ原作読んでるよね!」ってスタンスで来るのが、ファンとしては面白く、初見殺しでもあるところ。

ということをいつまで言っていても仕方ないので、ハリポタ原作を読んでいたら納得いく部分の例をあげてみる。

◆ダンブルドアとグリンデルバルドの関係

いやもうこれファンタビの根幹じゃないか!
グリンデルバルドはヴォルデモートに殺されるわけなんですが(ファンタビから入った人にはすごいネタバレだな)、ニワトコの杖の所有者を聞かれて映画ではダンブルドアが持ってる!と言っちゃうんですよね。これは映画の改悪部分ではあるんだけど、原作では殺されるまで言わなかった。もうこの時点で印象の受け方が違う…。
というかもう二人は一時期恋愛関係があったことが、原作でははっきり書かれてるのだ!!
映画で随分ぼかされているけど、勘のいいひとは気づいているはず。
しかしファンタビでさらっと出てくる二人の過去の映像が、ダンブルドアが真に願う「みぞの鏡」の映像だということって、すぐ気づけるものだろうか…。

◆そもそもニュート・スキャマンダーとは誰なのか

これは映画化前はオタクしか知らん!状態だったはず。
ファンタビ公式のどこかに書いていると思うけど、ハリーが持っている教科書「幻の動物とその生息地」を書いてる人です。ルーナの義理の孫。一応城内の壁画にもいる。けどそんなのオタクしか知らん!
よく続編主人公にしたな…!
ニュートが魔法省入りを嫌がってるのはクリーデンス確保のためのように映画では見えるが、ホグワーツ卒業後に魔法省に勤務してたとかも小ネタ中の小ネタなのでもはや原作読んだだけじゃわからないレベル。

◆愛の言葉「君の瞳はサラマンダー」

しかし映画にサラマンダーは出てこないわけで、原作読者にしかわからん!
火とかげです!ヒトカゲ!
フレッドとジョージがこいつに花火を食わせてました。なにやってんだあの双子。
マニアックネタをファンタビで決めシーンに持ってきて、それで笑えるしラブコメになるのだからすごいとこ。

◆ナギニ

これはハリポタ映画を見ていてもわかるっちゃわかるけど、ナギニに焦点が当たるシーンで映画カットされている部分が多々あるので、「え、誰だっけ」「女?」みたいになるだろうし、流し見している人にとっちゃナギニの結末すら覚えていないかもしれない。実は名前の時点で女だとわかるのだが、そんなのオタクしか知ったこっちゃない。
ただ映画だけでもヒントはあった。ナギニは一度老婆に化けている。あれ何が起こったんだろうな…。
正直ファンタビ2を見たとき、なんてネビルに残酷な物語なんだと頭を抱えたほどだ。

◆ダンブルドアの家族

ダンブルドアの孤独に関しても、映画ではかなり省かれている。
兄弟云々はもうハリポタで出ているだけなので、ファンタビ2でおや?と思ったところはファンタビ3を待つしかない。
一つ言えるのはダンブルドアとグリンデルバルドの亀裂の大きな理由が、ダンブルドアの妹の死にある。そしてダンブルドアの妹が死んだ理由は映画ハリポタには描かれていない。なんてこった。


今ここでは一部しか触れていないし、多分気づいていない部分も多いし、もう書ききれないほどあるのだが、これは世界の作りこみが深いからこそできる楽しみであるし、逆に言えば世界が作りこまれているからこそ、すべてが分からなくても話を見ていけるということでもあるのだ。
日常世界だって、身に起こることすべての理由を理解しているわけではないから。

まあ、気が向いたら原作読んで。原作読んだことある人は関連書籍もあさってみてください。

それにしても原作を読んだ人にとっては、常時ハリポタ試験を受けているような内容なので、集中力を必要とする映画シリーズである…。


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