こだわりの3文字

#名前の由来

と言われてまず思い浮かべるのは、私の名前だ。

私の名前は父と母が考えてつけたのだという。

ひらがな三文字。漢字で書いても三文字。女性の名前にしては比較的よくある名前だが、漢字の組み合わせは少し珍しいようで、予測変化で一発で出てきたことは一度もない。

名前そのものはまず、父がこれがいいと考えたらしい。なんでそれが良かったん？と由来を聞くと

「当時見てたドラマに好きな登場人物がおって、その名前にしてんねん」

すなわち、推しの名をそのまま拝借したわけである。

なんやそんな由来か、と少しつまらなさそうな顔をすると、あわてて

「でも漢字はお父さんとお母さんがオリジナルで考えたから！」

新しい文字を発明したみたいな言い回しだが、要は漢字の組み合わせは1文字ずつあれがいいこれがいいと決めてくれたらしい。

美しく、それでいていて樹木ようにどっしりと根を張っている強い子。

ほなら「さ」の字はどういう意味こめたん？

氵やとなんか流れていきそうやし、石はゴツゴツしてそうやから。

でも糸もひょろひょろしてそうやん。

…糸がなんとなくキレイに収まるやろ。あ、糸のようにしなやかにって意味。

あ、ってなんやねん。

（ここまでご覧の方のほとんどはもう私の名前がわかったと思います。）

少しつっこんだりもしてしまいましたが、名付けられた私的にも自分の名前はかなり気に入っています。

名前だけだと美人そうだし、最後の母音がiになるのが個人的に好きなので。

あと、名前のバランスがとても良くて、特に毛筆で書かれた私の名前は本当に美しく感じます。

実際の私はというと、プライドだけは玉のように美しくメンタルが糸のようにひょろひょろで体型がどっしりとした、「名は体をあらわす」の斜め上をいく仕上がりでございます。

でもやっぱり私は自分の名前を気に入ってます。

ちなみに、私と妹の名にはどちらも「み」が入っているのですが、私は漢字で妹はひらがなです。

これも何か理由があるのかと聞いたら、「あんたは漢字の方が画数が良くて妹はひらがなの画数が良かったから」らしいです。

やっぱ画数気にするんやなーと思いました。

曰く、私の名前の画数は名字と合わせるとすごく運が良かったとかなんとか。

これは今思うと当たってたなと思う。

なぜなら、20歳の時に父の都合で名字が変わったのだが、その後父母の間で冷戦が勃発し、家族内の雰囲気は泥沼化。私はと言えば転職先の社長がとんでもないパワハラで、家と職場のストレスから心療内科のお世話になったのである。

姓名の総画数が変わったことと直接的な因果関係は無いものの、時系列的に絶対無関係とも思えないのは私が夢想家だからか…。

結局両親は別れ私は母の旧姓になった。その二年後に結婚して夫の姓になったため、20代初婚にも関わらず私は3回名字が変わっている。

名字が変わることにより呼び名はバラバラになったし、旧姓たちは今やニックネームとなっている。

それ故に、29年間連れ添ってきた3文字の名前にはこの上ない愛着がある。

だから私はできるだけ名前もしくは名前をもじったニックネームで呼ばれたい。

自己肯定感が低く、自意識過剰な私にとって数少ないアイデンティティでもある。

数年前から実印も私の名にしているが、ありがたいことに、今も夫の姓であり続けている。

話が逸れてしまったが、これが私の名前の由来であり、その後の顛末である。

ちなみに、私が母のお腹にいる時はまだ名前が決まっておらず、「ゼロ」と呼ばれていたらしい。

妹は「ゼロツー」である。

私たち姉妹がやたらカービィが好きなことへの奇妙な因果を、やはり感じずにいられない夢想家であった。