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iZotope OZONEとの付き合い方

eki_docomokiraiさんのポストを読んでみて、これはAIとの付き合い方の話だなと思ったので書いてみます。

察するに、投稿者さんはDAWをちゃんと使いこなせているし、なんなら音楽のお仕事をされているんじゃないかと感じますが、それはともかく。
ここはひとつ、僕がどんな使い方をしていて、どんな風に考えているのかを書き連ねます。

※筆者はiZotope OZONE8 Advanceを使っていますが、以下Elementでも利用できます。以下Master AssistantのことはOZONEちゃん。
2022/11/25 OZONE 10を導入したので若干のリライトと追記。


使用例①音量”感”を尋ねる

DTMの制作環境は人それぞれで、リスナーの視聴環境もまちまちです。
なので、一旦ミックスを終えた時点でOZONEちゃんに「これ音量的にどんな感じ?小さい?大きい??」と聞いてみます。

具体的にはMaximizerのスレッショルドが−10dbとか、あるいは全然変化なく−2dbに張り付くかを確認します。


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スレッショルドがバキバキに効いて「これかなり音量が小さいですね」という場合は、ミックス最終段階でボリューム感を上げる、あるいはミックスに戻って音量を上げる作業に戻ります。
変化なく−2dbに張り付いている場合は、ジャンルによってはそれでOK、不本意ならばミックスに戻って音量を整えます
ちなみに自分はOZONEのMaximizerは最終的に使いません。確認したのち、好みのリミッターをマスタートラックに挿して音量”感”を整えます。

ダイナミクスが大きい曲、例えばクラシック調の静かな曲であっても、一度はOZONEちゃんに伺いを立てます。それでもって、「いやいやOZONEちゃん、それは違うよ。この曲はダイナミクスがあっていいんだよ」と、Maximaizerを切るのです。

この作業を挟むことで、明らかに小さいボリュームのマスターになることは避けられるでしょう。
ちなみに僕の場合は動画編集での音量感もOZONEちゃんに伺ってから考えます。


使用例②アレンジについて意見を聞く

アレンジの途中でOZONEちゃんに「ここのバランスどんな感じ?」と尋ねることがあります。曲を作る初期の段階でも使いますし、あらかた完成したあたりでも使います。

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この使い方ではEQを確認します。
たとえばオーケストラのトラックだけソロにしてOZONEちゃんが「ローが少ないので上げときますね^^」という見解を示した場合、MIDIトラックに戻って低域のベロシティを調整したり、あるいはオクターブ下のコントラバスを足したりします。
あるいは、高音域をブーストされる場合は、弦楽だけじゃ足りないからブラスを足そう、だとか、xylophoneやmarimbaを足してみようと、アレンジ面でアプローチします。
もちろん単純にトラックEQで音質を整えてもいいでしょう。
ですがDTMerなら、アレンジをいじれるメリットを活かさない手はないでしょう。

カジュアルにOZONEちゃんに聞いてみる気持ちが大事で、この作業を繰り返すことで自分が求めているサウンドによりフォーカスしやすくなるでしょう。アシスタントの意見に反発するということは、自分の意思そのものですから。


使用例③どうやって突っ込むか意見を聞く

最終段階でOZONEちゃんに尋ねる場合、これは「どの媒体で利用するのか」を前提にして質問しなければなりません。
つまり、


・YouTubeやiTunesなど、ラウドネスノーマライズの可能性がある
・CDに焼いてマスターCDにする
・この曲はイヤフォンで聴かれる可能性が高い
・カーステで聴かれるかもしれない
・大音量のスピーカーで鳴らす可能性がある

などなど、OZONEちゃんに確認する前に、自分がどうしたいのかをはっきりさせることが重要です。
OZONEちゃんは「CDに焼くならこのローはいらないですね」だとか「ローが弱いと思うので中音域をちょっと叩いてローを足しておきますね(ローを足しているときは大体ダイナミックコンプでピークとなる中音域を叩いてる)」という提案をしてくれます。

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ここで気に入らなければ意見を却下すればいいだけの話です。
僕は前述の通りMaximizerはカットしますし、ダイナミックコンプもピークをつけやすい帯域を確認したのち切りますし、なんならEQもアレンジに戻って解決しちゃうので、最終的にOZONEちゃん自体を葬り去ってしまうケースが多い。ごめんねiZotopeさん。

自分の好みに近づくためのアシストとして使っている、ということです。


最後に

eki_docomokiraiさんの意見に完全に同意で、ミックスやマスタリングの処理のせいでクソ曲になるような曲は、元からクソ曲なのでもっと別のことで楽曲の質を高めていきましょうよ。です。

また、平素よりiZotope OZONE8はマスター2mixを各種フォーマットにエンコードするツールとして活用しており、アシスタント機能がなくても十分素晴らしいツールであることをお知らせしておきます。


<追記1>

iZotopeさんに紹介されたので2つ補足しておくと、僕は地方ながらプロの音楽作家でバークリー音楽院ジャズコン中退です。
もう1つは、

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iZotopeのモットーは「人々をインスパイアし、よりクリエイティブに」だという点です。主語は人であり、Master Assistantはあくまで人をサポートするツールだと認識しています。もっと自分らしい音楽を見つけるために使うといいと思います。それは他のプラグインでも一緒ですよね。


<追記2>

OZONE 10を導入しました。ファーストルックとしては「優秀なやつがきた」です。

とはいえ本noteに書いた通り、あくまでアシスタントとして使うという意味では考え方に変わりなさそうです。今回Audiolensというサポートシステムが追加されたので、こちらも研究する必要がありそう。


サポートなんて恐れ多い!ありがたき幸せ!!