シナリオとスペインメシのはなし

 スペインは好きで何度か行ったが特段詳しいわけではない。百聞に一見はしかずといえど、なんにも知らんと見に行ってもしかたがないなと毎回思うので、やはり百聞というか下調べは必要である。

 とはいえただ調べるだけでもつまらないので、スペインを舞台に話を書けば下調べで知識は増えるし書く練習にもなるなと考えていたところ、昨年度末に30分ほどのシナリオにすることになった。結果としては反省点の塊になりボッコボコにされたのだが、せっかく書いたブツをお蔵にするのも悲しいので読まれなくてもいいからネットの大海に放流しておきたい。嘘。できることなら読んでほしい。

 ジプシーのこと結局よく知らないよねという単純な理由からジプシー娘と貴族の娘の話だが、まあなんのことはなく普通にいつものガールとガールのあれである。フラメンコの話が書きたかったのは『明日のナージャ』のスペイン編がずっと根っこにあったからだ。いつかあんな話が書きたいね…がんばろうね。

 冒頭の話だが、ああ書いているものの、何にも知らなくてもできる身のある体験は存在する。スペインのメシだ。そう、スペインのメシは手頃手軽でうまい。スペインのメシを食え。その辺のバルに入って適当に飲み物を頼めばうまいメシが食える。生ハムしか挟まれてないサンドイッチも、兎のパエリアも、卵とじゃがいもと塩とオリーブオイルだけなのにやたら美味いオムレツも、卵黄を薄くスライスしたじゃがいもに包んで揚げたおつまみ(優勝)も、何を食べてもだいたいおいしい。先に説明だけ受けてもメシの味は行かなきゃわからないので、なるほど百聞は一見にしかずとはこのことかと思う。一見というより一食だけど。

 当時知り合いだったスペイン人に「なんで碌に話せないのに食い物の単語とビールのメーカーだけは覚えがいいんだ」と言われたが、そんなもんメシと酒に一番興味があったからに決まっている。

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