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第11回:Workflowyにおけるアイデアプロセッシングーネタとアウトプットの狭間編

前回の記事第10回:ObsidianやWorkflowy、Scrapboxで行っているアイデアプロセッシングの全体概要編では、Workflowy「Obsidian」を中心としたアイデアプロセッシングの概観について触れました。

今回からは個別編という形で、まずはWorkflowyを使ったアイデアプロセッシングについて触れていき、次回以降「Obsidian」「Scrapbox」などについて述べていければと思います。

アウトプットアイデアの備忘録兼まな板としての「Workflowy」

前回述べたとおり、Workflowyで行っていることは大きく以下の通りです。

  • Evernoteでキャプチャした"アウトプットネタ”の管理

  • "アウトプットネタ"をブレイクダウンして"プロット"の作成

  • ”考え中”の事柄をいれておき、いつでも中断した思考に戻れるようにする

ネタ帳としてのWorkflowy

Workflowyの主たる活用方法は「アウトプットのネタ帳」なのですが、恒久的にここにある情報を維持発展・・みたいなことは考えておらず、一行のアイデアメモからアウトプットのアウトラインやプロットを生み出すテンポラリな「まな板」として使っています。

ブログネタリスト

台本棒読みが好きではないので、「プロット」にはYoutubeやPodcastで話す流れやポイントを書き下し、実際の台詞は収録時のアドリブ任せです。収録後はWorkflowy上では「完了」扱い(cmd + Enter)で非表示にしてしまいます。Blog等の為にアウトラインを書き下す場合も同様です。

アウトプット済みのプロットはCompleteで非表示に

つい最近、アウトプット済みのプロットをScrapbox「Hacks for Creative Life!の舞台裏」にアウトプットと併せて公開する取り組みをはじめました。プロットをアウトプットの補助資料として活用しつつ、Scrapbox上でアウトプット同士をつないでみることで何らかの化学反応が起きないかを実験中です。

アウトプットとプロットをセットでScrapboxに

考え中の事柄をセーブするためのWorkflowy

アウトプットの為の「ネタ帳」の他、「考え中の事柄」についてもWorkflowy上で扱うようにしています。

僕はどうも短い時間で結論に至るのが苦手なようで、何かを考え出すと一旦それを「セーブ」して後から再び考えられるようにしないと、延々と同じ事を同じように考えてしまいます。

例えば、何かの購入を検討する際、Pros/Consをやったり、資金計画を練ってみたり、色々調査を行います。この手の「割とどうでもいい悩みごと」はWorkflowy上にそのまま放置するか、Evernoteの「考えた事」ノートブックにコピペしてWorkflowy上で「完了」扱い(cmd + Enter)で非表示にします。

割とどうでも良いことなんて記録に残す必要があるのか、と思われるかも知れませんが、この割とどうでも良いことで延々と思考がループしてしまい時間を奪われることは存外多いモノです。思考の無限ループに身に覚えのある方は、是非一度考えた経緯を記録に取ってみることをお薦めします。

仕事上の意思決定や、思考の整理、或いはプライベートで言えばノートツールの使い分けや、読書メモの取り方、アウトプットの”方針”などについて「考えている」間はWorkflowyに入れておきますが、考え終わった後はObsidianにコピー(自分用マニュアル化)したり、Workflowy上でタイトルを与えてアウトプットネタに移動させます。

何故他のツールでは駄目だったのか?

Workflowyのアイデアプロセッシング詳細に入る前に、何故他のツールと使い分ける必要があったかについても軽く触れておきたいと思います。

何故Evernoteでは駄目だったのか?

Evernoteの主たる目的は「メモの集積地」であり「アーカイブ」です。情報をキャプチャする、あらゆる場所から集約させることに関してEvernoteはとても優れていますが、考える場所としての機能は今一つです。

アウトライナーとしての機能はWorkflowyに遠く及びませんし、知識のネットワークを構築するにはリンク機能が貧弱すぎます。

Workflowyであればノード間の項目の移動は容易ですし、ブレイクダウンすることも上位概念で括ることも容易です。考える際に不要な項目を折りたたんで見えなくすることも容易です。

過去、Evernoteに見出しだけを書いた空のノートが大量に死蔵された苦い経験から、アウトプットネタを育てるならば、ブレイクダウンも上位概念で括ることも可能なアウトライナーがBetterであるという結論に至りました。

何故わざわざObsidianやScapboxと分ける必要があったのか?

正直、ネタの管理はObsidianやScrapboxでも良かったかも知れません。Workflowyで考えた結果は最終的に、ObsidianやScapboxにコピーされるので。

これに関しては、最早フィーリングとしか言えないのですが、アウトライン的なアプローチが向く思考と、ネットワーク的なアプローチが向く思考というものがあるように思います

特に、ブログのシリーズ物(或いは書籍の構成)を考える時に、やはりシングルペイン型のアウトライナーは便利です。

ノートして分割されず、複数の項目が一度に表示でき、情報の項目間移動も非常に容易である・・そういう用途にはアウトライナー専門ツールが向いているように思います。

基本的に、ObsidianはPermanent Noteの形で知識の貯蔵を目的としており、特定のアウトプットに紐付く情報を入れていないため、Workflowyを統合させるメリットは薄いと感じています。

また、Scrapboxではアウトプット後、Workflowyのプロットと記事/動画等のアウトプットをまとめるために使っており、こちらも統合のメリットが見いだせていません。

行為とツールが紐付いていること

色々御託を並べてしまいましたが、個人的な感覚としては行為或いは情報管理のフェーズとツールがうまく切り離せているというのが一番大きいように思います。

  • Evernote : 情報をキャプチャする場所

  • Workflowy:アウトプットネタや考えを育てる/まとめ、役目が終わったら消すまな板

  • Obsidian:獲得した知識(Evernoteの読書メモとか勉強ノート)や考えた事柄(Workflowyで考えた事)を更に深めたり、つなげたりする場所。ここのノートは基本消さずにアップデート。永遠のベータ版的何か。

  • Scrapbox:アウトプット後にWorkflowyのプロット/アウトラインをアウトプットと共にキャプチャ。アウトプットの副読本兼再利用場所。

つまり、「アウトプットネタをいじろう」「考え中だったあの件を引き続き考えよう」みたいな目的の時にはとりあえずWorkflowyを開けばOKというのが、シンプルで良い訳です。

ツールが増えればその分だけ複雑性が増すのは間違いないですが、何でもかんでも一つにまとめた方が便利というものでもありません。

今の自分にとっては、情報管理のフェーズ毎に自分に最適なツールを組み合わせて使う今の形が、複雑性と利便性のバランスがとれていて丁度良いと感じています。

Workflowyを用いたアイデアプロセッシング詳細

アウトプットネタをストックする

Blog/Podcast/Youtube等にアウトプットすべき事柄は全てWorkflowyにまとめています。メルマガは最近「その瞬間書きたいことを書く」ポリシーにしたので、Blog/Podcast/Youtubeのみネタを“ストック”しています。

ネタをメモとしてEvernoteにキャプチャされることもあれば、Workflowy上でネタ出しを行うこともあります。大切なことは「ネタは全てWorkflowyに揃っている」という状態を作っておくことです。

「ちょっと時間ができたからプロットを書き出そう」とか「よし今からブログ書くぞ、収録するぞ」というタイミングでWorkflowyを開けば速やかにアウトプット或いはその準備に取りかかることが出来る状態を目指しましょう。

「ジャンル」や「アウトライン」を整理しつつ「直近ネタ」を管理

ここがWorkflowyのユニークなところですが、Mirror機能を使うことで同じ項目を複数箇所に配置することが可能です。

例えば、私はBlogやYoutubeのネタを「ジャンルで分類」しているのですが、同時に「直近のネタ」という形で「今考えるべき事」としてリスト化もしています。

複数箇所に同一項目を配置できるMirror機能

「グループ分け」ノードは以下では、「他にこのジャンルで書くべき事は無いか?」「この話は別の回に入れた方がいいんじゃないか?」みたいな検討を行いつつ、「直近ネタ」ノード配下で優先してブレイクダウン/アウトプットしたいネタの処理を行うことが可能です。

また、ブログネタに関しては複数の記事ネタを集めて連載という形でグループ化を行っています。こういった全体構成を考えることで、キャプチャされたアイデアのブレイクダウンだけでなく、全体構成の中で不足している項目を洗い出す等のアプローチが可能となります。

構成を考える

ネタのブレイクダウン、プロットの作成

ちょっとした時間ができたとき等に、ブログネタのブレイクダウンを行ったり、YoutubeやPodcastで話す事を書き下した「プロット」を作成します。(と、言いつつ、結局は収録の前などに書きかけのプロットの仕上げを行うのですが)

書き下したプロット

前のセクションでも書きましたが、「プロット」は台本ではないので、話す事のポイントや道筋のみを書き下します。15分程度の話題であれば、大凡30分程度の時間でプロットを作成し、リテイク込みで1時間程度かけて収録を行います。

前述の通り、アウトプット後Scrapboxに貼り付けることになるため、最近ではプロットの内容は読み手に簡潔に伝わるような短文/箇条書きになるように心がけています。

今回の本題からそれますが、対談形式の番組をやった際には対談内容をざっと書き出してShow noteという形でまとめています。手間は掛かりますが、対談の内容を自分なりに咀嚼し、理解を深めることに一役買ってくれています。

対談の書き起こし

考え中の事柄

考え中の事柄を書き留めておく場所としてWorkflowyを活用しているのは、ひとえに自分にとってWorkflowyが「フロー情報」を扱う場であるという認識があるからだと思います。

幾つか具体例を挙げると

  • 欲しいと思ったことの購入検討

  • 仕事のトラブル対応や作成資料などについての思考整理

  • 今不安に思っていることの書き出し

  • 自分自身の「やり方」「方針」等の検討

    • 例:情報管理のワークフローやツールの使い分け

    • 例:アウトプットの方針、習慣化の方針など

  • 直近のブログ/Youtube/PodcastネタのMirror

このリスト自体は完全な”生もの”なので、その時々で項目名や分類も異なってしまうのですが、とりあえず「ちょっと考えようか」という時には真っ先にこのリストを開くことになります。

考えている事リスト

また、アウトプットネタの「直近のネタ」をこの「今考えている事」にMirrorしているのは、優先度の高いアウトプットネタについて接触する頻度高めたいからです。

接触頻度(或いは考える頻度)を高める事で、時間があるときに考えを深められる(ブレイクダウンや構成の検討)他、「そうだあのネタを書かなきゃ(収録しなきゃ)」というリマインダーの役割も担っています。

直近ネタは考える事リストにもMirror

考えた内容がある程度まとまったところで、割とどうでも良いことはEvernoteへ、残しておくべき事はObsidianに移動させ、Workflwoy上ではComplete(cmd & Enter)にして非表示にしてしまいます。

考えた結果、割とどうでもいいものはEvernote
考えた結果、ちゃんと残しておきたいモノはObsidianへ

最後に

ということで、今回は「Workflowyで行っているトップダウン型のアイデアプロセッシングについて取り上げました。

アウトライナーとしての優れたUI/UX(特にブレイクダウン、上位概念でグループ化、項目間移動ができる)と、Mirror機能の便利さから私はWorkflowyを非常に重宝していますが、この手法が万人にとって有効だとも考えておりません。部分的にでも、皆様の参考になる部分があったならば幸いです。

次回は「Obsidian」で行っているボトムアップ型のアイデアプロセッシング・・言い換えればPKMからのアウトプットアプローチについて取り上げたいと思います。

それではまた!

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