第5回:ノートシステムに「メモ」として情報をキャプチャする
こんにちは、北真也(@beck1240)です。
前回は「デジタルノートの使い分け」について用途軸(キャプチャ/参照・整理/思考/下書き/PKM)×デバイス軸(PC/タブレット/スマホ/手書き)での分類を考えてみました。どういった場面でなんの為にどういったツールを使うのかを考えるヒントになっていれば幸いです。
さて、第5回はノートシステムへ如何に情報を記録(キャプチャ)するか、とりわけ「メモ」としてのキャプチャにフォーカスを当ててみたいと思います。
「メモ」と「ノート」で情報キャプチャの要件は異なる
同じように情報をキャプチャするのに似て非ざるものとして「メモ」と「ノート」が挙げられるのですが、メモとノートでは情報キャプチャの要件が違なります。
というよりも、メモとノートとざっくり表現していますが、掘り下げれば色んなメモ、ノートがありますし、その境目も曖昧です。
例えばですが、議事メモと議事録、両方とも会議についての記録です。これってメモでしょうか、ノートでしょうか。
システム開発の世界だと議事録での合意事項などに証跡としての効力を持たせるために、印刷して双方のサインをしたり、メールで合意した旨の確証を取ったりすることもあります。こういう場面では議事メモ、という表現はまず使いません。
ただ、そこまで厳密に扱わなくても議事録と呼ぶことはあるし、会議参加者トの間で意識齟齬がないかを確認するために議事メモを共有する、と表現する場合もあります。非常に曖昧です。
そもそもノートというのも、英語のNoteには「記録」とか「覚え書き」という意味もあって、それって日本語だとメモやんと。英語で上司とチャットをしていると何か指示や注意があったときには「Noted」とか「Well noted」って返すんですが、多分「大事なことなのでメモしました」みたいな意味合いです。
さて、余談が過ぎました。本筋に話を戻しましょう。メモとノートが同じだよねというところで話を止めてしまうと、冒頭の「メモとノートでは要件が違なります」と完全に乖離してしまいますので。
ここでは、メモを「アイデアや外からくる情報を速やかにキャプチャする記録方法」と定義し、ノートを「特定のテーマ毎に整理された繰り返し使用する情報の記録方法」と定義しましょう。
まぁこれ、完全にアナログツールとしてのメモ帳とノートの使われ方をざっくり表現しているだけなんですけどね。もうちょっとメモとノートの要件を細かく見ていきましょう。
メモは
・思いついた時、誰かに何かを言われたとき、会議などで自分がやるべきタスクが発生したとき、速やかにその情報がキャプチャできる
・後から読んで自分が思い出せればOK
・整理はできなくてもいいけど散逸は防ぎたい
・アイデアはアイデア帳へ、アクションはタスク管理ツールへ、予定はカレンダーへ、あるべき場所に情報が格納されたらメモは捨ててOK(アーカイブする)
ノートは
・速効性よりも、残すべき情報が正しく残せること
・ある程度時間がたって見返したときに正しく情報が把握できること
・いつ/誰が/何を言ったみたいな正確性が求められる場合もある
・特定のジャンルで情報が整理された状態である
・後から何度も利用される可能性があるが、プロジェクトの終わりなどの賞味期限もある
メモとノートの要件の間には、ストリームとストック、速効性と再利用性、記録の正確性、保管期間などに違いがありそうです。
例えばですが、授業のノートや議事録を取るのにポケットサイズのメモ帳を使うのはいささか効率が悪く、外を歩いているときにふと思いついたことをB5ノートをカバンから取り出して書くのも不便です。その時の状況にあったツールを使うべきでしょう。
勿論、これは私の「メモ」と「ノート」の定義なので、皆さんの定義はご自由に行って頂いて良いかと思います。僕も興味があるので異論はぶつけて頂くのは大変ウェルカムですが、反論されても「知らんがな」でスルーさせて頂きます。
メモに必要とされる機能
では次に、どんな機能が”メモツール”にとって必要かを考えてみましょう。要件に照らしてみると
・思いついた時、誰かに何かを言われたとき、会議などで自分がやるべきタスクが発生したとき、速やかにその情報がキャプチャできる
・後から読んで自分が思い出せればOK
・整理はできなくてもいいけど散逸は防ぎたい
この要件に対して必要な機能は、いつでも、どこでも、即座にメモを取れることですね。そして、情報の量や正確性より、とにかく速さと後から思い出せることが重要です。
あなたが人間離れした短期メモリ容量の持ち主で、一度見たことを絶対に忘れない能力を持っていない限り、「アイデア」や「やるべきタスク」のメモを取らないことは、これらを忘却のリスクに晒すことになります。しかも高確率で。
スマホ登場以前はいつでもどこでも携帯できるメモ帳(紙)がこの分野における最適解だったように思います。メモ帳を取り出せない時のために、ボイスレコーダーを持ち歩く・・なんてハックもスマホ以前の世界にはありました。
2021年現在、この多くの部分がスマホやタブレットを用いて代替できるようになりましたし、今でも紙のメモ帳を支持する人は少なからずいます。テクノロジーの進歩によって、より便利で快適に、メモを取る手段の選択肢が増えたことは非常に喜ばしいですね。
私の場合、メモを取る主たる入り口は次の通りです。
・Apple Watchを使った音声文字入力(たすくま/FastEver→Evernote)
・iPhoneでのフリック入力(たすくま/FastEver→Evernote)
・iPad miniでのクイックメモでの手書き文字認識(Apple標準メモ帳→Evernote)
・手元に紙があってそこに書き付ける(FastEverで写真→Evernote)
・パソコンを使っているときはEvernoteで直接メモ
とりあえず、どっかでメモを取れば後はEvernoteに送りつけとけばだいたいOKってことですね。入り口は広く、出口は一つがメモの原則だと思います。手書きだろうと、テキストだろうと、音声だろうと、動画だろうと、あらゆるフォーマットのメモをフラットに「ノート」として扱えるEvernoteは良き集積地でありますが、ここはお好みでNotionでもObsidianでもOneNoteでも好きなツールをお使いください。
散歩中やランニング中にサクッとメモを取りたいときにApple Watchでのメモは非常に便利です。Apple Watchのコンプリケーションスクリーンに、「たすくまの実行中タスク」と「Fastever」を置いているのでいつでもどこでもすぐにメモが取れます。
文字認識の精度は非常に高いのですが、狙ってる漢字に変換されないことはままあります。しかし、メモは正確さよりも速さ重視、さしたる問題ではありません。
ちなみに通勤途中とかは周りに人が多いので流石に使えないのですが・・家でくつろいでいるときに、わざわざスマホを開くのも面倒、みたいな場面でも活躍してくれます。
完全に余談ですが、Dayoneという日記アプリは、自分の音声とその文字起こしの両方を日記として残しておける(有料サブスクの機能)ので、最近の僕の日記はもっぱら音声+書き起こしです。
iPhoneでもApple Watchでも基本メモは全て「たすくま」か「Fastever」を使っています。
一応補足しておくと、「たすくま」は所謂タスク管理系のアプリで、その日の予定やらタスクやらをずらっと書き出しておいて、それを順次実行していくと予定やタスクのタイムロギングができたり、実行タスクに紐付けてメモや写真を残せるツールです。(気になる人はタスクシュートでぐぐってください)
僕にとってたすくまはライフログやユビキタスキャプチャの側面が強いため、例えば散歩というタスクを実行中に思いついた事は一旦たすくまにメモを残し、その後Evernoteに送ります。いつ、どこで、何をしているときにどういう事を考えていたかみたいな記録を残しつつ、メモもバッチリEvernoteに送り込めます。
とはいえ、たすくまに取り込むと、たすくまへメモ→Evernoteへ送る手間が発生するため、ライフログ/ユビキタスキャプチャ的に残す必要の無いメモについてはFasteverで速攻Evernoteに送り込んでしまいます。
最近は手書きメモをとんと取らなくなってしまったのはiPad mini6のせいかなと思います。iPad mini6でクイックメモが快適すぎて、一時期本気でEvernoteからの乗り換えも考えましたが、同一Apple IDじゃないとメモが同期できない制約から断念。
例えば、電話掛かってきたときに、片手でiPhone持って通話、もう片方の手でさっとクイックメモを起動してメモを取るみたいなシーンは割と良くあるのでとても便利です。
その他、電車でKindleやKoboを読む、家事のついでにYoutubeを見る、テレビ見ながらTwitterのタイムラインを流し読みする、みたいな感じで四六時中iPad miniを触っているので、こういった場面でのメモもApple Pencilでクイックメモです。
・アイデアはアイデア帳へ、アクションはタスク管理ツールへ、予定はカレンダーへ、あるべき場所に情報が格納されたらメモは捨ててOK(アーカイブする)
さて、もう一つ残っていた要件がありました。集められたメモは、しかるべきアクションが取られた後、アーカイブされる必要があります。機能として何か特別なものが必要な訳ではありませんが、敢えて挙げるなら、ライフサイクルが管理できる分類機能とメモのURLが取得できる事ぐらいでしょうか。ぐらいでしょうか。
Evernoteに一旦集められたメモは、アウトプット系のアイデア(アウトプットネタ)についてはWorkflowyのネタ帳、体系にまとめたい事柄(研究テーマ)についての着想はObsidian、予定ならGoogleカレンダー、タスクならTodoist(最近Nozbeから乗り換えた)と、メモの内容をあるべき場所に格納した後役目を終えてアーカイブされます。
例えば、タスクに関する事柄がある場合、タスクの出元になったEvernote上のメモで「Ctrl+Opt+Cmd+C」でURLを取得してやり
タスクツール側からリンクを貼っておくと、後から経緯が追いやすかったりします。一つのメモに複数のタスクが内在している場合もあるし、出来事としては電話や会議の記録である場合、タスクには不要な話も色々含まれている可能性もあります。
メモは、Inbox→Activeメモ(対応が必要)→Archiveメモ(対応が終わっている)という流れで管理しているので、大まかにはこういった分類ができればツールはなんでも良いのですが、ノートブックでの分類/URLベースのメモ参照がやりやすいツールと言うことで、僕はEvernoteを使っている次第です。
タスク完了時に完了タスクのノートを作って成果物を貼り付けている・・みたいな話もあるのですが、この辺はメモの範囲を逸脱してしまうので、また参考資料やアーカイブに関して書くときに触れたいと思います。
最後に
今回は「メモ」に関する情報キャプチャについて掘り下げてみました。もう一段深くいけそうな気もしますが、永遠に終わらない気もするのでとりあえず今日はこの辺で。
一旦、メモ→ノート→参考資料→思考→PKMぐらいの順で考え方と僕のやり方を書かせて貰いつつ、書き切れないことは各ツール或いはツール間連携にDeepDiveしてみようかなと思います。
次は「ノートテイキング」について取り上げたいと思います。ではまた次回!
〜追伸〜
noteで書き始めて約1ヶ月たったのですが、なんだかんだ「スキ」が押されたりフォローして貰えると舞い上がっている自分がいることに気付かされました。この記事が良いな、続きが読みたいなと思った方は是非フォロー&スキをお願い致します♪
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