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ぐるっと日本を旅してみた Vol.29

2023年7月20日(木) 29日目

今日は、岩手県の内陸部から再び海岸線を目指して走ることにする。
岩手県は広い。
北海道に次いで2位の広さを誇っている。
岩手県に入ってからすでに5日目。
天気が悪かったのもあるが、思った以上に時間がかかる。
1週間近くかけて岩手県を回ることになるが、それでも行けてない場所がたくさんある。
やはり、岩手県は広いのだ。

雨ニモマケズ

藤三旅館の裏を流れる川は、増水してゴウゴウと音を立てて流れている。
川沿いにある露天風呂には増水で危険なため入ることができなかった。
宿の人に聞くと白猿の湯も前日までは川の水が流れ込んでいて入ることができなかったらしい。
そういう意味ではラッキーだったのかもしれない。
宿を出ると天気は晴れていた。
駐車場には大きな水たまりができていたが土砂降りの中を出発するよりずっとマシだ。
花巻市内へ戻ると、宮沢賢治先生が黒板に伝言を書いていた「下ノ畑」へ行ってみる。
少し小高くなったところから「下ノ畑」を見下ろす。
当時からこの風景は変わっているのだろうが、こののんびりとした感じは変わらないのかな?
振り返ると大きな石碑が立っている。
「雨ニモマケズ」の詩碑で、高村光太郎が彫ったものだそうだ。
実はこの詩碑、文字を間違えて彫ってあり、その訂正した箇所もそのまま残っている。
なんかちょっと微笑ましかった。

高村光太郎が間違えた文字を訂正した「アメニモマケズ」の詩碑
下ノ畑二イマス

くるまが下がる上り坂? ミステリー坂

「ミステリー坂」
国道を遠野市へ向けて走っていたらそんな看板を見つけて、つい引き返して脇道に入ってみた。
標識に従い、進んで行くと真っ直ぐな坂道が現れる。
東和町観光
ミステリー坂「くるまが下がる上り坂?」
そんな看板の体験方法に従い車を止めてみる。
====================
1:ニュートラルにして
2:ブレーキを解除する
あれ〜
====================
車がゆっくりと動き始め、上り坂を進み始める。
目の錯覚だというのは、分かるがなんか楽しい。
車を元に戻して、何度かやってみる。
遠野も近いし、妖怪に化かされているのかもしれないね。
いやぁ、楽しい。

東和町観光迷所「ミステリー坂」
あれ〜

「昔あったずもな」 とおの物語の館

柳田國男の遠野物語。
読んだことは無かったが、遠野には昔話や、伝説がたくさんあるイメージがあった。
その遠野物語の資料館が「とおの物語の館」だ。
柳田國男の生涯についてや、遠野物語の数々のお話について展示されている。
語り部のおばあさんが語る昔話を聞くこともできてなかなか面白かった。
展示ブースで録音された物語を聞くこともできるが、古民家の座敷で語られる昔話は別格だ。

「昔あったずもな」
この言葉で始まる物語は迫力のある描写や時にはコミカルな表情で語られる。
雪女が微笑みかけ、
カッパが川から顔を出す。
次第にその世界に入り込んでいくのがわかる。
やがて「どんどはれ」でお話は終わる。
そこで現実に戻ってくると、雪女もカッパも座敷童もどこかに消えてしまう。
そんな不思議な世界です。
「どんどはれ」

とおの物語の館

圧巻の書棚 こども本の森 遠野

一歩館内に入るとそこはまさに「本の森」だった。

とおの物語の館の周囲は整備されていてキレイな町並みになっていた。
通りを少し進んだところに「こども本の森 遠野」がある。
いわゆる図書館なのだが、
「訪れる人それぞれが、本のある空間を
思い思いの過ごし方で楽しむ文化施設」
というコンセプトで作られている。
3つに区切られた閲覧室の天井まで届く書棚に 13のテーマに従い、
本が配置されている。
書棚の下は、椅子やテーブルが置いてあったり、ジュータンが敷いてあり、思い思いに本を読むことができるようになっている。
小さな子供がお母さんに本を読んでもらっている。
小学生くらいの子がお気に入りの本を、お気に入りの場所で読んでいる。
僕らも書棚を見渡し、見つけた本を読んでみる。
静かでゆっくりとした時間が流れている。

こども本の森 遠野
書棚の迫力
本に囲まれて一日中、本を読んでいたい。

暮坪かぶ 遠野蕎麦まんてん

お昼に蕎麦を食べる事にした。
遠野そば まんてん さんは国道沿いの小さなお店だった。
暮坪かぶとざる蕎麦
梅しそおろし蕎麦
を注文する。
暮坪かぶというのは遠野市の暮坪地区で生産されているかぶという事らしい。
その暮坪かぶをおろして添えてある。
ワサビとも大根とも違うちょっとした辛味が蕎麦の味を引き立てている。
梅しそおろし蕎麦もさっぱりとして美味しくいただけました。
ごちそうさまでした。

遠野蕎麦まんてん
暮坪かぶとざるそば
究極の薬味 暮坪かぶ
梅しそおろし蕎麦 も美味しかった!

カッパ 遠野伝承園

南部曲がり家を除くと昔の生活風景が見えてくる。
馬と一緒に暮らしていたというその建物は独特の形をしていた。
遠野伝承園は、そんな昔の遠野の生活を再現してあった。
ここでも昔話の世界は体験できる。
曲がり家の中で昔話を聞くことができるのだ。
柳田國男に数々の昔話を伝えた佐々木喜善氏の資料館もあり、とおの物語りの館と合わせて見ることでより深く遠野物語の世界を知ることができる。

遠野伝承園

ただ、ここへ来たのはカッパを捕まえるため!
近くにカッパが住んでいるというカッパ渕がある。
そこでカッパの捕獲ができるという。
捕獲の賞金は
1000万円!
これはやらねば。
ただむやみやたらに捕獲できる訳ではない。
ちゃんと「カッパ捕獲許可証」が必要なのだ。
伝承園で許可証を手に入れると早速カッパ淵へ行ってみる。
木々の間をゆったりと小川が流れている。
その辺りに祠がありカッパが祀られている。
その祠の横に、釣り竿がありこれでカッパを捕獲するらしい。
餌はキュウリ!
のんびりと流れに合わせて釣り糸を垂らしてみたが、この日は捕獲することができなかった。
また、リベンジに来ようかな?

カッパ
カッパ淵に釣り糸を垂らす
カッパ出てこないかな?

ひょっこりひょうたん島 三陸鉄道 大槌駅

突然雨が強く降ったかと思うと、急に止む。
そんな不安定な天気の遠野から山越をする事にした。
薄暗い山の中にいると天気が心配になるが、どうにか回復してきたようだった。
こうして太平洋岸へ再び戻ってきた。
三陸鉄道の大槌駅へ。
ここには「ひょっこりひょうたん島」のキャラクターがあちこちに隠れている。
駅前にはドンガバチョ。
駅の屋上から下を見下ろしているハカセ。
店先にいるトラヒゲ。
天井に潜むダンディ。
この近くに「ひょっこりひょうたん島」のモデルになった蓬莱島という島があり、その関係で駅にキャラクターがいるらしい。
「ひょっこりひょうたん島」を見たことのないミィですら、なんとなく親近感を持っているようで、NHKの影響力ってすごいなぁと思ってしまう。
僕ですらリアルで見たのか?再放送だったのか?覚えてません。
「新八犬伝」からははっきりと覚えているんだけどなぁ。
ちょっと楽しい駅でした。

三陸鉄道 大槌駅
ドンガバチョ
誰でしたっけ?
どちら様で?
ハカセは、駅前を見下ろしている

ラグビーワールドカップ 釜石鵜住居復興スタジアム

三陸鉄道鵜住居駅の脇の踏切を超えたところで巨大な施設が目に飛び込んでくる。
ラグビーワールドカップで会場となった、釜石鵜住居復興スタジアムだ。
偶然目の前を通る事になってちょっと興奮していた。
ラグビーに興味がある訳ではないが、TVで何度も見たスタジアムが目の前にある。
「これか」
スタジアムに近寄りグランドを覗き見てみる。
観客でいっぱいに埋まったスタジアムを想像してみた。
歓声が響いて駅まで聞こえてきそうな距離感だ。
ただ、今はシーンと静まり返った観客席が見えるだけ。
スタジアムは静かにそこにあった。

鵜住居駅からチラ見
釜石鵜住居復興スタジアム
ここでワールドカップが行われた

根浜シーサイドオートキャンプ場

根浜シーサイドオートキャンプ場は、海岸線沿いにあった。
少し歩けばすぐに砂浜がある。
その為、チェックインの時に避難路についての説明もあった。
テントサイトは、オートサイトと、フリーサイトに分かれていて僕らはフリーサイトを使う事にした。
フリーサイトと言っても道路脇に車を停めて目の前にテントを建てることができるのでオートサイトと環境はさほど変わらない。
むしろ広く使えて便利なくらいだ。
テントサイトの脇は斜面になっていて、その上に住宅街がある。
そこへ向けて避難路の階段があり、階段に近いところにテントを設営した。
ふと反対側の林に目をやると、鹿がこっちを見ていた。
北海道以来の野生の鹿だ。
へぇ、こんなところにもいるんだね。
ミィとしばらく見ていたが、こちらへ来る事もなく林の中へ消えていった。
夕飯を食べてから海岸へ行ってみた。
暗闇の中で波音だけが響いている。
湾の対岸で大槌町の灯りが光っている。
その夜は波音に耳を傾けながら眠りについた。

今宵のお宿
根浜シーサイドオートキャンプ場
大槌の灯り

29日目のDATA

2023/07/20(木)
天候:晴れ 最低 20.1℃/最高 27.8℃
岩手県花巻市〜岩手県釜石市
走行距離:147.3km
総走行距離:4801.2km

29日目のルート

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