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渦中にて

桜はいつでも変わらず咲いて
何も言わずに散ってゆきます
今年はどうだと文句を垂れずに
美しく、凛として、幕を下ろす

不要不急 緊急事態
無人の都会 空白の陳列棚
晴れた青空 黄色いたんぽぽ
不満焦燥 溜息怠惰

死者が数字として羅列されても
親指で擦れば忘却の彼方
この慣れが日々積もる恐怖
そして新たな情報に憤慨する

地球上で人間だけが
疫病の渦中で慌てふためく
他は皆澄まし顔
まるで私達だけが異物のように

押し込まれた欠片は
どうやら限界を迎えたらしい
知能が生んだ無謀な抵抗
潮時という名の一掃

陽光の中 背を伸ばす草木
ガラス越しに見ていると
本来こうあるべきなのではと
我々は彼らの害であるから

ただ絶対悪は無いという信条の下
必ずより良い共生の道がある
まだ幼いのに通学路を通らないから
今回少し叱られた感じ

奥底に湧く新鮮な鼓動を無視し続け
乾燥した周囲に目を向け過ぎた
今一度深く潜って詮索するべき
そこでは溺れても良いと思うから

生まれた意味を色づけしていく
命の燃やし方を探す
素敵な人から聞きました
こんな日々こそ自身にさらなる彩りを

彩りだって伝染するよきっと
人間のお墨付きの弱さはご存知のはず
流れを創ればゆらゆら流れる
他力本願にならずにね

どの情報が、どの社会が
信頼に値するかは未知だけど
人間の泥臭さと純真さについては
信じざるを得ない時なのかもしれません

再び陽の下で風を感じ
会いたい人と自由に会える
そんな「普通」を手に入れるために
できることを少しずつ

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