見出し画像

82年生まれ、キム・ジヨンを観た

先週日本での公開が始まった、「82年生まれ、キム・ジヨン」を90年代生まれの女が観てきました。忘れないうちに感想を綴っておきます。

こちらの原作は、今年の春頃に読んでいました。日本語訳が出版されたのは2018年?みたいなので遅い方だったんだなと。本屋で平積みされていたのでなんとなく気になっていて、近所の古本屋で見つけたので購入。

軽い気持ちで読み始めたものの、悔しくて、悲しくて、何度も涙してしまいました。すぐに母にも薦めて読んでもらった本でした。

画像1

案の定、映画館にいるお客さんは女性だけでした。主演がコン・ユさんということもあり、韓国俳優好きっぽいおばさま達と(そういう会話で盛り上がっていた)、あとは一人で観に来ている人がほとんどでした。男性にこそ観てほしいなあと思いましたがなかなか難しいですよね。

原作との違い
映画は原作と同じ内容がほとんどでした。ただ、時系列の描き方が違ったので本を読んでいないと分かりにくいのでは?と個人的に思いました。あと原作では生い立ちから丁寧に描かれていた登場人物達の説明がなかったので、「これがあの人で・・・これは誰の親・・・?」と脳内で格闘していました。これに関してはただただ私の理解力アンド韓国人フェイス見分け能力が足りないだけだと思います。原作にはなかったシーンもあり、映画は映画で観に行ってよかったと思いました。

女の子なんだから
私はジヨンより10年以上あとに生まれています。またジヨンと違って未婚・子なしですが、ジヨンが母になるまでの描写は、共感できる点がいくつもありました。日本と韓国で多少の違いはあるとは思いますが(韓国の方が男尊女卑の考え方は強い?)、バス停でのシーンは幼いジヨンを想うと涙が止まらなかったです。
韓国の友人が日本に遊びに来た際に、女性専用車両を見てとても驚いていたことを思い出しました。満員の地下鉄で痴漢だと声を上げる女性を見かけて以来、車内が混む時間帯は必ず女性専用車両を使うようにしています。安心して過ごせるので、日本はありがたいなあなんて考えていました。ですがそもそも、こんな車両を作らなければならない日本の現状を考えるととても悲しい気持ちになります。

女性専用車両ができたきっかけを調べた際に、胸が苦しくなりました。声をあげることが難しい痴漢という犯罪に対して、泣き寝入りをするしかないのか。実際に痴漢だと声をあげた女性は、犯人をホームで追いかけていましたが取り逃がしたようでした。捕まえていたとしても、少し前科がつくくらいで終わりなんて本当に腹が立ちます。映画の中でもジヨンが短いスカートをはくからだ、と父親に叱られるシーンがありました。ジヨンは被害者なのに。短いスカートを履いていても、胸元の空いた服を着ていても、それはイコール痴漢をされても仕方がない、という合図ではありません。

画像2

就職が決まらないジヨンに、父が「就職なんかしないでさっさと嫁に行け」というシーンがありました。(ここで机を叩きつけて怒るジヨンの母親が私は大好き、、、)女は働かず、嫁に行け、という文化は流石に古すぎるだろう、と思っていましたが、私の母や祖母ですらそういった言葉を私にかけることがあります。やれ婚活をしろ、やれ玉の輿に乗れ、、、、

ジヨンと同じく、彼女のママ友達はみな学歴がありました。学がなく、会社に就職することができないならそういった言葉が出ても仕方がないのかなと思ってしまうけれど、自分のやりたいことを叶えるために勉強をし、大学を出た人たちが「女」というだけで諦めなければいけないこと、失うものがあまりにも多すぎると感じました。

優しい夫、デヒョンさん
コンユさん演じる、ジヨンの夫は終始優しいのですが、チクチクと胸に来る発言が多かったです。(原作よりは少なかったですが、、、)一見妻を気遣う優しい夫なのですが、親に言われるから子供を作ろうと簡単に言ったり、育児真っ只中のジヨンに休めばいいと言ったり(小さい子供の面倒を見ながら休めない、、、)腹が立つ箇所がいくつもありました。こういった小さな積み重ねが他人が憑依するほどのジヨンを形成してしまったんだろうなあと感じました。

強い姉、ウニョン
ジヨンの姉であるウニョンは、今回の映画で一番好きなキャラクターでした。(オンマも好きだけど)教師である姉は、受験生の頃、当初行きたかった大学ではなく、母親の薦めた教育大学へ進学しました。(このあたりの描写は映画ではなかったです。)姉は最終的に自分で納得し、その道を選ぶのですが、そのあとで母が後悔し、涙するシーンは本を読んでいて一番泣いた箇所でした。正月に家族で集まった際に、姉はなんでも女にさせる風潮を否定し、弟にも手伝うように指示します。その他シーンでも、闘う姿勢を持ち続けていました。お母さんに似て、とてもかっこいいお姉ちゃんでした。あんな姉が欲しい。

画像3

女性でいること、妻でいること、そして母でいることの残酷さを形にしたこの「82年生まれ、キム・ジヨン」は、誰にでも起こりうる物語だということが、日本にも認知されて欲しいと強く感じました。

この作品が韓国でベストセラーになったこと、日本でも公開がされることには大きな意味があると思います。本当の意味での男女平等の時代は、私が生きているうちに来るのでしょうか。来たらいいな。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?