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≪ネタバレ≫元アイドルがトラペジウムを見た感想


きっかけ

「トラペジウム」。
xで「主人公に共感できない」「感情が伝わってこない」等の相当な批判的意見をみた。

もともと乃木坂の人が書いた小説、という前提しか知識がなかったため、物語の内容は「夢はかなう!」「きらきらアイドル」等のよくあるものだと思っていた。

なので全然リアリティがなさそうで、興味なかったが、ここまで批判的に叩かれていると、逆に興味がわき見に行ってみた。

結論から言うと、リアリティが半端なく、面白かった。
地下アイドルではあるが、あるあるを描いていた。
どこに共感したのか、語っていこうと思う。

①主人公のアイドル適正がえぐい


Xでよくある意見として、「主人公が自己中心的で全然共感できない」のがあった。
でも、そりゃそうだ。
こういっているひとは、”アイドルじゃない”から。

アイドル経験を4,5年経ている私が思うアイドル適正とは

自己中心的なひと


だと思っている。
例えば、前に出れる子が限られているイベントや、話せる子が限られている場などで、遠慮なんてせず、「はーい!やりたいです!」と
他人のことなんか考えずに言える人
がアイドルとして成功している。これは地下も地上も関係ない普遍事実である。
もちろんこういうと、「うちの推しメンは人気グループのセンターだけど、自己中じゃない!」と思うひともいるかもしれない。

だけど、それは”アイドル”として"グループ思いな女の子“を演じることができているだけで、その子の本性ではない。
これは、断言できる。
だからこそ、これに気づいた作者はこうやって主人公を自己中心的に描いて、共感できない観客とのズレができているのだ。

②SNSの描写が緻密


物語の中盤、晴れてアイドルとして成功し始めた中で、
主人公のティックトックだけ伸び悩むという描写がある。
それに共感するアイドルも多いと思う。
また、ちゃんと歌を歌える主人公だけが生歌で、それによって自分だけ叩かれるシーン。
これもあるあるである。
観客は誰が歌っていて誰が歌っていないなんて、素人だからわからない。
「なんで私だけ。」という気持ちになってしまうのをここまでアイドルアニメとして赤裸々に描いている作品は少ないと思う。

TVにでてからアイドルとしてデビューするまでは、まるでリアリティがなく、おいおいと思ったが、そこからの描写はまるでノンフィクションのようだった。

③大人の冷たさ


事務所に所属した四人は、言われるままにSNSをはじめる。また、四人のグループなのにこれからの楽曲について主人公にしか話をしていない。
これは、悪い大人だなと思った。
ほかの三人に限界がきていることに気が付き、事態をめんどくさくしたくないから、主人公だけに話をする。

また、メンバーの熱愛がSNSで拡散された際、何も守ることなく、「以後気を付けるように」と我関せず。

これにもリアリティがあって、ぞっとした。



全体の感想


率直な感想は、すごくおもしろかった。
確かに表現が足りない部分があるとは感じ、それに対し尺的な問題ととらえている人もいたが、逆にアイドルに興味がない他のメンバーの葛藤が描かれていないことにより、軽い気持ちでアイドルになるべきではないというメッセージのようにも思えた。

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