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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を観たよ

一足お先に、試写会で。というお話


みなさんは「ジョン・ウィック」に対してどんなイメージを持っているだろうか

「キアヌがいっぱい人を殺す」

それだけ知ってれば十分だ!
公開されたら劇場へ行こう!

以上、今日はここまで!



そんなわけにもいかないので↓

さて、前回ラストでやっぱり世界に追われることとなったジョンウィックさん

アレコレ手を尽くすも結局「キルゼムオール!」と殺し屋を殺す世界紀行が始まる!

そんなアクションを撮るための口実のようなあらすじなのでお話には特に(問題)ないです

やっぱりアクションですよね〜

みんな大好きガンフー

もはや安定の職人印
全編冴え渡りまくり!

敵も味方も防弾仕様なのでとにかく投げる!極める!撃つ!と確殺入れていかないといけないので…

ワイスピが「車を使った大喜利」なら
こちらは「殺し方の大喜利」見本市となっておりますので

今回もあるよ!「それ武器にするの!?」シリーズが!!

ヌンチャク・フー

(キアヌさん、出来たんだ!?という驚き)

交通渋滞・フー

入り乱れるクルマを武器化!
前述のワイスピでは観られない乱雑さ!

そして極め付けは…↓

階段・フー

君はあるか?
222段の階段が凶器になる様を!

マジで帰り道、階段に優しくしようと思いましたからね

サブキャラとして犬使いもいるので3のドッグ・フーも再来!
あの世界では定番なのかな?


そして〜!

満を辞して〜〜!!!

"宇宙最強"、参戦。

「ドニー・イェン」

元祖、「カンフー」の達人

盲目、洒脱、娘想いという役満揃った殺し屋でキアヌと双璧を争う古来よりの友人ですね

お前…殺す気か??
なんだそのビジュアルは?

設定から何から仕上がりすぎており…

盲目で仕込み杖を使う、いわば「座頭市」でありSWのチアルート再来のようなキャラなわけですが

これがまぁ〜最高

見えない仕草とかスゴい
なのに銃弾避けてるの意味わからん(わかる、ドニーさんだもの)

今回、上映時間が169分と超長尺なわけですが
それはドニーさんがもう1人の主人公として描かれているからなんですね

よくある「立ったキャラ」なんてもんじゃなくて本当に別シリーズからの、なんならスピンオフあった?レベルの主人公なんですよ

娘のためにジョンに立ちはだかるんですが
それは自らの復讐のために暴れているジョンも同じ

どちらが敵とか悪いじゃなくてね…
これが非常に巧くてね…

なんならW主人公レベルなんですよ

あ、アクションはもちろん最高です

なにせドニーさん!だから!!

ときたまハリウッド映画に出演した際には専門畑じゃない監督のカメラを追い抜いてしまうような速さを持っている彼
(これは仕方ない、ドニーさんが異常)

しかし今回の監督はスタントマン出身のチャドさん
ドッシリ構えてその凄さを全て収めることに成功してる

というかカメラワークがスゴい
飛び回って、とか斬新で、じゃない

しっかり構えてその中でちゃんと俳優がアクションしてるのがわかる

ボーン以降流行ったカチャカチャする編集のヤツ(あれはあれで好き)に任せずに
「ちゃんと構えて全て画角に入れる」

この度胸よ

しかも平気でロングショットのワンカットとか入れてくる
正気か?

結果的に「ゲーム的」と揶揄されることもある

仕方ない、なにせ映画界でアレを真似できる監督は他にいないからだ

「まるで映画のような小説」が褒め言葉であるように
「まるでゲームのような映画」もひとつの褒め言葉であると思う

ちなみにFPS齧ってる俺から言わせてもらえばゲームでもあんなキャラコンは無理です
それこそプロ級

それを生身でやってるから尚、スゴいのだ


閑話休題

ドニーさんな?

過去と比べて引けを取らない、なんなら今が全盛期まであるキレを魅せてくれる

ドニーさんといえば大まかに2つの役の魅力がある

ひとつは"暴"の化身である
「SPL」や「フラッシュポイント」に代表される全身凶器のオラオラ俺様キャラ

もうひとつは"智"
これは「イップマン」ですね
抑えて大人の色気がある、それでいて全身凶器なキャラ

今回はその両者が融合した恐ろしさがある

ぱっと見はオラオラ系だ
何せ殺し屋である

しかしその実はなによりも娘を想い、友を想う
歳を重ねたこその深みとでも言おうか

簡単に火は付かない難燃性のキャラである
思慮深いチアルートにも似ているかもしれない

ここにきてその両面を併せ持つなんて!

イケ散らかしすぎ!

ドニーさん、末恐ろしすぎる

これはネタバレかもしれないが
チェーンパンチ、グルグルアッパーが出た瞬間に「ひとつの完成系」を見た

ドニーさんを知っていれば、いや知らずとも全身を貫くような衝撃を受けるだろう
これだけでお釣りがくる


さて、そんなドニーさん、キアヌと同じ世代を生きた真田広之も参戦する
「コンチネンタル大阪」の支配人として

世界の真田広之!

もちろん顔見せだけではない

ここはジョンウィックバースなのだ

刀で斬る、斬る、斬る!

この3人が入り乱れて暴れる様はONE PIECEでのゼロ世代(ロジャー達)を思い出す

さすが日本描写に明るいチャド監督とキアヌだ
真田広之の魅せ方をよくわかっている

なにせビジュアルがスーツに和服なのだ

「スーツは着せたい…でも和服も…」
そんな声が聞こえてくるようだ

ファンを代表して言おう

「大正解だよ!!!!」



「マルコ・サロール」のこと

武術家でもあるよ

知る人ぞ知るチリの名優である

nextエクスペンダブルズと言われて何年だろうか…

異様に動けて、かつガタイも面構えも良い
しかしあまり出演に恵まれなかった彼

思い付く大作といえば『マチェーテ・キルズ』だろうか
あとデッドロック3で後述のアドキンスと闘ったりもしてたハズ

そんな彼がいよいよ花開く!

役どころはボスの用心棒なのだが、ひたすら現場に出張ってくるので物理的なラスボスはコイツである

基本、本シリーズでは敵も味方も防弾仕様なので一発二発撃ったくらいじゃ死なないのは当たり前なのだが
こいつのタフネスは尋常ではない

しばしばアクション映画では「ターミネーター」的であるキャラが登場する

異様なタフネスでどこまでも追いかけてくる、最凶のシンボルエンカウント

本作ではそのポジションを一手に請け負う
それどころか前述の仕様のせいで本家と遜色ないほどに強い

撃たれても投げられても轢かれても(!?)体力ゲージに翳りが見られない
という自動回復機能ついてません?

ガタイも相まってモノホンに見えてくる

「世界中の殺し屋と五分」と称されるキアヌに追い縋るくらいなので正解ですね



アドキンスのこと

スコッ…誰だお前!?

ビジュアルが公開されたときには
「ウソだろ!?」「マジかよ!?」で溢れたのは記憶に新しい

あのアドキンスである
次世代ヴァンダムと呼ばれる男(何年経つ?)

飛んで跳ねて廻ってが売りの男である

それがよもやの肥大化

「えっ、これアクションない?」

安心してください

あります!!!

ジョンウィックバースですよ?
アドキンスを動かさないなんて道理はありません

キャラとして出ずっぱりではないものの
チャプターボスくらいの存在感は十分

あの攻撃力に体重がプラスされてとんでもない強敵に仕上がっておりますのでね

まぁ肥大化しても動けるのはドニーさんが証明済みなので

ここでも出てくる、集大成ドニー

少なくとも某医者ストレンジよりは扱い良いです


ここまで大御所が集まってワイワイやる
それだけで最高なのですが、本作をキチンと映画たらしめているのが彼

"ドッグ・フー"の使い手

正直前情報で見逃してたんですが
彼は掘り出し物ですよ!!

超人化、神話化した世界で唯一の我々目線で進む殺し屋ルーキー
といっても猪突猛進型ではないのが非常に良い

クレバーである、そして推進力である

終盤は彼に完全感情移入しますよ
観客と全く同じ顔、心の動きにシンクロする!

一発でファンになるぞ!
スピンオフくれ!

支配人、クローク係、キング、とレギュラーキャラをおざなりにしていないのも好印象

トータル、シリーズファンならもちろん!
未見でも「アクション見てぇ〜」ならGO!




ちょっと不安な点

上でも語ったが本作は長い
169分もある

超大作と銘打たれたワイスピ最新作やDC結集フラッシュよりも20分ほど長い(マジで!?)

まさに殺人的である

その分アクションがあれば良いのでは?

そう簡単ではない

なにせ言うほどアクションの連続!ではないからだ

誤解のないように言うと質はもちろん、アクションそのものの長さは抜群だ
通常なら切るところも使う

一度口火を切ればアクションの過剰摂取アクセルが踏まれる

例を挙げればワイスピ
あれはアクションとアクションの間には最低限のブリッジしかない
なにせ話が停滞しかければ爆破で無理矢理コトを進めるのだ(最高だね)

しかしこちらは違う

魅力、売りのひとつに「世界観」がある

独自の殺し屋の世界
ホテルがあり、同盟があり、血の掟、雰囲気、空気感に至るまで

そしてそれらは「アクション」と同等に尊重されている目玉でもある

ここの徹底ぶりはMARVELにも引けを取らない

そう、本作はドラマパートにも時間がたっぷりと割かれている
アクション映画の比ではない、ドラマ映画でもあるのだ

これには驚いた

例えば闇の侯爵の元へ支配人が訪れるシーンがある
通常ならば「扉を開ける→数歩で侯爵の前に」なのだが
本作では「扉を開ける→歩く(30秒ほど)→侯爵の前に」
どう考えても意図的に撮られている

端的にいえば「それだけイヤらしいほど広い部屋にいる男」という描写なのだが
大作アクションであり得る?

なにせ観客はアクションが観たいハズだ
作り手側もわかっている

なのにそんな描写がわざわざ描かれる

そう、ここはジョンウィックバースなのだ

アクション見本市であると共に「ノワール」要素もおざなりにされていない

ドラマパートだけ切り取れば寝る間際に見てもいいほどの温度感

シリーズを追いかけている人間なら大丈夫だ
"それ"に浸るのも魅力とわかっているから

しかし初見だと?
「冗長的」と捉えてしまっても仕方がない

これはあくまで俺の主観でしかないのだが、アクションの連続さでいえば2作目、3作目の方が満足度は高い

もちろん前述したように今回はキアヌの他にドニーさんという主人公がいる
魅力的なキャラを使い捨てしないような配慮でもある

繰り返すが、ここはジョンウィックバースだ

「アクション映画を観る」ではない

「ジョン・ウィックを体験する」が一番楽しめる姿勢なのかもしれない




まぁごちゃごちゃと言いましたが

めちゃくちゃ面白いよ!!

みんなで観よう!
秋にピッタリ!デートにもってこい!!(責任は取らん)

しんみりもあるよ!

見終わった後にはイヌと階段に優しくなります。


おわり





R. I. P. ランス・レディック

貴方の存在は『ジョン・ウィック』に欠かせないものでした。
ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りします。

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