音と共に舞う喜びを
毎年2月4日が立春だと思っていた。
今年は、124年ぶりに2月3日が立春にあたるらしい。
備忘録的に書いておくと、
「立春とは、二十四節気において、春の始まり。太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」とのこと。
2021年の立春の瞬間は、2月3日23時59分。あと100年くらいは、3日か4日のどちらかになるそうだ。
季節の巡りの始まりが春だとすると、そろそろ新しい季節の循環が始まるころだ。春も夏も秋も冬も、どの季節も一様に巡ってくる。年を重ねるごとに、わたしたちはこの循環の中で生きているんだなあと感じてくる。
自分が今、どの季節にいるとしても、必ず春は巡ってくるのだ。
大好きな、ある染色家の方が言われていた。
「一人ひとり、順番がありますから」と。
わたしは今、どの季節にいるんだろう。
「地球一周楽団」というユニークなグループに属している。
先日、あるワークショップのオープニングで唄や演奏を奏でる時間をいただいた。
わたしは、その中で、舞いを担当した。童神(わらべがみ)という唄に合わせて、自由に舞った。
この「自由に舞う」ことが、実はわたしには大きな挑戦だった。
なぜなら、今まではフラやタヒチアンダンスなど、決まった振り付けでの演舞をしてきたからだ。
凝り固まった思考のように、この音にはこの動きをするという経験しかなかった。
もちろん、フラもタヒチアンダンスも大好きで、でも、いつか自由に自分らしく舞ってみたいと思っていた。
ついに、そのチャンスをいただいた。
しかし、童神(わらべがみ)の歌詞を見て、ハタと止まってしまった。
1.天からの恵み
受けてこの地球(ほし)に
生まれたる我が子
祈り込め育て
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛(かな)し思産子(うみなしぐゎ)
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
太陽(てぃだ)の光受けて
ゆういりよーや ヘイヨー ヘイヨー
健やかに 育て
2.暑き夏の日は
涼風を送り
寒き冬来れば
この胸に抱いて
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛し思産子
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
月の光浴びて
ゆういりよーや ヘイヨー ヘイヨー
健やかに 眠れ
3.嵐吹きすさむ
渡るこの浮き世
母の祈り込め
永遠(とわ)の花咲かそ
イラヨーヘイ イラヨーホイ
イラヨー 愛し思産子
泣くなよーや ヘイヨー ヘイヨー
天の光受けて
ゆういりよーや ヘイヨー ヘイヨー
天高く 育て
この唄は、子どもを授かった母の想い、母の祈りが込められている。子どもを育てた経験のないわたしに、この舞いができるだろうか。
子どもを育てた経験がなくても、育てられた経験はある。そう、わたしも母に育てられここまで無事に生きてこられたのだ。
母がどんな想いで我が子を育ててきたか。充分にその想いを図ることはできないが、想像することはできる。
舞いの中で、その気持ちのたゆたいを表現してみよう。
当日は、
音に合わせ、自分の想いを体で表現する心地よさを味わうことができた。
音と一体となり、音が先なのか、私の体が先なのか分からないほど、一つに溶け合った感覚があった。新しい経験ができた。
新しい季節がまた巡ってくる。
わたしの体も、春と共に再び動きだしたいと言っている。
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