鰻が食べたい。

「鰻が食べたい、今日は絶対鰻だ」

目が覚めた途端、そう思った休日の朝。人混みは嫌だと言う家族と、出前では嫌だと言う私。折り合いは「柴又で食べる」で、決着。そうです、あの「寅さん」の柴又です。(柴又だって観光客いるでしょ、と思ったけどね)

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休日のお昼時。以前だったら人だらけだったのですが、ここもコロナ渦中、帝釈天もガランとしていて、こんなにこじんまりしたところだったっけ? なんだか印象が変わって見える。

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とはいえ、第一目的は「鰻」。あー、久しぶりの下町情緒。飲まないつもりが、暑さでついついビールをくいっと! だんだん心が寅さんのようになってきて(どんな?)
「鯉のあらいも食べちゃおうかな〜!」
「ええーっ?」(男衆驚く)
「すいませーん、鯉のあらいもお願いします〜」

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食べ慣れないものへの「抵抗」が甚だ大きい家族を尻目に一人盛り上がる。
「あー、なんだか楽しくなってきちゃったなー」

そこへ、鰻の登場!
「待ってました! 暑い中、来てよかったわ〜。お前(息子)の誕生日のお祝いも遅ればせながらできたし、よかった、よかった!」

男衆は、私の陽気はほっといて、鰻に山椒をかけて蒸らしている。
「そんなに急がなくても、鰻は逃げないわよ〜」
なんて言いながら、鯉のあらいも胃袋におさまって、どれどれと、私も鰻に取り掛かる。

そして、最初の一口。
うまい。
うまい、うまい、うまい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

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↑ いつもながら「一口食べてからの写真」

なんか腹の底から元気が出てきた。
食べたいものを食べる。こんな幸せはない。鰻を噛み締め、夢が叶った喜びも噛み締め、味わって、ご飯粒一粒も残さずに、完食。エネルギー満タン!

願いが叶うと、さっぱりしたもの。
「お母さんさー、今もし心臓止まっても後悔ないよ。食べたいもの食べて、満腹で、お前はもう社会人。野生の世界じゃ、もう、親鳥は餌やりません、っていう歳になったし」

「えー? 本気でそう言ってるの?」

「もちろん、仕事とか、やりたいこと、やり遂げたいことはあるし、机の上散らかったままだから、本当にそうなったら、神様に掛け合わないといけないけどね。ただ、何が言いたいかっていうと、食べたいもの食べられて幸せで、息子が大人になって嬉しいってこと。以上!」

「じゃ、かーちゃん、俺この後約束あるんで」

ま、そんなもんだな。はいはい、どーぞ、行ってらっしゃい。

折しも、ユニセフから「レポートカード16」が発表された。
先進国の子どもの幸福度ランキングで、日本の子どもの幸福度は総合で38カ国中20位。精神的幸福度では、38カ国中37位という、なんとも私にするととても「生きる窮屈さ」を感じる数字が書かれていた。もっと詳しく資料を見てみないとだけど、うちの場合は、子である息子も、親である私も、結果的には、のびのびと育ったかなあ!と思っている。

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みんな違って、みんないい。みんな自由で、みんないい!
もしさ、なんだかつまんないな、って思ったらきっとエネルギー不足だから、自分に「何食べたい?」って聞いて、食べたいものを食べたらいいと思う。食べたいって思うものなら、なんでもいい。食べたいもの食べるのは自分への愛情表現。食べたら元気出てくる! そう、思うよ。


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【text by REIKO from Japan】

佐藤礼子 山間地の昔ながらの暮らしが残る環境で高校までを過ごす。高校時代の愛読書は『留学ジャーナル』と『Hi-Fashion』。短大で村田しのぶと出会い、物心両面で彼女と彼女の家族に支えられる。「ここなら合うと思う」と村田が持ってきた会社案内で就職先を決める。そこで宮本ちか子と出会う。彼女はネパールへ。私も結婚・出産を経てフリーランスライターに。タマラと出会い、ライター業と兼務で創始者秘書に。タマラが縁でハワイ島で成田水奈と出会う。その後、宮本ちか子もタマラに参加。そして、約20年ぶりに村田しのぶと再会し、2018年「Beautiful planet」を立ち上げる。

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