【日常エッセイ⑥】うどんですかい
言わずとしれた、空のうどん。
UDON de SKY
《うどんですかい》
(JALの機内食)
私が初めて出会ったのは、機内の椅子に縛られた空の上だったがニ度見三度見して、
「ねぇ、うそでしょう?」
と心の中で呟いた。
「de SKY」だったら、空の上でする食事や行動全てに応用きくやんけ。
オレンジジュースですかい
チキンですかい、ビーフですかい
ちょっとあなた座席倒し過ぎですよですかい【字余り】
伝説のコピーライター、故眞木準さんの全日空(ANA)のキャッチコピー「でっかいどお。北海道」にも負けず劣らずの「うどんですかい」空の旅。
日本を代表する二つの航空会社がこんなにも空の上のダジャレを大切にしていたとは。
国境を越えても日本人の心を忘るべからず。
ダジャレ大切。
お昼時の蕎麦屋のカウンターから聞こえてくるサラリーマン達の会話なのか、
もしくは夕飯に肉を期待していた思春期男子が母親に言う衝撃の嫌味か、
「うどんですかい」
実際に口に出して言ってみると、およそ空の上とは無縁の馴染み深い日本の風情が浮かび上がって来る。
新橋のガード下の香りがする命名案がまさかの採用で歓喜し、ネーミング発案者と「良かったね、良かったね」と飛び上がって抱き合う様子を空想しながら、気がつくと、夕焼け時の散歩道で香って来る、日本の優しい湯気が恋しくなっていた。
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