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テテと赤い色



1. テテは鼻血が好き。


なるほど確かに、鼻から液体が出ている性別不明な顔(だいたい地中海辺りにいそうな親切なおじさんや友好的な未確認動物の顔に見えるものが多い)を以前からよく描いていた。鼻から出る液体の色が赤の時もあればブルーや黄色の時もあったので、鼻水なのか鼻毛なのか分からないと思っていたが、とにかく体から生まれる水分のようなモノを描くのが好きなアイドル、前衛的な芸術家だった。


そしてこのたび、テテ自作グッズのブローチ制作過程でこんな発言をしたので

イケメン


この体液らしいものは、鼻水でも鼻毛でもなく、やはり鼻血だったことが判明した。

真剣な眼差しで鼻血をデッサンするイケメン


スタッフ : (デザインするブローチ)すべて鼻血を流していますか?

強い意志を感じる


ふむ


どういうのだ


わかるのか?!


ふむ
こっちの気持ちがアンバランス


イケメン過ぎて集中できない


常軌を逸したイケメン度に翻弄されるこっちの気持ちなどつゆ知らず、制作スタッフに鼻血への情熱を見せつけたテテだった。


そして完成品はこちら
数十秒で完売したと言われる幻のブローチ。
ちなみに私はどうしても赤い鼻血と赤い唇がものすごいアナゴさんな左上と右下のブローチが欲しかったので、アミ達と古代ローマの奴隷戦士のごとく死闘を繰り広げ、なんとか手に入れる事が出来た。

テテの望んだアンバランスな鼻血に化粧された可愛いアヴァンギャルドなテテの分身たち。

こうして見ると、鼻血や唇、花びらの赤の差し色が綺麗。テテはBT21のTATAのファーストデッサンでも、体のうにょうにょの線は黒色で、唇だけを真っ赤に描いていた。

右上のTATAの体が心配


赤い唇、赤い鼻血、そしてファンクラブ会報誌の企画でプラバン作りをした時、
「アミに会った時の心臓の高鳴りを表現しました」
と言い、まさかの赤いテテの心臓が体から透けて見えているというビックリスケルトンプラバンを作成。
情熱的を通り越して激情だ!
ファンに心臓を見せてくれるなんて!!

可愛い足と膝。赤い心臓は形までリアル

体の中の燃えるような赤。赤い唇・赤い心臓・赤い鼻血を描くってとても官能的な人なんではなかろうか。
多分すごく官能的でセクシーな人なんだろうね。


セクシー話に花が咲きそうなので気を取り直して。
自作グッズの打ち合わせでは、自分の「直感」に対して揺るぎない自信と信頼を置いているように感じた。

自分の直感に対する揺るぎない信頼。そしてその直感のコアな部分は何かというと、weverse magazineで明言した様に「きれいなもの」。テテの言う「きれなもの」とは、テテの作品を見れば分かる通り、均整の取れたものを美しいと言っているのではない。激情的なもの。それを生き物の目鼻口で表す事が多い。テテは表情で感情を表現することをとても大事にしているのが分かるし、テテのパフォーマンスもそう。

インタビュアー : 歌でその感情を表現するのも、直観的な感覚が重要だと思います。
テテ : 僕の心にきれいに聞こえたら合格です。
weverse  magazine 2021.07.29

 

私個人的には、テテの中の「きれい」を刺激するものは「ピュアさ」だと思っている。

ピュアさというのは、静けさにも激情にも、両方にもなり得るから。

そしてその美しさの水面を覆うものは「イノセント」だとも思う。

鼻血だとか伸びる髭だとか、やたら人間臭いものに興味を持つテテは、イノセンスに子供が持つ興味を持ち続けており、生命の息吹や営みが感じられるものに思いを馳せている。そして、大人になれば隠したいと思う部分まで手を入れて鷲掴みにしようとする(そして鼻血が吹き出す)。そんな意外性のある純粋な野生みがテテの良さである。ドキドキが止まらない。



2. テテの描く絵とシンギュラリティの共通点


赤い血。内なる炎。


感情を生き物の目鼻口に乗せて表現する。


きっと顔の表情を用いて内なる物語や感情を現すことをとても大事にしているのだろう。
確かにテテのダンスの特徴もそうだ。


私はテテのパフォーマンスで1番彼の魅力を凝縮しているのはシンギュラリティだと思っているのだが(Singularityはテテの宇宙)、あの表情、一回の公演につき小説一冊分を物語る目鼻口、見ている側も地肉湧き踊り雄叫びを上げてしまうようなパフォーマンスが出来るのは、やはり、人体の燃え上がりを現し血が噴き出す鼻血を描くというテテの中の気質に繋がってるような気がする。


テテには人間の本能を呼び覚ます色気がある。


触れていないのにダイレクトに体に入って来て掴まれるような、見てる側の内臓に喰らいついて来るような迫力があり、それを笑みを浮かべてクールにやってのける凄さと技術、そして何よりもテテは、自分で狂う相手を見るのが好きそうな、そんな恐ろしさもシンギュラリティには凝縮されている。

テテが全くの肉食系だったらこんなにも胸を掴まれることはないんだけれど、そうではなく蝋燭の灯火ともしびような、儚く悲しそうに弱々しく愛を求める瞬間と、雄々しい鼻血の噴き出す瞬間が交互に来ているようで、その綺麗で物寂しい灯火ともしびの時に油断して近づこうものならば、いっきに引きずり込まれてあっという間に鼻血の渦に飲み込まれてしまう。

灯火ともしびも鼻血もとんでもなく綺麗なのがテテだ。

青い灯火ともしびの瞬間、それはテテの好きな音楽やテテの撮る写真から感じられ、落ち着き静けさが流れるようなものや、可愛らしくリラックス出来る物を好んでいるように見える。

赤い鼻血の瞬間は、目鼻口から出て相手を掴む瞬間。

激情と、それに相反する、内側に流れる静かなリズム。この2つのリズムがテテの中に同居していて、彼のファンになればその2つを同時に垣間見せられる。
テテペンならば、その激しさや静かさの間で戸惑うこともあるかもしれないけれど、そこにこそテテの魅力があり、美しさと激しさと儚さがある。

赤い激情を静かな灯火ともしびで癒しながら、その両方を芸術に昇華していく。
実はそんなテテ自身が一番の芸術だったりする。

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