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【第2回】ビートルズのベストアルバムを聴こう

【第2回】ビートルズを「知ったか」したい!
第1回はこちらから

第1回でビートルズの有名曲に詳しくなったみなさん!お気に入りの曲は見つかりましたか?次は『あのアルバムなら聴いたことあるよ』で賢く堅実に知ったかぶってみましょう。

今回は、前回の10曲を元に、次に聴いてみたら楽しいかもよ~という「ベスト盤」を紹介します。もしよかったら、前のプレイリストも聴いてみてね!

ビートルズのベスト盤のうち特に有名なのはこの3枚👇
- “The Beatles 1962-1966 (The Red Album)”:通称「赤盤」
アルバムカバーが赤枠で囲まれているので、赤盤と呼ばれています。
- “The Beatles 1967-1970 (The Blue Album)”:通称「青盤」
アルバムカバーが青枠で囲まれているから、こっちは青盤!
- “1”
アルバムカバーに大きく黄色い「1」と書かれている。わたしはこのアルバムでビートルズを知りました。


これが「青盤」。
The Beatles 1967-70 album artwork


ざっくり言えば、「赤盤」が初期作品集、「青盤」が後期作品集、「1」がチャートで1位をとったド級の定番曲集です。

前のプレイリストで「ラヴ・ミー・ドゥ」「抱きしめたい」「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」が好きだった人は、初期から中期にかけての「赤盤」がおすすめ。
「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」が好きだった人は、後期の「青盤」がおすすめ。
「ヘイ・ジュード」「ヘルプ!」のようなキャッチ―な有名曲にあたりたい方はとにかく「1」がおすすめ。
このアルバムはベストアルバムなので、どれも収録曲が25曲以上と多いのも特徴。お得だけど、やっぱり25×3曲(被ってる曲もあるけど)も聴くのはしんどいし、なにより初期とか後期とか、まだちょっとむずかしい!
今回は、それぞれのアルバムからわたしのおすすめ曲を5曲ずつ、全部で15曲紹介します。


ちなみに、本題に入る前にメンバー4人の名前をさらっと確認しておきましょう。

ジョン・レノン:「イマジン」で有名なひと。オノ・ヨーコと結婚したひと。ボーカル・ギター担当。ビートルズの曲の約4割を作曲。ちょっとざらついた感じのユニークな声質が特徴的。中期ごろから様々な薬物を試し、その経験をもとにオリジナリティのある曲を多数生み出すが、その後重度の薬物中毒に悩まされることになります。40歳の時に、狂信的なファン(ファンって言っていいのかな)によって射殺されます。

ビートルズ解散後のアルバム。ジョンレノンとオノヨーコがキスをしている写真です。たしか篠山紀信の撮影作品だったはず。これ、わたし一時期留学先で机に貼っていたのですが、ルームメイトに「それあなた?」と聞かれて速攻剥がした。
Double Fantasy - album artwork


ポール・マッカートニー:主にベース、ボーカルを担当。他にもギターやピアノなど、だいたいの楽器は器用にこなしてしまう超人。「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」など、みんなに「ビートルズの代表曲といえば?」と聞いて最初に名前が挙がる曲はだいたい彼の作曲です。甘めで癖のない声が魅力。楽曲中の4割弱を作曲。いまなお現役。

Paul Mccartney, 1970, beatlesbible.com


ジョージ・ハリスン:主にリードギター、ボーカル、シタールなどを担当。楽曲中の1割程度を彼が作曲している。後期ビートルズ作品において作曲の才能を開花させた。ジョンとポールのちょうど中間みたいな声をしているので、最初はどれがジョージのボーカル曲なのか分からなくなりがち。コーラスが超うまい。

George Harrison, 1969, beatlesbible.com


リンゴ・スター:主にドラム、パーカッションを担当。アルバムの中の1曲程度は彼がメインボーカルを務めている。作曲にはほとんど携わっていないが、5曲の作曲経験あり。バンドの中の一番の人格者かつバランサーで、メンバーがいがみあっていた後期ビートルズにおいて唯一ほかの3人のメンバーと良好な関係を保っていた。彼がいなければビートルズの解散はもっと早かったと言われている。

Ringo Starr, 1963, beatlesbible.com


こうやってみると、全員が歌えて全員が作曲できるバンドって珍しいですよね。そもそも1960年代初期は歌い手が作詞・作曲すること自体珍しかった時代なので、ものすごく斬新だったと思います。ビートルズは共作の歌が多くあり、誰かがメインで作った曲にも、他のメンバーのアドバイスが活きている曲がたくさんあります。特にポールとジョンは「どちらがメインで作曲してもクレジットにはレノン=マッカトニー名義を使う」という取り決めをしていましたが、このせいで「これは共作名義だけど実は俺の功績だ!」といういさかいが生まれ、のちに解散要因のひとつにもなります。


そんなこんなでさらっとメンバーについて紹介しましたが、さっそくベスト盤3枚のおすすめ曲を5曲ずつ紹介していきます。15曲すべてのプレイリスト(Apple music)はこちらから

曲名(邦題)‐アルバム名(ベスト盤でない元の収録アルバム名)

「赤盤」より
11. Please Please Me (プリーズ・プリーズ・ミー) “Please Please Me”
ビートルズの2ndシングル曲であり、1stアルバムの表題曲。“Please”には「〜してください」「楽しませる」という2つの意味があり、表題は「僕を楽しませてね」という意味。

12. And I Love Her (アンド・アイ・ラブ・ハー) – “A Hard Day’s Night”
初期バラードの名曲。ポールがメインの曲。ちなみに、Nirvanaのカート・コバーンによるこの曲のカバー(Apple musicにもあるよ)が大正解すぎるので気になる方はぜひ聴いてみてください。ポールの声にはないざらざら感が曲とすごくマッチしてます。

13. You’ve Got To Hide Your Love Away (悲しみはぶっとばせ) – “Help!”
ジョン・レノンは初期にボブ・ディランの影響を受けます。この曲はその影響が色濃く出ている楽曲らしい。たしかに声の出し方とか、フォークっぽい曲調が似てる。タイトルを直訳すると「恋心は隠しておけ」となりますが、隠さなければならない恋心って、なに?過去には「マネージャーのブライアン・エプスタインとジョンとの隠れた関係を歌った曲だ」とされていたことも。ジョン自身は「いきなりビートルズの名が大きくなりすぎて、辛かった気持ちを表現した」曲だとしています。

14. Girl (ガール) – “Rubber Soul”
この「ラバーソウル」というアルバムから、ビートルズは中期に入ったと言われています。この曲に関しては、もちろん原曲も素晴らしいのですが、日本のバンド「たま」によるカバーがものすごい良さを発揮しているので、ぜひ聞いてみてほしいです。ただ、公式な音源としてリリースされているわけではないので、こっそり調べてみてください…!ほんとに和訳も演奏もいいの。これはもっと関係ないんだけど、たまは「ムーンリバー」の和訳カバーも涙が出るほどいいのでぜひぜひ聞いてみてください。お願いします。ここまで読んでくれた方には申し訳ないけど、これもうビートルズを「楽に知ったかぶる」要素薄まって来てない?大丈夫?ガンガンいきます。

15. Eleanor Rigby (エリナー・リグビー) – “Revolver”
ポール・マッカトニーの作にしては当時珍しかった、シリアスで社会的な曲。ポールの曲はクラシック的な要素が(勉強して身につけたわけではないにも関わらず)使用されることがありますが、この曲はクラシック要素を含んだビートルズ作品の中でも最高傑作だと言われることがあります。わたしはこの曲そんなに好きじゃないんだけど(こわいから)これに関しては「ビートルズの作品に見るクラシック音楽へのアプローチ」というブログがとても参考になったのでおすすめです。

「青盤」より
16. A Day In the Life (ア・デイ・イン・ザ・ライフ) – “Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”
1日の出来事を淡々と語っていくうちに狂気の音階がやってくる……歌詞は大部分をジョン、一部をポールが担当していますが、そのちぐはぐさと突然さがドラッギーでいい。この曲もLSDの影響を感じることができますね。“I’d Love To Turn You On (きみに火をつけたい) ” という歌詞が好きです。

17. Hello, Goodbye (ハロー・グッドバイ) – “Magical Mystery Tour”
時に不快なほど(?)同じメロディと歌詞の続く曲。YouTubeの公式MVのコメントを見てもそんなに評価は高くない曲なのかも?ジョンレノンにも「絶対これA面にすべきじゃないだろ」などと言われている曲(一方その頃ジョンは「僕はセイウチ」という曲をA面にしようとしてB面になったのでぶすくれていました。ここだけ聴くとアレだけど、超名曲です、セイウチ)。

18. Ob-La-Di, Ob-La-Da (オブラディ・オブラダ) – “The Beatles (The White Album)”
この曲は聴いたことがある方も多いのでは?陽気で楽しい、子ども番組で流れていそうなハッピーな曲。歌詞も若者が出会って恋をするという内容のウキウキソングです。イントロのピアノは、レコーディングが長引いていらついたジョンが弾きなぐったものだとか。なんかこの曲、全体的にヤケクソ感が伝わってきます。途中の早口のところとか、子どもながらに「なんだこれ」と思ったもん。

19. Here Comes the Sun (ヒア・カムズ・ザ・サン) – “Abby Road”
これこそが、ビートルズ終末期におけるジョージ・ハリスンの代表曲です。ジョージはビートルズの中では外部のアーティストとも親交のふかい人物でしたが、特に「レイラ」という曲で有名なエリック・クラプトンとは親友関係でした。この曲はジョージがクラプトンの家で日向ぼっこしていた時に思いついた曲。あたたかみのあるアコースティックギターが日差しの柔らかさを表現している名曲です。

20. Across the Universe (アクロス・ザ・ユニバース) – “Let It Be”
ジョンレノンにより制作された曲。ジョンはこの曲を「メロディ抜きでも単体で成り立つ詩的な歌詞は最高傑作かも」と自画自賛している。ジョンの中期以降の曲は歌詞の完成度や彼の精神世界の反映(=薬物体験の反映)がものすごいので、そこも注目です。

「1」より
21. A Hard Day’s Night (ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!) – “A Hard Day’s Night”
いや、邦題どうなってんねん。この邦題は映画評論家の水野晴郎によってつけられたもので、「さすがにおかしすぎる」とのことで最近のアルバムでは「ア・ハード・デイズ・ナイト」と表記が改められています。よかった。

22. Ticket To Ride (涙の乗車券) – “Help!”
カーペンターズがカバーしたことでも知られているこの曲。初期の中ではかなりの名曲だと思います。さっきの邦題とうってかわって、「涙の乗車券」はいい和訳ですね。ちょっと曲調にくらべて湿っぽい感じもするけど、カーペンターズバージョンはもう少ししっとりしていてこの題にぴったりの仕上がりになっています。アレンジが明るくアップテンポなのに、失恋の悲哀を歌っているのがジョンの歌い方とも合っていてかっこいい。

23. Penny Lane (ペニー・レイン) – “Magical Mystery Tour”
ポールマッカートニーがビーチ・ボーイズというバンドの「ペット・サウンズ」というアルバムに影響されて制作した曲。ちなみに「ペット・サウンズ」はビートルズのアルバム「ラバーソウル」から影響を受けて作成されました。なんかこの連鎖すごい。ビートルズや洋楽界の大物の間って、こういう連鎖がけっこう多いんです。たとえば、ジョンレノンはボブ・ディランに影響を受けて薬物を始めたり、歌詞を恋愛路線から急激に「精神世界」っぽい、難解で哲学的な路線に変更しました。ボブ・ディランは逆にビートルズの楽曲に影響を受け、フォークミュージックだけでなく、ロックテイストな曲やアルバムも手がけるようになりました。才能で叩き合う感じ、アツい。

24. Something (サムシング) – “Abby Road”
ジョージ・ハリスンの代表曲、2曲め!自身の妻・パティ・ボイドについて書かれたラブソングで、ジョンもポールもこの曲を絶賛しています。ちなみにこのパティ・ボイドとジョージはのちに離婚してしまうのですが、パティはそのあとあろうことかジョージの親友であるエリック・クラプトンと結婚します。前述の「レイラ」も、パティのことを歌った曲だとされています。ある意味誰よりも名曲製造機・パティ。ふたりを引き合わせたジョージ本人は、もう離婚していたこともあり、かなりあたたかくふたりを祝福し、結婚式にも参加しています。ちなみに彼らの離婚原因は、パティがローリング・ストーンズのメンバーと浮気したから。どこまでも大物ぞろい。しかもパティの妹もフリートウッド・マックというこれまた大物バンドのバンドマンと結婚しています。ある意味音楽一家ですね。

25. Get Back (ゲット・バック) – “Let It Be”
ビートルズの後期にポールが「ばらばらになってしまったビートルズをゲット・バック(再集結)させよう」という思いで作った曲。当初、ゲット・バックを表題曲にアルバムが構築される予定でしたが、ポールの思いもむなしく、結果的にこの曲が収録されたアルバムは彼らのラストアルバムとなり、名前も「レット・イット・ビー(なすがままにしかならない)」という対照的なタイトルとなりました。


というわけで、今回は3つのベストアルバムから5曲ずつ、計15曲紹介しました。ちなみに、赤盤〜青盤の10曲は時系列順にしているので、だいたいのビートルズの変遷をつかめるかもしれません。最初はウキウキラブソング、バラードもいけるよ、そのあとフォークや薬物の影響を受けだして、詩的な世界観の探究や多彩なスタイルに挑戦していく……みたいな感じ(とてもざっくり)。

自分で書いててボリュームたっぷりすぎて胸焼けしそうなのですが、もう少しお付き合いください……😭笑





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#ビートルズ #洋楽 #音楽

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