ありのままでいたいんだけどな

 会社という組織に所属して、決められたルールの中で生きていると、疲れてしまうことがしばしばある。組織では自分自身のアイデンティティは一度消して、その場において最適な振る舞いをする。それが悪いとか言うつもりはないし、「社会で生きる」ということはそういうことなんだから、もう割り切るしかないのだけれど。やっぱり窮屈なんだよな。


 ピッタリサイズの制服は好きになれないし、上下関係もあまり得意じゃない。学生までの長い間、時間をかけてようやく自分自身のアイデンティティを築いて、誰に何を言われても揺るがない芯というものを育ててきた矢先がこれだと思うと、やるせない気持ちにもなる。やはり、ある程度の制限が存在するのが社会という世界なのだろう。


 だから、プライベートでくらいはありのままでいたい。しくじっても「まあいっか!」で済ませて、目的地に着くまでたくさん寄り道をして、時計なんかガン無視して、自分が「これだ!」と思うものをとことん追い求めて。そういう時間がないと、私は死んでしまう人間だ。


 平日はそうした時間をゆっくり取れないので、駅から家までゆっくり歩いてみたり、音楽聞きながらリズムに乗って口ずさんだり、誰かの家の飼い猫に話しかけたり。それだけでも心は少し軽くなる。こうして本音をさらけ出す時間も、私にとってはものすごく大切な時間なのだ。


 高校の保健室のポスターに書いてあった言葉を思い出す。「忙しい」とは、「心」を「亡くす」という意味だと。本当にその通りだと思う。心が死ぬのは、それは人間が人間ではなくなることを意味するのだと思う。その意味での「死」は本当に辛い。


 なので、自分のことは大切にした方がいいと、個人的には思う。自分を大切にできないと、誰かを想いやる余裕なんて生まれない。みんな自分がかわいいんだから、それでいい。たくさんかわいがろうよ、自分のこと。周りを見る余裕は、そのうち勝手に生まれるから。焦らないでいいからさ、ゆっくり生きていこうよ。


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