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太鼓の音は癒しの響き?― 太鼓の音の心理効果に関する妄想的考察 ―

ビートオブサクセスの佐藤”タッカー”高明です。

ビートオブサクセスが企業研修のために開発した「トレーニングビート®」は、リズム・音楽の力で参加者同士の心理的障壁を取っ払い、一気に共感性を高めることができる、新しい企業向けチームビルディングプログラムです。

そのベースになっているのが「ドラムサークル」。文字通り、参加者が輪になって皆で自由に太鼓(ドラム)を叩きアンサンブルしていくアメリカ発祥のプログラムで、アフリカのジェンベなど主に手で叩く太鼓(ドラム)を使います。

もう10年近く、さまざまな企業や団体の研修にスタッフとして関わり、そのドラムサークルの効果を、ごく短時間で初対面の参加者同士が昔からの友達のようになってしまうのを目の当たりにしてきました。

最近ふと考えたのが、この太鼓の音にその秘密があるんじゃないかということ。

もちろん、シェイカーなど手で持つパーカッションだけでも、リズムを共有することから一体感を作れますし、チームビルディングの効果は充分上げることができます。

でも、太鼓の音には人を根源的なところから共感させ、親近感を沸き上げる特別な力があるような気がするのです。

あの東日本大震災の少し後、2013年ごろから、知り合いを通じて福島の仮設住宅に花を届けるボランティア活動に参加していました。被災しての仮設住宅住まいも2年3年と経ち、心身共に疲れが積もってきていたころです。仮設住宅のお祭りイベントに合わせて、食べ物の屋台を手伝ったりしてから、各戸で飾っていただく鉢植えの花を配っていました。

その3回目だったと思いますが、イベントの中でドラムサークルをやることを提案し、当時自分が持っていた太鼓を十数本持参して、自分がファシリテーター役で実施しました。

仮設住宅にお住まいの方は、かなり年配の方が多かったのですがシャイでなかなか輪に入ってきません。そこで後ろのテントに座っている人たちにも太鼓を届けて、とりあえず叩き始めました。

まずは、一つづつ、せーのっ“トン”から。

そして、ベースに合わせて“トン・トン・トン・トン”…

初めは固かった表情がどんどん緩んで、みんな嬉しそうな笑顔になっていきます。

自分の顔もこんなに嬉しそうでした。

プログラムの都合で持ち時間は15分程しかなく、参加した皆さんが自分のリズムを奏でるまでには至れなかったのですが、その後の歌のプログラムでも皆さん太鼓から離れず、楽しそうに歌に合わせてトントン叩いていました。

太鼓をたたく事、合図に合わせて“トン・トン・トン・トン”だけでも、皆が一気に笑顔になって空気が一変してしまうのはなぜでしょう?

さて、ここからが太鼓の音の心理効果に関する妄想的考察。

先にお断りしておきますが、妄想なので学術的な裏付けやエビデンスはありません(注)。 

太鼓は太古の昔から、ほぼ世界中にあったとされています。
一番古い記録では、4500年ほど前のシュメール人の壁画に描かれているということでしたが、最近5000年前という太鼓を象った石の副葬品がイギリスで見つかっています(写真)。

太鼓を象った石の副葬品

日本では、長野県茅野市にある縄文時代の尖石遺跡から、皮を張って太鼓として使用されていたのではないかと推定される土器が出土しています。まあ、おおざっぱに同時代ですね。

そういう時代は、記録に残る太鼓は祭礼用だったりしますが、他にも通信に使ったり、住居に近づく獣を追い払ったり、音楽として叩いて笛を吹いたり歌ったり、ということがあったと思われます。

つまり、太鼓の音があるのは仲間や家族がいて、外敵から守られた安全な場所だった。通信としても同じ太古の音でコミュニケーションできるのは仲間。太鼓の音は、気を許せて安心できる、当時なら生命共同体の仲間を象徴していたのではないでしょうか?

ところで、人の精神領域には「意識」と「無意識」があり、「意識」はよく氷山の水面上の一角に例えられます。沈んでいて見えない「無意識(潜在意識)」の方が広大なわけですが、カール・ユングというスイスの精神科医は、さらにその下にベースとなる「集合的無意識」の存在を考えました。

「無意識」までが、個人の経験によるもので、「集合的無意識」は「個人的無意識」のさらに深いところにあり、個人の現実的な人生経験を超えて他の人間とも共通した普遍的無意識として存在しているというのです。これは先天的なもので、すべての人が生れながらに持っているものです。

私の妄想的な考察は、この「集合的無意識」に太古からの太鼓の音の安心感が本能のように刷り込まれているのではないか、だから太鼓の音はそこから個人の「無意識」に働きかけて人の心を開放するんじゃないかと考えたわけです。文字通り心の底から。

ちなみに、ドラムサークルは世界中いたるところで行われており、その効果が企業研修やチームビルディングに活かされているのも共通です。参加者の間の心理的障壁を取り払って「心理的安全性」を醸成し、チームビルディングを効果的に行うベースを作るために、最高に早く効果的な方法だからだと思います。 

ユングの説を前提にしているところが少々強引かもしれないのですが、ドラムサークルを体験したことがある方、こんな妄想的な説に賛同していただけませんでしょうか?

そして未体験のあなた、体験してこの効果を実感してみませんか?

※(注) ドラムサークルの効果についての研究は、理化学研究所と東北大学の研究例などがあります。  https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/07/press20200709-01-drum.html


●ビートオブサクセス