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| 転職支援日記 | 家族からの反対を受けるも、自らの意思で就業先を選び抜いた話

転職活動を経て、優柔不断な性格を克服できた求職者Yさんとの出会いがありました。

Yさんは、新卒で入社した大手人材ベンチャーを1年足らずで退職。2024年の2月から転職活動をスタートし、私のもとへ相談に来てくれたのは4月のことです。

初回面談の印象は、爽やかで人当たりが良い一方で、周囲に流されやすく優柔不断な一面がありました。未経験から「営業職に挑戦したい」という意欲をお持ちでしたが、対人のストレス耐性は弱いように感じたため、新規営業ではなく既存営業を中心に提案を行い、選考をサポートしました。


第一志望より内定を獲得 しかし•••

選考は順調に進み、法人向けの既存営業で2社より内定を獲得。その内の1社、ケーブルを扱う専門商社は第一志望で、下記のような特徴に惹かれていました。

・選考を通して出会った社員の方々の人柄が自分に合っている
大手メーカーを相手に提案型の法人営業の経験を積むことができる
・土日祝休み/年間休日130日以上/残業月10時間ほどでとても働きやすい環境

身につく経験・スキルの内容や、未経験からでも安心して働くことができる環境は、Yさんにとって申し分のないくらい魅力的でした。しかし、内定承諾期限が迫っても、優柔不断な性格から自分で決断することができず、ご家族に相談したところ、否定的な意見が返ってきました。

叔父「電気設備の業界に詳しいが、入れ替わりが激しいからおすすめはしないよ」
母親「昔からアニメとか漫画が好きだったから、そっちの方が興味持って働けるんじゃない?」

ご家族の意見を受けて、Yさんは商社の内定を辞退して転職活動を継続しようと考えるようになりました。しかし、ご家族の意見は主観的で、Yさんの転職活動を泥沼化させてしまうものでした。


・叔父の意見について
ケーブルの業界は入れ替わりが激しいなんてことはなく、それは、一度契約が決まれば5〜10年のスパンでメーカーへ供給し続けることができる商材の特徴からも言えます。加えて、今回の内定先の商社には、長年の大手メーカーとの取引実績があり、業務内容に新規営業はなく、100%既存営業です。入れ替わりが激しいのであれば、シェアの奪い合いによる新規営業が必須になるはずです。

・母親の意見について
アニメ、漫画への関わり方にもよりますが、例えば、クリエイターや出版社でしょうか。それら、Yさんの経験スキルから目指せる領域はなく、転職市場におけるYさんの価値・立ち位置を無視した意見でした。法人営業として経験を積んだ後、将来的なキャリアの選択肢として考えるのであれば、現実味を帯びてくるでしょうが、今回の転職活動でアニメや漫画の領域に挑戦するのは非現実的です。


優柔不断な性格を断ち切ることができたYさん

家族や友人の意見も大切ですが、大事なのは自らの意思で決断することです。Yさんは、自ら決断する勇気がなくて「家族にこう言われたから」と、責任を家族に転嫁して、決断を先延ばしにしようとしているように見えました。

転職活動をあと3ヶ月、半年、1年続けたら、確かに今よりもっと良い企業に出会えるかもしれません。しかし、Yさんは、今回の転職活動で複数のエージェントを使い、経歴からエントリー可能な企業に片っ端から応募していたため、すでに自身の可能性を最大限に広げきった状態でした。

こういった事情からも、転職活動を継続することで、今回の内定先以上の企業が見つかる保証はなく、むしろ離職期間が長引くことで、より転職活動が不利になる可能性がありました。私としては大前提、Yさんの意思を尊重する姿勢であるため、転職活動を継続するなら引き続き精一杯サポートする旨は伝え、家族友人でも企業側でもないフラットな立場から、前述のような客観的な観点をお伝えしました。

Yさんは自問自答を重ね、最終的に「営業として成長したい」という当初の転職軸に立ち返り、内定先の商社へと歩みを進めることを決断しました。周囲の意見に流されそうになりながらも自分を見失わず、自らの意思で大きな人生の決断をしたYさんは、どこか清々しく、声のトーンに自信が漲るようになりました。

転職に限らず、人生の大きな決断の理由を尋ねられた時、「誰かに言われたから」ではなく「自分がこう考えたから」と、能動的に、自らの選択と行動に責任を持つことができる生き方が幸せではないかと感じます。
以上、転職活動を経て、大きく成長を遂げられたYさんのお話しでした。

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