マガジンのカバー画像

その他の短編

7
運営しているクリエイター

記事一覧

福讐

 これは、復讐だ。  彼の原型となった人間への。 「それで、僕は何をすればいいんですか?」…

バール
2年前
16

風導黙示

 そのころ、この世界はまだ丸かった。  虚空に浮かぶ球体の上に、あらゆる生き物が棲んでい…

バール
2年前
18

密林の奥の親切な奴ら

「これはなんですか?」 「モハレ=ケミタの肉を焼いたものさ。祭りの日にはみんなこれを食べ…

バール
3年前
20

フルスイングでバス停を。

 そのバス停も消えていた。  ――死のう。  そう思った。  諏訪原篤は肩を落とし、前を見…

バール
5年前
45

葛藤系自虐独裁者ダルヴァレス

 後世に伝えなければならない。  なんとしても伝えなければならない。  私は目の前に映るこ…

バール
4年前
26

狂える大樹の唄

 久方ぶりに訪れた故郷は、廃墟と化していた。  重い灰色にくすんだ家屋が、巨大な生き物の…

バール
4年前
24

機械仕掛けの墓標

 海の見える丘に、その墓標は建っていた。  王族でも貴族でもない男のものにしては、いささか大きすぎる墓だった。  家屋三階分はありそうな、塔の形をしている。  その姿は、さながら天に向かって突き上げられた剣のようだ。  低く重い歯車の音が、周囲に漏れ出てきている。  ごとり、ごとり。  規則的なその音は、墓の内部で恐ろしく複雑な機械仕掛けが作動していることを物語っていた。  墓標の基部には墓碑銘があり、中で眠る男の名が刻まれている。  特にどうということのない、王国に住む者な