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ナマズは「鯰」と書くようだ。普段口に出す機会も滅多になく、漢字で書くコトも読むコトもない。せっかく、だからここでは「鯰」を使う。

久しぶりに出掛けた。

普段はシュッシャする以外は基本的に近所の買い物と食事にしか行かない。今一番したいコトのひとつは、何人かで運転を交代しながらのロングドライブ。行き先は温泉宿かな。旅らしい時間であれば何でもいい。

良く晴れた風の強い朝だった。

ニューノーマル前は出掛ける前のソワソワする時間。その日は、麻痺しているように感じた。久しぶりで特別な時間のはずなのに今ひとつノリ切れていない自分がいた。

遠出ではない。

かと言って「生活」そのものの移動でもない「ドライブ」。以前は「良くあるオフの日」のひと幕でしかなかった。移動する中で「良くあるオフの日」「ハレの日」に変換されるような不思議な感覚が芽生えた。

昼。

スイッチを入れたくなった。普段とは違う行動をとった。いや、旅先にいるような行動をとった。が正しい表現だ。日々の生活では食べない「鯰の天ぷら」を頼んでみた。

鯰の天ぷら付き肉汁つけうどん。

しっかりとした強いコシがあるうどんと青ネギに厚めの肉と油揚げが入った汁。汁は付けるにも啜るにも適度な甘塩っぱさがあって絶妙だった。まさにツルツルシコシコ、歯応え十分なうどんを肉汁と絡めると「なるほど、この味」と舌鼓を打った。

鯰。

鯰はホロホロと柔らかな肉質の白身で、天ぷらとの相性の良さを感じた。薫る特製塩、醤油をたらした大根おろしと、どちらも甲乙つけ難い。「旅先の味」を感じながら食べる時間になった。

お腹を満たした帰りの車窓。

日常から少し離れた「小さな小さな旅」。家に向かう窓の景色をみながら「旅の終わり」が近付く寂しさを少なからず感じられた。行きとは違って。その時の脳を調べたら、きっと、旅の空で出ている神経伝達物質がやり取りされていただろうと思う。

もうすぐ、予定を立てない2回目のGWがやってくる。鯰がヒントをくれた気がした。


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#ご当地グルメ #食べて応援 #題名のない日常 #ジャニ記

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