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#147_【ヘリラボ】対馬棹埼灯台の中身が変わりました

海が見えないところに住んでいても、「灯台」ってどのようなものなのか、ほとんどの方がご存じかと思いますが、実際に中に入ったとこがある方はいらっしゃいますでしょうか。

日本全国には約3,200基の灯台がありますが、そのうち「参観灯台」と呼ばれる内部を見学できる灯台は16基しかなく、しかも、灯台の多くは岬の突端や無人島に立っていますので、「灯台めぐり」が変な趣味だと思われることは少ないものの、割と熱量が高い方でないと、中まで入ったことがある方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

すみっこを生きる我々としては、妙に親近感を抱いてしまう灯台ですがf^_^;)、昨年航路標識をテーマにガイド研修をしたご縁で、対馬海上保安部さんから対馬棹崎灯台の光源を年度末に入れ替えたので、特別に内部を見学させていただけることとなり、お伺いしました。

【やまねこセンターの背後にある丘をのぼった「日本最北西端の地」にあります。】

中の様子

【一般人の立ち入りは想定されていませんので、垂直ばしごです。】
【昼間ですが、点灯していただきました。】

光源について

灯台の光源が変わったとは具体的にどのようなことなのか、専門用語になってしまいますが「メタルハライドランプ」から、高輝度LEDである「COB」へ変更されたということです。
以前、灯台女子の不動まゆうさんを対馬海上保安部にご案内したとき、当時の交通課長との会話を脇で聞きながら、正直なところ内容がマニアックすぎて8割くらい何を話していたのか分からなかったのですがf^_^;)、「メタハラ」というワードと「点灯直後の緑色の光がだんだん白色に変化する様子が美しい」という話だけ記憶にありましたf^_^;)。

ざっくり言ってしまえばLED化という話ですが、「COB」とは、多数のLED チップを直接基盤に実装し、電流によって光度を制御できる装置で、これが開発されたことによって、高い出力が必要な灯台もLED化できるようになったという話です。
それまでのLED灯器では、光達距離が12海里(約22km)が限界だったため、対馬棹埼灯台や豆酘埼灯台のように遠くに光を飛ばす灯台では、LED化ができなかったのだそうです。
ちなみに、改修工事前の対馬棹埼灯台の光達距離は23.5海里、交換後は23.0海里になります。

※COBの限界について補足しますと、面で発光するため1方向にしか光を出せません。光源を回転させるのは、光達範囲を満遍なく点灯(点滅)させるためです。複雑な灯質(灯台が発する光の色と光り方(点灯のリズム)のことです)を作らねばならない場合は、従来型のLED灯器を利用することになります。

【従来型のLED灯器です。】

COBの実物はこんな感じです。

【上手くメジャーを当てられなかったのですが、発光する黄色い部分は数センチです。】

「COB」は、2019年に北海道の釧路埼灯台で全国初の正式運用がはじまり、全国の灯台で順次整備されるようになりました。
私が昨年狂犬ツアーに参加した時、なつかし館でレンズを拝見しましたが、現役の灯台はすでにCOBになっていたということですね。

改修工事の経緯

対馬棹埼灯台に関しては、おととし6月の落雷により灯台が損傷したことをきっかけに、災害に強い灯台にすることが検討された中で、光源も更新されました。
LED化により省電力で長寿命になり、メンテナンスがラクになるそうです。どこも人手不足ですからねぇ…。

【落雷でひさしが損傷した時の写真です。】
【よく見るとその跡が分かります。】
【曇っていましたが、灯台から朝鮮半島が見えておりました。】
【現在は避雷針が付けられました。】

灯りがつくと・・・

灯台は暗くならないと本領を発揮しませんので、夜の様子をご紹介します。

【メタハラの灯りです。(2020年7月25日撮影)】
【COBの灯りです。(2024年5月28日撮影)】

(おまけ)豆酘埼灯台

豆酘埼灯台もほぼ同じタイミングで光源が入れ替わりましたので、ご紹介します。
※上の回転するランプです。

【LED化前の灯りです。(2020年7月26日撮影)】
【COBの灯りです。(2024年6月1日撮影)】

さいごに宣伝

対馬棹埼灯台と豆酘埼灯台は、灯台の中では割と行きやすい場所にありますので、夜に点灯する灯台を観賞するガイドツアーを実施しています。
夕暮れ前に集合して、現在灯台が建っている場所の歴史や灯台観賞のポイントを説明し、暗くなったらまったり灯台の灯りを眺めるという内容です。
日没時間によってベストな時間が変わりますので、まずは下記のお問い合わせフォームからお気軽にご相談くださいo(^-^)。

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