#167_【近代化遺産】折瀬ヶ鼻砲台
対馬の砲台でどこが一番人気なのだろうかと考えてみますと、車で行きやすく、写真映えもすることから、姫神山砲台となるでしょうか。
ここ数年は、行くと必ず1回は対向車とすれ違います。
前回記事の中で、セットで造られた折瀬ヶ鼻砲台があることに触れました。
こちらは、まず他人に出会うことがありませんf^_^;)。
姫神山砲台の役割を考える上では、こちらにも触れておかないと理解が深くならないと思いますので、今回は折瀬ヶ鼻砲台をご紹介します。
何を目的としていたのか
久須保水道の入口にあたる三浦湾の防御を固めるため、姫神山砲台とセットで設置された砲台です。
姫神山砲台に行くときに、乗用車で入れる広場まで行きますと、周囲は鬱蒼としていますが、別の方向に通じていそうな道があります。
軍道を下りきろうかというところで、にわかに巨大な石造りの建造物が出現します。
砲台の機能と与えられた役割
姫神山砲台とセットで設置されたと書きましたが、どのような意図があったのしょうか。
折瀬ヶ鼻砲台には、斯加式十二糎速射加農砲が2門設置されていました。
一方、姫神山砲台に据え付けられたのは榴弾砲と呼ばれるものです。
それぞれ性質が異なるものですので、榴弾砲と加農砲を対比させながら、補足したいと思います。
榴弾砲
高い角度で砲弾を発射し、曲射弾道を描いて攻撃します。遮蔽物の背後に隠れた敵や、谷間、塹壕などの地形を超えて攻撃できます。
射程が限定され、特に高速で移動する目標物に対しては命中率が低くなります。
加農砲
高初速と長射程を持つ火砲。低い角度で砲弾を発射し、直射弾道を描きます。初速が速く、直線的な軌道での攻撃ができ、目標に対し直接的な打撃を与えられます。
山や建物などの遮蔽物がありますと、その向こう側に攻撃を加えることができません。また、技術が必要で、製造や技術にコストがかかります。
それぞれの弾道を、よく野球の打球になぞらえ、榴弾砲が「フライ」、加農砲が「ライナー」なんて言われます。
ひとくちに大砲といっても、弾の飛び方が違いますので、お互いの長所をそれぞれ活かしながら使用されていたようです。
海への警戒
またこのあたりに水雷衛所が設けられ、水雷や探海電燈など、様々な構造物が残っているようです。
ちなみに、上記は陸軍のもので、海軍のものが別にあるとか。
最近まで海軍の資料はノーマークでしたので、また調べに行かねばなりませんf^_^;)。
太平洋戦争時
そして、太平洋戦争時には野砲が2門配備されました。
日露戦争が終わったらどうなった?
姫神山砲台と同様、除籍の記録はとくにありません。
現在はどんな場所
三浦湾の入口に防波堤が設置されたことにより、潮の流れが変わり、明治期の岸壁が崩れたり、漂着ごみが打ち上げられたりしています。
その防波堤も、最近では台風によってずれてしまうことが起きたりと、今後が心配です。
締め
あまり訪れたことがないため、とくにオススメポイントは思い浮かばなかったのですが、最近海軍の遺構があることを知りました。
島山島にあります四十八谷の水雷衛所がまさにそうですが、海軍の建物は、陸軍のそれとは何か違う雰囲気を感じますので、もしかしますと、そこから掘り出し物が発見されそうな期待があります(^^ )。
交通アクセスなど
乗用車の場合
乗用車であれば、軍道の中腹まで車で入ることが可能です。
ただし、道が細く離合できる場所が少ないので、不安な方は、後述の大型車の場合をご参照ください。
中腹の広場から、姫神山砲台に行く道と別の方向に、もうひとつ道がありますので、徒歩30分前後で到達します。
大型車の場合
団体など大型車で来られる場合は、緒方集落から徒歩で行きます。
徒歩で60分前後です。
ぬかるんでいると足元が滑りますが、そんなにきつい坂道はありませんので、ご安心ください。
車で、厳原から35分、雞知(対馬空港)から20分、比田勝港から90分です。
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