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2019年7月の記事一覧
僕が殺した人と僕を殺した人
海外の小説を読むのが苦手になった。
幼い頃はハリー・ポッターやデルトラクエストに親しんでいたというのに。
高校・大学で一度読書から離れて、読む体力が落ちているのかもしれない。
海外小説を読むことは、異文化に丸ごと身を浸し、人の名前や食べ物、ときには感情の機微まで、自分が慣れ親しんだ文化圏を出ることだ(日本のものでも、歴史小説には同じことが言える)。
旅行すらめったにしない私には、ハードな運動にな
虹彩・太陽をうつすもの
文学フリマで前情報ほぼなしで買った小説、案外と好みのものが多くて嬉しい。
東堂冴さんの『虹彩・太陽をうつすもの』もそのひとつ。というか、好みだなんて控えめな表現では足りない、大好きと言ってしまえる作品だった。
収められた4つの短編のどれもが、「いまは存在しないもの」の気配を湛えている。
失われたものは、すぐに消えてなくなるのではなく、しばらくは喪失感に形を変えて人の中に留まる。
不在なのに影の