見出し画像

"新しい企画で話題を生み出す”クリエイティブディレクター・プランナー小林大地さんへインタビュー!

BranCo!の卒業生で現在各界で活躍されている方々に、BranCo!での学びや現在のキャリアについて伺う連載企画「After BranCo!」

第4弾はBranCo!2014(テーマ:「旬」)に参加し、現在はThe Breakthrough Company GOでクリエイティブディレクター/プランナーとして活躍する小林 大地さん(コバヤシ ダイチ)さん。今回は学生スタッフの丸山と社員の岩佐が、BranCo!に出場した際のエピソードや現在のお仕事、企画を考える上で意識していることなどを、小林さんにインタビューしてきました!


(右上:岩佐、中央下:小林さん、左上:丸山)


企画のたのしさを知った学生時代


ー小林さんは、どんな学生時代を過ごしていましたか?

僕は東日本大震災が起きた年の春に大学に入学した世代です。ひょんなことから、クリエイティブの力で復興支援することを目的としたボランティア合宿に参加し、その合宿で「高田松原を守る会」の小山さんという方に出会いました。まだまだ最低限の生活しかできない環境下にもかかわらず、「70,000本の高田松原を復活させたい」という夢を語る小山さんと出会ったことを機に、気づけばバイトで貯めたお金で、陸前高田に毎月通うようになっていました。

震災直後は多くのメディアが震災について言及したものの、その年の冬には報道量は激減。そうした中で、「奇跡の一本松」を「日本最大のクリスマスツリー」と見立て、クリスマスに一本松をライトアップする企画を考えました。ライトアップは、多くのテレビで取り上げられると共に、翌日の全国版朝日新聞の朝刊で1面を飾るなど、多くの新聞で取り上げられ、企画の楽しさを知る原体験となりました。

多くのメディアで取り上げられた「奇跡の一本松」のライトアップ
昨年末、「高田松原を守る会」の小山さんと
約10年ぶりに再会することができました。
元気そうな小山さんに会えて本当に嬉しかったです。

一本松のライトアップを機に、企画に興味を持つようになった僕は、2年生のタイミングで、博報堂出身の小霜さんと米村さんが主催している「no problem 広告学校」に参加。3年生では、ご縁をいただき、いくつかのクリエイティブブティックでアルバイトをしていました。

ーそんな学生生活の中で、BranCo!にはどうして出場しようと思ったんですか?

友人に誘われたことがきっかけです。シンプルに面白そうだなと思って出場しました。

ーBranCo!への出場を通して、どんな収穫がありましたか。

若いうちに「人前で裸になる」経験ができたことは、大きな収穫だったかなと思います。広告の仕事って、自分が導き出した考えを人にブツけ続ける仕事です。だからこそ、スベることも、恥ずかしい思いをすることもたくさんありますが、乗り越えていくためには、裸になることに、若いうちから慣れた方がいい。

「それっぽいプレゼン資料をつくる技術」を磨くのではなく、自分が考えたことを、丸裸になりながら自分の言葉で伝える経験を大学生の時にさせてもらえたのは、今でも自分の財産になっています。

ーBranCo!は学生同士で取り組むので、思っていることをさらけ出しやすいかもしれないですね。


暗黒期を抜け出した企画術


ー現在「プランナー」というお仕事をされていますが、具体的にどんなことをしているんですか。

プランナーはとにかく考える仕事です。TVCMからブランドアクションまで、さまざまなお題に対して企画を出し続けることが求められます。

ーなるほど。小林さんは、とても斬新でおもしろい企画をたくさん打ち出しているイメージがあります。何かコツはありますか。

企画にコツなんてものがあるとは思っていませんが、才能や直感なんて信じず、常に構造的に企画を考えるようにしています。僕はGOに入って1年半ぐらいの間、全然企画が通らない暗黒期がありました。そこで試行錯誤をしているうちに、「人は新しいことが2つあると理解できないが、新しいことが1つだと面白がれる。」ということに気付きました。

そこで企画を考える際は、課題を解決するために必要な要素を細かく因数分解して、各要素が正しい(けどまったく面白くない)A案をまずは作るようにしています。そして因数分解された要素を、1つだけ極端に変える形で企画の数を増やしていきます。

例えば、SKE48さんから「小室哲哉さんがプロデューサーを務める新公演を話題にしたい」という相談をいただいて考えたA案はこうなります。


●いつ:リニューアル直前に
●どこで:名古屋エリアの主要駅で
●誰が:SKE48が
●何をする:自信があることを
●どうする:広告枠を使って発信する。

このA案をもとに、展開場所を名古屋からソウルに変えたら「打倒韓流アイドル!」みたいなメッセージが打ち出せるようになるな!とか、発信する話者を「小室ファミリー」に変えたらメディアバリューが高まるかな?と、とにかく1箇所を極端にズラしていきながら考えていきます。その中で実際にローンチしたのが、「どうする(アクションパート)」を大きくズラした「#SKE48全額返金保証公演」です。


ーなるほど。以前インタビューをした桃井さんも「クリエイティブジャンプじゃなくて、クリエイティブホップ」と仰っていて、すごく近い考え方だなと思いました。おもしろい!

では、たくさん出てきたアイデアを選ぶときに、意識していることはありますか?

選ぶタイミングでは、ひとりの生活者である自分が「おもしろい」と思えるかを、とても大切にしています。クライアントの課題解決になっていることは大前提ですが、その上で自分が信じられるものを必ず選ぶようにしています。「ターゲットインサイトを捉えていること」だけを拠り所にした企画は、なかなか上手くいきません。

ー構造的な企画が、今の時代に受け入れられている理由って、何でしょうか。

構造的な企画が「今の時代に受け入れられている」というよりも、構造系の企画は面白さが言語化しやすいので、1億総SNS時代において、結果的に目につきやすいんだと思います。

ーそして、小林さんは、Twitterを拝見してもインプット量がすさまじいと感じます。

GO代表の三浦もよく「人は感動した分の幅でしか企画を出せない」と言うのですが、本当にその通りだと僕も思っています。そのため企画する気持ちになれない時は、無理に悩むのではなく、インプットに切り替えるなどして、極力色々なものに関心を持つようにしています。今年から麻雀をはじめたので、ぜひ誘ってもらえると嬉しいです(笑)

ー(BranCo!を運営している)博報堂ブランド・イノベーションデザインの宮澤代表も以前インタビューで「面白いアウトプットが出ないときはインプットが不足している」と仰っていました。なんだか繋がっている気がしますね。

先ほど、GOに入ってから暗黒期があったと仰っていましたが、そこからどのように抜け出したんですか?

気にしても解決できないことは、気にしても仕方ありません(笑)。自分が未熟であることを理解した上で、できることをひとつひとつ重ねていく。

自分の実力を褒めることはできなかったけど、挫けずに挑み続けている自分は、自分で褒めてあげていました(笑)この仕事に理不尽はつきものですが、くよくよ悩まず、時にお酒や歌の力を借りながら嫌なことを忘れることも、とても大切なスキルだと思っています。

ーなるほど。BranCo!では、話し合いが停滞してスランプに陥る瞬間もありそうです。そんな時はどうしたらいいのでしょうか。

企画を考えるときはプランナーとして必死に考えますが、考えた企画をみんなで話し合うときは、ひとつ目線をあげて、クリエイティブディレクターという意識で臨むのがいいと思います。ひとは基本的に自分が考えたアイデアを推したくなりますが、CD(クリエイティブディレクター)として望むと全体にとっての最適解を選べるようになる。誰に指名されたわけでもなく「CD気分」になることは、精神衛生面でも使える技だと思います。

ー広告や企画作りに対して、大きな愛を持って、楽しんでお仕事されているのが伝わってきます。

楽しいですよ!ただ、やりがいを感じられるのは、足掻きながら考え続けている中で、企業や商品の本質的な価値を発見できた時にしかありません。今でも不安で吐きそうになることは多々ありますが、そこから逃げないようにしています。

ー自分に厳しい目線を持ち続けなければいけないですね。

ー最後になりますが、BranCo!に出場する学生さんや、広告業界を志望する学生さんたちに応援のメッセージをお願いします!

かっこつけないこと。自分が信じられるものを見つけて、それを自分の言葉で話すこと。BranCo!は友人と参加するタイプのコンテストだと思うので、そこから逃げないでほしいです。みなさんと近い将来、アイデアの力で一緒に社会をよりよくできることを、楽しみにしています。

ーとても勉強になりました。本日はありがとうございました!



小林大地(コバヤシ ダイチ)(@iamdaichi

Creative Director / Planner
PR会社ベクトルを経て、2019年GOにジョイン。新規事業から広告・PR企画まで、アイデア開発を幅広く行う。ブランドの思想を体現したアクションの企画が得意。主な仕事に、SKE48「#全額返金保証公演」、ECOALF「#資源を無駄にしない広告」、FamilyMartプライベートブランド「ファミマル」ローンチコミュニケーションなど。ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS、新聞広告賞、広告電通賞等受賞。ゲラゲラ笑えるバラエティ番組が好き。なにわ男子、大橋担。

現在BranCo!では2023/2/11に開催される決勝プレゼンへの一般観覧を募集しています。BranCo!にこれまで参加されていない方でも観覧可能ですので、ぜひお越しください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?